軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

36.暗黒夜クエスト

暗黒夜。

それは異なる運行をし3日毎にいずれかの色が満ちる4色の月が、満ち欠けに関係なくすべて消えて、暗黒となる夜である。

どこかでダンジョンボスが無駄に復活しちゃったり、異界がどどんと溢れてレイドが起きちゃったり、と冒険者たちが大はしゃぎするパーリーナイト。

だいたい15日に1度起きるらしいけど、そうか、近かったのか。

「近いもなにも今日ニャ」

「今日!? 何の準備もしてないにゃん!」

「そんなの俺だってそうニャン! 『属性銃』作り終わったら自由都市に帰って終わる予定だったニャ!」

「猫もにゃん」

お互いホームタウンだもんね~、とうなずきあったところで、いやいや、そうじゃない。

「つい目先の欲に囚われてうっかりクエストを受けてしまったニャ…」

「にゃあ。とりあえず出来るところまでやってみるにゃん。次のクエストは?」

「次もたぶん、ポーションの大量納品系ニャ」

ケータくんが調べてきたところ、「○○(街)を救え」は主に生産職に発生する、防衛レイド予定地への補給クエストだという。そして防衛レイドということで、暗黒夜前に出てくることが多い。

とにかくあちこちにアイテムを納品することで、NPCの回復力を高め、結果的に街の防衛力をあげる効果があるそうだ。

ポーションの納品以外にも、炊きだしとか、食べ物や消耗品(矢とか)の納品とかもあるんだって。

元々防衛レイドは貢献によってクランのランクが上がるCVCの要素が強い。しかしマレビトダンジョンが解放されてからは、個人のDP稼ぎにも有効なのではないかと話題になっていたはず。

たぶん今回の暗黒夜は盛況するんじゃないかな?

ちなみに暗黒夜にどこの異界があふれるかはランダムであり、予兆は特にない。ただこの「街を救え」クエストだけがそのヒントになる。CVC上級者は暗黒夜前になるとレイド予定地を探して、各街を 転移施設(ポータルポート) で飛び回るのだとか。

「とりあえず掲示板にクエスト踏んだことはあげておくニャン。だから応援はそのうち来ると思うニャ」

読み専(ROM) じゃない…だと…。

ケータくん、予想外のところで社交的だな!?

「そういえば猫も『調薬』取ったにゃん。薬膳がしたくて」

「邪道ニャン。コンロは料理ニャ?」

「コンロはまだ買ってないにゃんね~」

「…ランには『薬草玉』か『薬草(若葉)』を作ってもらいたいニャ」

事実上の戦力外通告!

まあ『調薬』はLV3とかなので、たしかにあまりお役に立てそうにない。

「それなら『属性銃』を作った後は別行動にゃんね。PTはどうするにゃん?」

「邪魔じゃなければそのままでもいいニャ? 借金を返すまでは落ち着かないニャン!」

猫としても異存はない…と言いたいところだったがしかし、2人ともテイマーなのでPTのままだと呼び出せる従魔の数に制限が出来てしまう。

よって一旦PTを解散し、新しくソロPTを作ってアライアンスということで仕切り直した。これなら猫の従魔は全員出しておける。

ちなみにケータくんは街中では騎乗も出来る大型狼なフルクだけを出してるらしい。まあ猫みたいに全部出しっぱなしテイマーの方が珍しいんだけどね。

「フレにも暗黒夜クエスト踏んでること伝えていいにゃん?」

「構わないニャン、一緒に踏んだクエニャ」

そういうことになる、のか? 猫では『中級ポーション』100個は出せなかったんだが。まあそういってくれるならありがたく。

よし、暗黒夜レイドに興味ありそうな戦闘職面子に声をかけちゃお。

フーテンさんたちに、農家神官のノーカさんたち、セルバンテスさん、オードリーさん、ボンさん、センジさん。

ペチカちゃんも最近は生産三昧みたいだけど、たまには興味あるかな? ショーユラさんは半生産って聞いたけどどうだろ、一応送っておくか。裁縫師互助会は引きこもりなのでたぶん、出てこない……いや、DP必要ならもしかしてくる? 一応互助会のクランマスター、ヘレナさんには声かけておこう。

硝子連合や人形連合は戦闘あまり興味ない人が多い…、いや、タレイアさんとサッサさんは送っとこ。タレイアさんはイベント好き、サッサさんは楽師LVを上げるためにレイドは積極的参加だったはず。こちらも他に興味ある人がいれば声かけてくれるだろう。

あとは…、そうだ、『ニャッコの寝床』でフレ登録した野次馬テイマーさんたちにも声をかけておこう。メガネっ子なシノノメさんと狐獣人お姉さんサクラさんのコンビも。

なにしろサクラさんはケータくんの恋泥棒…、呼ばないわけにはいきませんな。

最新フレの後輩錬金術師シズクちゃんは迷うところだが、こういうのが起きるよ~というお知らせだけでもしちゃおうかな。精霊持ってるならDPも持ってるだろうし。

フレ欄をタターッと見直してポポポポンとメールを送る。お祭り気分でワッショイである。

掲示板を見れば気づくかもしれないけど、情報は早い方がいいもんね!

メールを送ったら、ひとまず今持ってる分の『薬草玉』『薬草(若葉)』をケータくんに預ける。

「お金は」

「計算が面倒だからいらないにゃん~、どうせ全部クエストに吸い込まれるにゃ?」

「じゃ、クエスト報酬を山分けってことでいいか?」

「ケータにゃんが損しないならそれでいいにゃんよ~」

「素材がないと調薬できねえもん、ニャ。問題ないニャ」

話をしていたら、クマの前にシュンッとアイテムが現れて驚く。『属性銃』が出来上がったのかと思ったが、『未完成アイテム』の表示。

え、失敗した!?

『悪いけど、うちじゃ仕上げが出来なかった。ルドルフに持っていってくれる? 仕上げだけなら無料で引き受けてくれるはずだから』

「わかったニャ! ありがとうニャン!」

よかった、失敗じゃなかったらしい。ケータくんからのPTチャットによるとむしろ「仕上げが出来なかった」と託される方が 当たり(・・・) なんだって。よかった。

ケータくんの『属性銃』がどうなるのか見守りたい気持ちはあったが、猫も『属性銃』は気になる。

ここで一旦別れて、ケータくんはひとりでルドルフさんの元へ向かうことになった。その後はマイルームで『調薬』してもらって、次の納品が可能になったら合流予定。

「じゃあいってくるニャン!」

「どんな『属性銃』になったかメールで教えてほしいにゃん~!」

「そっちもニャン!」

そんなわけで、次は猫の『属性銃』作成。せっかくだから猫も作っていきます。ケータくんのを見ていて勝手はわかったつもり。

素材はマケボと掘出しもの屋で見繕ってあるけど、たぶん不足があるだろう。

でも猫が作るのは、ロアンの入った『 闇硝子(ダークビジュー) 』の『属性銃』だ。昇華して消える可能性が高いので、長く使える上級の『属性銃』を狙う必要はないのである。気が楽!

なので魔道杖の素材としてなかなかいいらしい『シオミ万年杉』は使わず温存。これはまた別の機会に…。

銃身に使うアイテムは木材以外に、指揮杖や魔道杖でもいいという。猫が持ってる杖といえば『青ブナの杖』だ。『自由なる魔法師の杖』は特典アイテムだから素材には出来ない。

なのでまず銃身は『青ブナの杖』。

次の金属は無難に『鉄』。マケボで買いました。

紐状アイテムは紐状であればなんでもいいみたいだったので、ペチカちゃんからもらった『組み紐の石包みペンダント』、これはロアンに使ってた%上昇アクセサリーのやつ。

塗料はリーさんとの錬金術実験で出来た『黒い塗料』。たしかこれは『黒コゲ』を低品質ポーションに『変成』したアイテム。

革、または緩衝材。これは迷ったけど掘出しもの屋で仕入れてきた『白い純情』がなんかフワフワして綿のようなアイテムなのでいけるのでは?と出してみるとオッケーだったのでこれで。

闇属性の属性銃を作るのに光属性のアイテムでいいのか?というと、いいのである。『魔道石』以外の素材は何属性でもいいんだってさ。

水晶石。これはせっかくなので『属性水晶』の紫っぽいやつにしてみた。闇っぽい。

『付与素材はこれだけ? かなりちぐはぐな素材。あまりいいものにはならない』

「にゃん~、入れるのにオススメの素材はあるにゃ?」

『まず銃身が脆い。これでは反動に耐えられない。足すよりも変更することをおすすめする』

「あにゃあ」

さすがに『青ブナの杖』は弱かったか。というかよく見たら耐久値が減って品質が下がっている、これも原因かもしれない。結構長く使ってたからなあ。木工は持ってないし、…あ! そうだ。

「ちょっと素材を取りに行ってもいいにゃ?」

『構わない』

お断りしてテントを出て、マイルームへ。

品質が下がってるなら、『変成』出来るかもしれない!

これがダメだったらマケボで何かしら杖を購入することにして、中級錬金釜を開ける。

『青ブナの杖』をまず素材にして、ここに何かよさそうなアイテムを入れよう。

杖の効果が高まるようなもの、ていったらそりゃ羽根だよね。ちょうどロマン羽根を作った余りの『秘島鳥の羽根』があるので、これを追加素材として『変成』。属性は魔羽根作成時と同じく、氷でチン。

ちょっとの待ち時間、そして完成!

『魔鳥の青杖』。

なにこれつよそう…。

青にオレンジで模様が入った派手な色だが、形は『青ブナの杖』と同じでシンプル。

魔力が上がったものの、耐久が全然上がってない。まあこれは羽根だから仕方ない、のか?

はい。

なんとかならなかったときのために『トレントの枝』の低品質をマケボで購入。低品質は思ったより安かった。

購入してみた枝は結構曲がっていて面白い。こういう感じなんだなあ。

ついでに『真円錬成陣』で『魔法の粉(闇)』をいくつか作成。手順を忘れかけていたが、一度作ったレシピは記録されているので助かった。

テントへ戻り、早速『魔鳥の青杖』を台の上へ。

『面白いアイテム。しかし『鳥の杖』では耐久が脆い。『鉄』では支えきれないかも』

「金属を変えればいいにゃん? それとも素材を足すにゃ?」

『素材を足すなら杖を補強。添え木があれば完璧』

「にゃあ」

さっき購入した『トレントの枝』を足す。

『……これならば組める。他に素材は?』

「『魔法の粉(闇)』を足すにゃん~」

相談の上、塗料と糸の添加剤として使ってもらうことに。

そして気になる製作費用。なんと45万z。あれぇ!?

ケータくんより猫のが高いの!? あっ、もしかして素材を足すほど高くなる仕様か!

しかし今更やっぱりなし、というわけにもいかない。

『これで製作するからちょっと待ってて』

いってらっしゃいロアン!