軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

73回目 最速で依頼達成

静まり返ったギルドの中では、三人のオッサンが呻き声も上げずに倒れている。そしてその中心に立つシエラは服の埃を軽く払うと、ギルドのカウンター側に向かって静かに頭を下げた。

「皆様、大変お騒がせいたしました」

「…………ハッ! い、いえ! こちらこそ関係ないシエラさん達を巻き込んでしまい、申し訳ありません!」

シエラが頭を下げた事でフリーズが解けたミミナさんが謝り、ギルドには再び喧騒が戻って来た。

「おいおい謝る事はねぇだろ! 見事だったぜねぇちゃん! カッバ達を簡単に投げ飛ばすなんて、やるなぁアンタ!」

「ミミナちゃんも謝るこたぁねぇぞ! どう見ても悪いのはカッバのヤツだ!」

「おい! 今の内に縛り上げちまおうぜ!!」

それからは周囲にいた冒険者達の手によって三人のオッサンが縛り上げられ、ギルド職員の手によって運ばれていった。どうやら警備隊が来るまで、何処かに閉じ込めておくらしい。

そして俺達は、というかシエラは周囲の冒険者に称賛されながらミミナにもお礼を言われていた。

話を聞くに、あの三人は少し前に解体する方のギルドの酒場で酔って暴れ、その罰則として一時的にギルドカードを取り上げられた上で、罰則として三日間の薬草の選別を言い渡されていたらしい。

だが、あまりにも適当な仕事をしていた為に依頼達成とは認められず、態度も悪かったので罰則の期間を延ばされた。

それが気に入らずに、言い渡したミミナに絡んでいた訳だ。

「…………そして、罰則を受け入れず再び暴れたって事で、降格の上に街から追放っと。そういう処分になる訳ですね?」

「はい、そうなりますね」

ちなみに降格は二段階だそうなので、Dランクだったあのオッサン達はFランクになるらしい。あの歳で二段階降格はキツイだろう。もしかしたら冒険者を辞めてしまうかも知れないな。

まぁだとしても自業自得だし、あんなオッサン達の事はどうでもいい。俺達は依頼を受けに来たのだ!

…………と、意気込んでみたのだが、そうはいかなかった。

何故なら『ギルド職員のお手伝い』の依頼を受けた瞬間に、依頼達成とされてしまったからだ。

「…………あの、ミミナさん?」

「依頼とは、確かに期限が決められた物が多いのですが、例えばその依頼に対して著しい功績が認められた場合は、その時点をもって依頼達成とされる事もあるのです。…………今回が、正しくソレですね」

「いやでも、それをしたのはシエラであって、俺達は何もしていませんが?」

「何もしてないって事はないと思いますが、それよりも、パーティーメンバーの功績はそのパーティーの功績になる。と覚えておいて下さい。もちろん、逆も然りですよ!」

「は、はい! 覚えておきます!」

と言う訳で、『ギルド職員のお手伝い』と言う依頼は、最速で達成してしまいました。

ギルド職員達の心証を良くする。という裏の目的も、ミミナやこの場に居るギルド職員に関してはどうやら達成出来ているようだし、報酬もちょっと色を付けて支払われたので、今日はもう良しとしよう。

「いきなり依頼が終わってしまいましたね。どうしますか?」

「うーーん。なんか気が抜けちゃったしな。今日はもう休みにしようか」

俺の提案にシエラとトルテも頷いたので、今日はもうお休みです。取り敢えずギルドの中にいても仕方ないので、俺達は外に出る事にした。

何せ中にいると、シエラの強さを目の当たりにした人達の視線が凄いからな。実際、俺とトルテもついシエラをチラチラ見ちゃうしな。

いや、シエラはメッチャ強かった。三人目のオッサンの横ヅラを蹴った時なんか、シュパーン! って音がしていたもんな。完全に格闘技を極めてる奴の動きだったもの。治癒師なのに。

…………シエラが俺の『護衛』に来たってのは、マジだったんだなぁ。

「ところでさ、明日は何を受けるんだ? 薬草も手伝いも、さっきのアレがあるから受けづらくねぇか? やっぱ洗浄か?」

「ん? いや、まだ写本があるから」

「え? しゃほん? 何それ?」

「「?」」

ギルドから出て少し歩いた所で立ち止まり、トルテと目を合わせて首を傾げたが、すぐに思い出した。

そうだった。『蔵書の写本』は誰でも受けれる依頼じゃ無かったんだ。トルテは最初に除外されちゃったのか。

俺がトルテに明日、明後日と受ける『蔵書の写本』について説明すると、トルテは理解ができたみたいに唸ってから空を仰いだ。

「うーーんそっかーー。それは無理だなーー。俺、あまり勉強好きじゃないからそれは受けれねぇよ」

「そっか…………」

「まぁでもしょうがねぇか。そう言う事なら、俺はあと二回は洗浄受けるから」

「おう、なんか悪かったな」

「いやいや、人によって受けれねぇ依頼があるのなんて当たり前だろ? 謝る事なんてねぇよ」

と言う訳で、トルテと一緒に依頼を受けるのは一旦終わった。なぜ一旦かと言うと、俺もトルテも目指すものはEランクだから、Fランクに上がったら一時的にパーティーを組む約束をしたからだ。

Fランクだと受けれる依頼は街の中に限定されるが、俺達としても二人より三人の方が良いし、トルテにとってもそれは同じだからな。

どうせ依頼を受けるのは冒険者ギルドな訳だし、すれ違う事もないだろう。

「じゃあ俺、今日からの宿を探さないといけないから、もう行くな! この時間からなら、宿も探しやすいだろうしな!」

そう言って走り去るトルテを見送って、俺達はポッと出来た休日を街の観光をして過ごす事にしたのだった。