軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

598回目 ☆4に宿る神

ガチャアイテムにおいて、『神』の名が付くものは多いが、神個人の名前を冠するのは、基本的に☆5アイテムだ。

例えば☆5『料理神『ルカタルト』のリストランテ』や、☆5『闘神『ガルネシア』の闘技場』などがそれに該当する。

だが、唯一と言うか。俺はそれらしか引き当てられて無いのだが、☆4のアイテムに名前が登場する神がいる。

それが、『釣神『エービス』』であり、『釣神『エービス』』シリーズ装備だ。

《釣神『エービス』シリーズ》

メインウェポン:釣神『エービス』の釣竿(+4)

サブウェポン:釣神『エービス』のタモ網(+4)

腕装備:釣神『エービス』のフィッシンググローブ(+4)

頭装備:釣神『エービス』のフィッシングキャップ(+4)

体装備上:釣神『エービス』のライフジャケット(+4)

身体装備下∶釣神『エービス』のレインパンツ(+4)

足装備:釣神『エービス』のウェーダー(+4)

アクセサリー:釣神『エービス』の万能ルアー(+4)

アクセサリー:釣神『エービス』の偏光グラス(+4)

と、一通り揃うのが釣神装備だった。しかもこれ、シリーズを全て装備する事で『亜神』と言うスキルが付く。その効果は『釣りをしている間のみ、全ステータス+200』『釣りをしている間のみ、全装備に『不壊』付与』と言う尖った性能である。

ちなみに攻撃使っても、大してダメージは期待できない。基本的には弱い装備だからだ。ただ、敵の口にルアーをヒットさせれば、確実に釣り上げる事はできるし、それならば『釣り』として認識される。

要は、『釣り』さえしていればステータスは高いし装備も決して壊れない。釣る相手は魚で無くとも構わない。

と言う訳で。パーティーの中での役割としては、『釣りタンク』みたいな事になる装備である。なんだ『釣りタンク』って、初めて聞いたよ。

そして、この装備に魅せられた漢が一人。

火山によって灼熱の気候にある『バゴス王国』、そこから第三王子であるコウハキンと共にやって来た騎士団の団長。ダイキョ=ウーキンである。

「我が人生は筋肉と釣りで出来ている! 神よ! 我が筋肉の盛り上がりをご覧あれ!!」

大鯨の幻獣『フォグホエール』がゆっくりと泳ぐその横で、釣神装備に身を包んだダイキョ=ウーキンが全身の筋肉を盛り上げた。

コウハキン率いるダイキョ騎士団の面々が乗るのは小型飛空艇であり、大鯨と比べると正に小魚程度に見える。

小型飛空艇は全部で三隻あり、その全てにダイキョ騎士団が乗っている。敵が大鯨であり、その討伐を任されると同時に、コウハキンは自身を含めたバゴス王国騎士団の全軍で討伐に出たのだ。

そして、その先頭を進む小型飛空艇の舳先には仁王立ちするダイキョがおり、ダイキョは目の前を悠然と泳ぐ大鯨に臆する事無く、『釣神『エービス』の釣竿』を構え、大鯨の口目掛けてルアーを飛ばした。

距離など関係無いとばかりに大鯨の口に一直線に飛んでいくルアーは、まるで吸い込まれるように大鯨の口へと入り、その瞬間にダイキョは釣竿を引いて合わせた!

「良し! うまく掛かった!」

「油断するなよダイキョ!」

「心得ております! コウハキン王子!!」

ダイキョがコウハキンに返事をした時、とんでもなくデカいアタリがダイキョを襲った。ダイキョの身体は小型飛空艇の舳先にベルトで固定されているため、本来ならば大鯨に引っ張られて飛空艇ごと引き摺り回される。

だが、ダイキョが装備しているのは釣神装備である。それぞれの装備品に付与されているスキルは全てが『釣り』に特化した物であり、ダイキョは臆する事無く、リールを巻き上げ始めた!

「うははははっ! 流石にこれほどのアタリは初めてだ! 滾る! 滾るぞ!! 全身の血が沸騰しそうだ!!」

『ブオォーーーーム!!』

大鯨とダイキョによる力比べは、釣神装備の力によってダイキョに軍配が上がる。

ダイキョはまるで一本釣りの様に竿をしならせ、大鯨は背面から船を飛び越えて結界に固められた海上に打ち上げられた!

「コウハキン王子!!」

「わかっている! 今がチャンスだ! 全員、攻撃を集中させろ!!」

大鯨が打ち上げられた瞬間、コウハキンの号令がとび、小型飛空艇に備え付けられたバリスタや大砲からの攻撃と、各種攻撃魔法が大鯨に集中する。

三隻の船から放たれる攻撃はかなりの威力があったのだが、巨大に過ぎる『フォグホエール』には大して効いてはいなかった。

しばらくは陸に打ち上げられた魚の様に身を捩っていた『フォグホエール』だったが、その内に体勢を立て直し、『釣神『エービス』の万能ルアー』も、その口から外れてしまった。

「また空に上るぞ! 全軍散開!!」

「「オウッ!!」」

コウハキン達が乗る小型飛空艇が散開し、大鯨が再び空に上る。

「またやり直しだ! いけるなダイキョ!!」

「ハッ! お任せください! 何度でも釣り上げてご覧に入れましょう!!」

コウハキンとダイキョ騎士団と『幻獣・フォグホエール』の戦いは続く。

そして、アリア対大猿『カラブ・ハヌマーン』の盤上での戦いと、コウハキン率いるダイキョ騎士団対大鯨『フォグホエール』との戦いとは別に、『闘神『ガルネシア』の闘技場』でも戦いが起きていた。

幻獣、大ムカデ『グラウドピード』と、幻獣達と共に出現した多くの狂った神獣達との集団戦。

我聞達は、この予定外の集団戦によって、思わぬ消耗を強いられる事になったのだ。