軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

444回目 エルフのいる場所へ

「つまり、その『エルフの秘薬』を手に入れるために、飛空艇でエルフの島に連れて行ってほしい、と言う事ですね」

「はい! 姫様のお腹は日々大きくなっており、今から『海流のダンジョン』を攻略するのではとても間に合わないのです!」

頼みの『海流のダンジョン』が使えないと解ったレプラコーンは、それはもう大混乱に陥った。王様と恋に落ちた姫君の妊娠を一族で心から喜んでいたから、そこから一気に奈落に落とされた事で混乱はより大きくなり、もう手のつけられない有り様だった。

そんな時だ、彼らの隠れ里に近い空を飛空艇『ブレイブレイド』が横切ったのは。

「空飛ぶ船を見た瞬間に、これしかないと思いました。このままダンジョンの攻略が早く終わる奇跡にすがるより、確実な手を打つべきだと。この老骨の首をひとつ捨てる覚悟で、是が非でもエルフ様の所までは運んで貰おうと、私は飛空艇を追ったのです!」

モメットの運が良かったのは、飛空艇には『ドール騎士』が船の乗組員として乗っていた事である。

☆5『◇天空城『レナスティア』』が持つ能力によって生み出される『ドール騎士』は、とても高い基本性能と成長性を誇る。

まっさらの状態で作られ、教育により成長していく『ドール騎士』が、飛空艇の乗組員として教育されている以上、地上から飛空艇を目的について来る者に気づかない筈はない。

そして気づいたのなら、当然カーネリアに報告が行く。

カーネリアはついて来る者を飛空艇のブリッジにある大画面に映させ、それがレプラコーンであると知って招き入れたのだ。

「レプラコーンってだけで招いたのか?」

「ガモンは知らなくても無理はないけど、レプラコーンって自分から人前には絶対に姿を見せないのよ。それが飛空艇を見上げながら、決して人通りの少なくない街道を走っていたのよ? そんな事をすれば、捕まって違法奴隷として売られるのが目に見えているのにね。実際あの時、捕まえようと動いた商人だっていたのよ? 同じように捕まえようとした他の商人と争っていたから、先に保護出来たけど」

「つまりアレか。そこまでの危険を侵してまでついて来るのだから、ただ事じゃないと受け入れたのか」

「そう言う事。私と同じ立場なら、ガモンだってそうするでしょ?」

「…………かもな」

そんな経緯で、モメットは運良く飛空艇『ブレイブレイド』に拾われ、事情を聞いたカーネリアに連れられて俺の所まで来た訳だ。

「モメットさん。あなたは、いやレプラコーンは本当に運が良いですよ。俺達もエルフには用があって、会いに行こうと思っている所だったんですよ」

「本当ですか! では是非とも私も共に連れて行ってくだされ! エルフ様は外から来た者には冷淡で知られますが、このご恩に報いるため、私が必ずや橋渡しをしてみせます!」

「期待しておきます」

まあ、橋渡しについてはアルジャーノンからの紹介状があるから大丈夫だと思うんだが、こういう声は多くて邪魔になる事はないだろうし、折角のご好意だ、ありがたく頼らせて貰おう。

俺達の住む大陸から西へしばらく。

いくつかの国を越えて、長く連なる雪景色の山脈を越えて、さらに海に出てから南西に向かった大海原の中に、不思議な島があった。

海の真ん中にあり、高い岩山に囲まれた島で、中には世界樹のある森が広がっている。…………とは聞いていたのだが、その島はそれだけでは無かった。

岩山の向こう側には、確かに森が広がっていたが、は中心にやたらと太い円柱のような岩山があり、それが空に向かって伸びた先で、渦巻く雲に突き刺さっていたのだ。

その雲は薄くて光を通しているため、雲の下にあっても森は育っているらしいが、かなり不可思議な光景となっていた。

「あれが、エルフの住む島か? 何と言うか、かなり不思議な島だな。あんなに平べったくて薄い雲は初めて見た」

「えーーと、すいません。私は何度もエルフ様の島に行っておりますが、あの雲には初めて気がつきました。…………確かに思い返せば、空を見上げる度に白い物が見えていた気はしますが、てっきり結界か何かかと思っておりました」

飛空艇『アベルカイン』のブリッジから、外を見ていたモメットは、初めて上空から見るエルフの住む島の景色に、感動半分、戸惑い半分といった様子でオドオドしていた。

「上空から見て初めて気づいた訳ですね。…………しかしアレですね。こんなに森が密集してるとは思いませんでしたね」

飛空艇から見るエルフの住む島は、まさに森その物であり、広場や湖も見あたらない事から、飛空艇を降ろす場所に困ってしまった。

まさか、いきなりエルフの集落に飛空艇を降ろす訳にもいかない。かと言って森の上では、飛空艇から降りると言っても飛び降りのようになってしまう。

「どうするの? ガモン?」

「そうだなぁ…………」

好奇心から俺に着いて来たティアナからの問い掛けに、俺は少し考えてから島に降りる方法を決めた。

「よし、少し騒ぎになるかも知れないが、ここはグラック達に乗せて貰おう」

俺達は仲間と共に『ジュエルドラゴン』に跨がり、エルフのいる島へと降下するべく、飛空艇の甲板から飛び降りた。