軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

432回目 ドワーフの酒宴

「ガハハハハッ!」

「ワハハハハッ!」

「ダハハハハッ!」

「「「「カンパーーイ!!!!」」」」

そこかしこから聞こえる豪快な笑い声と、すでに何十回目か分からない乾杯の音頭。辺りには大きな酒樽や酒瓶に空き缶が転がり、漂うアルコール臭だけで酔いそうだ。

「こんな事になるとは…………。いや、すまねぇな兄弟」

「彼らの気持ちも解らないでもないからいいよ」

酒樽と共に床に転がり、起き上がってはまた酒を飲んで転がるのはケガレ者と呼ばれていたドワーフ達だ。

大量の『仙酒』で瘴気を洗い流し『エリク酒』を煽って失った手足が戻った彼らは、喜びにうち震えるかと思いきや『エリク酒』の影響で一気に酩酊状態になった事もあり、そのまま大宴会へと突入した。

「おーーう! 酒もツマミも足りねぇぞ!!」

「ジャンジャンもってこーーい!!」

「「ブワハハハハッ!!」」

いやーー、凄いなドワーフ。初手からフルスロットルだ。もう俺のスキル倉庫に入れてた酒が無くなりそうだもの。

いいんだけどさ。ちょっとハシャギ過ぎじゃなかろうか? …………いいんだけどさ。

「兄貴、戻りやした」

「おう。で、どうだったい?」

と、そこにアレスやシエラと一緒に『レナスティア』の『鉱山の浮島』へと調査に行ってきたドワーフ達が戻って来た。

彼らはアレス達と共に『鉱山の浮島』のダンジョンへと潜り、どんな鉱石が取れるのかを確かめに行っていたのだ。

そして俺達と共にテーブルのある場所に移動すると、マジックバッグから水晶のような物やただの石にしか見えない物なんかをゴロゴロと取り出して並べた。

「…………おお、こりゃ上物じゃねぇか。何階層まで潜ったんだ?」

「へい、取り敢えず軽く十五階層まで潜りやしたが、あそこはいいですぜ。採取ポイントからもモンスターからも鉱石やら宝石やらが手に入りやした。それに、五階層毎に転移板もありまして、入口まですぐに戻れました。ただ、入口から飛ぶには、十階層毎にしか飛べねぇみたいですが十分でしょう。採取ポイントとモンスターのリポップも早そうなのがまたいいですぜ」

「フム。…………転移板付きって事は上級ダンジョンだな。なら階層は浅くて五十か。十五階層まででこれだけ質のいい鉱石が採れるなら上出来だな」

「それだけじゃありやせん。兄貴、これを」

「ん? …………なんだこりゃ、初めて見るな」

「『鑑定』によりやすと『泡鎧の紋章』だそうです。なんでもこの紋章を鎧に焼き付けて魔力を込めると、泡が吹き出して炎と氷の魔法を無効化する鎧になるとか」

「…………初めて聞くアイテムと効果なんだが?」

「へい。俺らも初めてです」

ドアルガンがチラッとこちらを見るが、当然ながら俺も知らない。ちなみに、この『紋章』と言うアイテムがそもそも初見だそうだ。

…………困った時の『マイスター・バー』。

と言う事で、マイスター・バーのマスターに会いにスキルを開き、金貨五枚を払って情報を買って来た。それによると、このアイテムは俺のガチャアイテムと同じ扱いになるが、ドワーフが鍛冶で使う事を前提とした特殊アイテムとの事だ。試してみたら、確かにスキル倉庫に入れる事が出来た。

ダンジョンから採れるアイテムも、ガチャアイテムと同じ括りになるとは思ってなかった。これはおそらく、『レナスティア』のダンジョンだからなのだろう。

☆3『泡鎧の紋章』

・鎧装備にのみ焼き付ける事が出来る『紋章』。焼き付けるにはドワーフの力が必要であり、他の紋章と併用は出来ない。同じ紋章を重ねて焼き付ける事で強化する事は出来る。

・《泡鎧》紋章に魔力を注ぐ事で発動する防御スキル。効果時間は三十秒と短いが、ドラゴンの吐く炎の熱すら通さず、ドラゴンの吐く氷のブレスですら凍らない。

「ホウ。これは使いどころは限定されるが、おもしれぇ効果だ。おい、紋章は幾つある?」

「一つだけです。十階層のデカイ蟹みてぇなボスが落としたもんなんで」

「一つだけか、色々試してぇ所なんだがな。しかし他の鉱石や宝石も粒ぞろいだ、こりゃあ本腰入れて移住も検討しねぇと…………」

などとドアルガン達が真面目に話している所に、酔っぱらいドワーフ達がなだれ込んで来た。

「おうおう何時まで話してんだ! 俺らの快気祝いだぞ辛気くせぇ!」

「そうだそうだ! お前らもコッチ来て飲め! 今やおめぇが里長なんだ! あんな体になった負い目でちゃんと祝えて無かったからな! 一杯注がせろや!!」

「ワシらはドワーフだ! ドワーフの流儀は飲んで騒いでまた飲んでだ! よっしゃ来い!!」

「い、いや待て叔父貴! ワシらは大事な話をだな…………!」

「まぁまぁまぁまぁ」

「まぁまぁまぁまぁ」

「まぁまぁまぁまぁ」

「ワッハッハッハッ!!」

まぁまぁと連れてかれて次々と酒を流し込まれたドアルガンが、最後は宴会の呑まれるように自ら飲んで騒ぎ始めた。

なんて言うか、本物のドンチャン騒ぎってのを目の当たりにした気分だ。

「おーう、そこのドワーフの恩人! おめぇドアルガンと兄弟になったそうじゃねぇか!!」

「なに! 兄弟だと!? じゃあおめぇ、ドワーフじゃねぇか!!」

「ならコッチ来て飲め! 恩人ドワーフ!!」

「恩人ドワーフ!? いやそれどんな理屈…………!」

「まぁまぁまぁまぁ」

「まぁまぁまぁまぁ」

「まぁまぁまぁまぁ」

「ワッハッハッハッ!!」

────ドンチャンドンチャンと騒がしい夜は過ぎていき、我聞のスキル倉庫からは全ての酒とツマミが消え失せて。状態異常に強くなるアクセサリーや、悪酔いしなくなる『仙酒』の効果すらも越えて。

次の日の朝には、二日酔いに苦しむドワーフ達の屍が大量に転がる光景が広がっていた。