作品タイトル不明
431回目 『エリク酒』
「エリクサーの大量生産? それはまだ材料が足りな過ぎて無理だよ。そのために『世界樹』とかを育てないといけないって話だったでしょ?」
「…………まあ、そうなんだけどさ」
ドワーフ達に報酬として渡すエリクサーを、どうにか☆5『技巧神の大工房』で作れないかとアルジャーノンに話を持って来たのだが、アッサリと断られてしまった。
まぁ確かに、あの『世界樹の苗木』を育てればエリクサーの材料も取れる、だから育てる為にもエルフを仲間にしようって話だったけど。やはり世界樹の素材がないと難しいか。
しかしどうしようか。いや、エリクサーなら十万ガチャポイントで交換できる。だが十万ポイントってのは☆3のガチャアイテムで考えれば千個売らないと手に入らない。
銀貨で回せる食品ガチャの☆2の野菜で稼ぐとしたら一万個。結局変わらない。要はエリクサーの一本あたりは日本円で一億円必要なわけだ。クソ高ぇ。
しかもだ、俺はついこの間ガチャポイントを大量に消費したばかりだ。
☆5『◇天空城『レナスティア』』の設備を整え、『レナスティア』で作りだせる魔導兵であるドール騎士団を製作し、『海湖の浮島』でマーメイド族が暮らせるように整備して、さらにはティアナにプロポーズするために『温室』を造ったりもした。
ハッキリ言って使い過ぎである。この後、ドワーフのために『鉱山の浮島』も整備しなければいけないだろうから、これ以上使うのは厳しい。
とは言えだ、せっかく瘴気の呪いが解けるのなら早く治してやりたい気持ちもある。恩義を感じて装備の製作を頑張ってくれるかも知れない、と言う打算的なものではあるが、その為にはやはりエリクサーが必要だ。
「…………どうするかなぁ…………。☆5『霊酒の壺』の酒を使う手もあるが、あれの方が貴重だしな…………」
「れいしゅ? …………え!? 『霊酒』を知ってるの!? って言うか、もしかして持ってる!?」
「ん? あ、ああ。ほんの少しだけしか無いけど、一応はあるぞ?」
そう言えば、☆5『霊酒の壺』は霊酒の効果が高いのと量の少なさから、ドゥルクに預けて秘匿していたんだった。
「『霊酒』を知ってるのか、アルジャーノン?」
「…………いや、心当たりが無かったから探していたんだよ。『技巧神の大工房』のレシピの中に、材料として載っていたんだけど、僕は知らなかったから。ガモンくんが持ってる可能性は考えていたけど、他の研究が忙しくて忘れていたよ」
「忘れてたんかい。…………まぁいいや。それで、何のレシピに『霊酒』が載ってたんだ? あれを材料にするとか、かなりヤバイぞソレ」
「まぁヤバイのは確かかな。『霊酒』を材料にして作れる物の名前は『エリク酒』。エリクサーと同じ効果を持つお酒だね」
「…………詳しく」
☆4『エリク酒』
・霊薬の長たる『エリクサー』と同じ効果を発揮するお酒。ただしそのアルコール度数は高く、どんな酒豪でも一口飲めば『酩酊』状態に陥る。そういった意味では、『酩酊』状態だけは治せない。
(材料:霊酒+仙酒。割合は1に対して1000。作製するにはエルフの力が必須)
…………マジかよ。最高じゃないですか。
霊酒と仙酒の組み合わせでエリクサーが作れるなら、俺の悩みなんて吹っ飛ぶぞ。しかも割合が一対千て。大量に作れるじゃないですかい。
「こ、これ作れるよな!? アルジャーノンはエルフの血も継いでるだろ?」
「うん、作れるよ」
「よし! ちょっと待っててくれ! 『霊酒』を取って来る!」
俺はすぐさまフレンド・チャットでドゥルクに連絡を取り、『拠点ポータル』で一度『レナスティア』へと来て貰って、首尾よく『霊酒』を受け取る事が出来た。
ドゥルクに預けっぱなしで、俺が☆5『霊酒の壺』を見たのは久し振りだったが、壺の酒はまだまだ少なかった。しかし、掬って見ると『霊酒』が金色に輝く酒である事がよく解った。前に一度、瀕死のカーネリアに使った事があったが、見るのはその時以来だ。
仙酒が千に対して霊酒が一だ。仙酒はいくらでも手に入るから、霊酒の量が問題だな。『エリク酒』の一瓶が50ミリリットルとして、二百本は必要か?
となると一万ミリリットルは必要で、その為に使う霊酒の量は…………。え? 十ミリリットルでいいの? マジで?
衝撃の事実に驚きながらも、俺は必要な霊酒を確保してアルジャーノンの元へと向かった。
アルジャーノンは俺が霊酒を持って来ると確信していたようで、既に大量の仙酒を用意し、その上で準備も整えて待っていた。
そして、アルジャーノンがコップで半分程度の霊酒を、樽で一つ分の酒に入れて魔力と共に混ぜ合わせ、俺はエリクサーと同じ効能を持つと言う『エリク酒』を樽で一つ手に入れる事に成功したのだった。
これでドワーフの里で、瘴気に呪われたケガレ者達をちゃんと救う事が出来そうである。