軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

352回目 破滅の足音

白狐族の里に来て三日。大ババ様こと亜神『ハクラテン』以外にも、この里から行商に行く事がある白狐族の数名ともフレンド登録をした。

行商する者達とは、春になったら連絡を取り合ってゲンゴウと引き合わせるつもりである。信用が置ける商人との繋がりは彼らも欲していたので、これはちょうどいい機会だったのだ。

ニッカとダッカを送り届けて、白狐族の人達との繋がりも出来て、大ババ様ともフレンドになった。彼らもまた、『郷愁の禍津像』を見つける事に協力してくれると言うし、目的は十分に果たされた。

だから、俺達はそろそろ帰ろうかと思っていたこの日、俺は不思議な音を聞いた。

それは地響きのような、地鳴りのような音で、かなり長いこと続いていた。

「…………何の音だ?」

「地鳴り…………ですかね?」

「ああ、これは雪崩ですね。大ババ様の結界に護られているこの里には影響ありませんので、心配はいりませんよ」

俺達のテントの中にまで重く響いてきた音に不安を感じていると、世話役のモッペが心配いらないと教えてくれた。

大ババ様は吹雪でドーム型の結界を作る人だからな、雪崩ていどではビクともしないそうだ。

「雪崩ですか。よくある事なんですか?」

「雪が多くなると増えますね。…………ああ、そう言えばまだそんな時期ではないですね。不思議な事もありますね」

冬の始まりであり、雪がまだ少ないこの時期には、当然雪崩になる程の雪はないはず。とすれば、地震や崩落があったのかも知れないと、モッペは言った。

「しかし雪崩か。下山するのが少し不安になるんだけど?」

「いえいえ大丈夫ですよ。雪崩と言っても、この程度の音ならば規模が小さいですからね。まだまだ雪が少ない証拠ですよ」

これで音が小さいのか? いやそうか、山彦的に音が響くから大きく感じるだけなのかも知れない。

と言う訳で、俺達は明日にも白狐族の里を出ると決めた。数日世話になった里を去るのだ。大ババ様への挨拶はもちろん、ニッカとダッカにも別れを告げなくてはいけない。

「シエラ、カーネリアは今日も?」

「はい。朝にはニッカとダッカの様子を見に行きました」

「アイツ、この里に来てからほとんど二人の所に行ってるな」

「ニッカもダッカも、カーネリアには凄く懐いていますからね。ここで二人と別れたら長く会えなくなりますから、しょうがないですよ」

「それに、あの子達のテントは里の人達が用意してくれましたが、二人だけで暮らしていますからね。カーネリアは、きっと心配なのですよ」

今アレスが言った通り、この里においてニッカとダッカは二人だけで暮らしている。二人の両親は早くに亡くなり、その後二人を育ててくれた祖父も、二人が誘拐される時に殺されてしまったからだ。

この里は一族としての繋がりも強いが、家族としての繋がりはもっと強い。

それ故、例え亡くなっていたとしても、家族を安易に家から引き離すべきではないし、新たな家族として迎えるのでなければ、安易に家に入れるべきではない。と言う考え方があるのだ。

それはニッカとダッカに限った話ではなく、他にも子供が一人で暮らす家だってあるのだ。むろん、家に入れないだけで、村の人達は協力して手を差し伸べている。

「…………取り敢えず、カーネリアにも『フレンド・チャット』で連絡を入れておくか。あの二人には、カーネリアが直接伝えたいだろうしな。昼前には、大ババ様の所に挨拶に行くって入れておこう」

「そうですね、それならカーネリアも…………?」

「……………………地震か?」

地震、と言うよりも微弱な振動だろうか? 突然感じた振動に少し身構えた。

「…………けっこう長かったな」

「最近多いですね。この里に来る少し前から、この振動はよく感じています」

「え、そうだったの? …………アレスは知ってたか?」

「はい。この里に来る前はドゥルク翁やアルジャーノンとも相談しました。二人とも、微弱な揺れが多く出ている事を警戒はしていましたね。地盤の関係で大きな地震にはなり難いから大丈夫だろう、と言ってましたが」

「…………そっか。いや、デカイのが来ないなら問題はないけどさ。デカイのが来ると家が崩れたり山が崩れたりで大変だからな」

そう言って、俺の不安が少し払拭された時だった。俺の目の前にスキル画面が表示され、そこに現れた『警報』の文字と共に、俺にしか聞こえないアラームが鳴り響いた!

「『緊急クエスト』だ!!」

「「緊急クエスト!!??」」

《緊急クエスト》

『魔王の幻獣化を阻止せよ!! (期限:十日)』

・各地で魔王が生み出したダンジョン・コアにより、八体の魔王の封印が解けかけている。これらの魔王は復活後、一ヶ所へと集まって『幻獣』に成ろうとしている。

・もし魔王が集まり『幻獣』となれば、世界に瘴気が溢れる事となる! 八体の魔王の全てを封印、もしくは討伐せよ!!

依頼主:?????

報酬:『☆5クラッシュレア確定! ガチャチケット』

その緊急クエストのあんまりな内容を見て、俺は顔を引きつらせた。十日以内に八体の魔王の討伐に封印? しかも幻獣に成るってなんだ? これってもしかしなくても、世界が破滅する危機じゃないのか?