軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

199回目 王城に呼ばれて

「…………結局、王様と会う事になったか」

王家から俺達を迎えに来た王家専用の馬車に乗って、俺達は王城へと向かっていた。

王家専用なだけあって、馬車のグレードはターミナルス辺境伯家の物より大分高い。揺れも音も少ないし、床もソファーも柔らかくてすぐにでも寝られそうな程だ。

これで行き先が王城でなければ、最高だったのにと、思わずにいられない。

「仕方ないでしょう。王国側としても勇者からの警告とも言える情報に対して、保留に近い立場を取ったのですから。これから先もガモン殿から情報を貰う為にも、顔をしっかりと繋いで敵ではないとしっかり主張したいのですよ」

「別に敵だとは思ってないよ。味方とも思えないけど」

「『郷愁の禍津像』の破壊に難色を示している訳ですからね。ですが、『郷愁の禍津像』を集める事には協力を申し出てくれたんですよね?」

「それだって、何処の国に封印された魔王の物かを知る為だろ。ジョルダン王国とその近辺に封印されている物は破壊するだろうけど、敵国に封印されている魔王の物については反対してくるぞ? 魔王を封印している土地があるだけで、国力が低下するらしいから」

ちなみにこれはカーネリアの見解である。そしてそのカーネリアは今回は留守番している。

けっこう無茶な感じで俺の所に転がり込んだので、王城に勤めている騎士達と顔を合わせづらいらしい。なんでも一番怒っているのは魔導大臣でもあるカーネリアの叔父だとか。

よく解らない話だが、カーネリアがあのまま魔道士隊に所属していたなら、その叔父と結婚して分家筋の叔父は本家に入る予定だったとかで、その道が断たれた叔父はとても怒っているらしい。

でも、カーネリアとしては二十近く歳の離れた叔父との結婚が流れた事を喜んでいるようだ。まぁそりゃそうだろうな。

政略結婚の上に相手が叔父で、しかも正妻がすでにいるのに、それを押し退けて正妻に収まると言う、修羅場を鍋で煮込んでいるような状況だったようだし。

流石にその話を聞いたら、家に居ていいよと言うしか無かった。正直に言えばドゥルクがいる場所に残すのは不安もあるが、ドゥルクは『◇キャンピングカー』の中だし、今は☆5『霊酒の壺』にわずかづつ溜まる酒が、やっと目に見える量になったと喜んでいたから、研究に忙しいだろう。

俺達を乗せた馬車は、俺達を乗せたままで王城の敷地内に入り、王城の敷地内をそのまま進んで坂を随分と登った先の、大きな噴水のある中庭まで来て止まった。

そして俺達はメイドに案内されながら城の中を歩き三階ほど登って、そのフロアにある一室へと通された。

案内してくれるメイドが、階を移動する毎に別の人に交代していったが、どうやらフロアによって管轄が違うらしい。

俺達が今いるフロアは王家の生活フロアであるらしく、俺達はいきなり国王の私室に通されたのだ。俺達が自分の足で登ったのは三階までだが、王城に着いてから馬車が坂道を走りながら登った分があるので、王城全体で見ればここはもう最上階なのだ。さっきの噴水まである中庭は、いわゆる空中庭園ってやつだろう。

と言うか、謁見の間とかじゃないんだな。こう、貴族達に睨み付けられながら頭を下げて、とかやらないといけないんだと思ってたんだが。わざわざ私室に呼んでくれるってのは、かなりの大歓迎なのだろう、きっと。

「陛下、ガモン様とその一行をお連れしました」

俺達を連れて来たメイドが扉をノックしてそう告げると、扉が内側から開けられた。開けたのは中にいたメイドで、俺達はそのメイドに促されて部屋の中へと入った。

「おお、そなたがガモンだな? 呼び立ててすまなかったな、こっちに来て楽にしてくれ」

中にいたのは四十代半ばくらいの豪奢な服に王冠を被った男と、それと同じくらいの年頃のドレス姿の女性、最後にその二人よりも年上に見える背筋を伸ばした細身の男の三人だった。

俺に声をかけたのが王様で間違いないだろう、俺達はその王様に促されるままに豪華な部屋を進み、ソファーに腰を下ろした。いま座っていないのは、背筋を伸ばした細身の男ひとりである。

「まずは自己紹介だな。余がジョルダン王国の王、『ジョゼルフ=アインズ=ジョルダン』だ。よろしくな、勇者よ」

「私は妻のホリィヌ=アインズ=ジョルダンです」

「宰相のロイエン=ルフタングだ。諸君らと一番会う事になるとすれば私だろうから、覚えて貰いたい」

ニカッと笑う王様と優雅に礼をする王妃に、ビシッとした宰相。三者三様の挨拶をされて、俺達もまた自己紹介と共に挨拶を返した。

「ウム。さっそくなのだがガモンよ。今までほとんど真実に触れられてなかった『魔王』と『郷愁の禍津像』に関する情報に感謝する。と同時に、我らの不甲斐ない決断には落胆したであろう。それについては申し訳なく思う。すまんな」

まずは礼と謝罪から入る王様。自己紹介からの流れを見ると、この王様は凄く良い人そうに見える。…………が、仮にも一国の王だ、そう見えるように仕込みもあるのだろう。俺はなるだけ油断をしないように気を引き締めて、王様との会談に臨んだ。