軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

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今日も結局寝坊して起きるとエルフの子供たちは帰った後だった。

里の皆さんと過ごせるのはもうあと今日一日だけだと思うと何だか名残惜しい。

結局、エルフのエルフらしい所を見ることなく去ることになりそうだ。

とはいえ、エルフらしさって何だろう?

やっぱ長寿で神秘的で美男美女とかだよな。

里の皆さんを見るに多くの人が見目麗しいのは確かだ。

きっとゲオルグたちも若い頃はカッコよかったのだろう。

長寿のふたりと出会えたことに感謝しておくことにする。

結局、特にやることもなくエルフの里を発った。

フルミネに跨り藪を抜け、小屋の横を抜け、後はひたすら坂を下っていく。

大岩のところの藪を抜けて、このまま森を抜ければバーゼル市街というところで最初に俺を案内してくれたエルフが立っていた。

「あ、その節はどうも」

「里はどうでした?」

「大変有益な時間を過ごせました」

「それは良かった」

またお越しくださいとは言ってくれないんだな。

曖昧に頭を下げて通り過ぎようとしてふと気になっていた事を聞いてみる。

「そういえば、僕がバーゼルに来るとどうして知っていたんです?」

「ああ、アレですよ。モカシン・テレグラフ」

「??」

「あれ、ご存知ないですか? あなたの生きた時代の概念ですけど」

テレグラフって電信の事だよな。

モールス信号とか電報とか?

「すみません、無知なもので、、、」

「それは失礼しました。このような田舎ですと、あなたが進むよりも速いスピードであなたの噂が届くんですよ。余所者が珍しいですからね」

「ああ、なるほど」

モカシンてアメリカ先住民を指してるんだろう。

きっとアメリカン・ジョークだな。

しかしちょっと怖いな。

誰かに追い抜かれた記憶はないのだけど、なのに既にバーゼルに俺の情報が届いてたって事だもんな。

「どうかお気をつけて。旅は大変危険ですから」

「そうですね、気をつけます。ご忠告ありがとうございます」

笑顔に背を押されてそのまま歩を進めたけど、確かに気をつけねばと気を引き締めた。

往路は手紙を預かっていたからかなり気が張っていたけど、帰りはなんだか緩んでいた。

もう道は知っているし、なんなら街ごとに宿に泊まろうかと思っていたほどだ。

しかし、確かに暫くはずっと田舎。

モカシン・テレグラフが機能していれば、どの街に寄ったとしてもそこの住人、特に悪い事を考えるような人は俺を待ち構えているという事だもんな。

やっぱ復路も街には長居せず、宿にも泊まらず、他の利用者の居る休憩所は使わないようにしよう。

だってここは追い剥ぎや人攫いが当たり前の世界なのだから。

いやはや、あのエルフに再会して良かったな。

「フルミネも気をつけような。お前も里ですっかり鈍ってしまっただろ?」

たった二週間ほどの滞在だったけどフルミネは少し太った気がする。

タテガミも前髪も尻尾も切り揃えられて清潔感がある。

そういえばヒヅメも切ったと言っていた。

馬のヒヅメ切りはポリオリの馬子さんもやってたけど、なんか怖くて見てられなくて覚えられなかったんだよな。

だって凄いデカいペンチのような食い切りで爪をバリバリカットして、中央部分もちっちゃい鎌のようなナイフでサクサク抉り掘るのだ。

下手したらやり過ぎて出血させそうで怖い。

蹄鉄を打つのも見てると背筋が凍るような恐怖に襲われる。

だって足の裏に太くて長い釘を打ち込むんだぜ?

馬は痛くないらしいけど見た目がもうヤバ過ぎる。

そういう訳で俺は馬の世話はかなり中途半端だ。

日々のちょっとしたお世話しかできない。

馬の下僕としても役立たずの部類だ。

そんなままではフルミネとの何年も続くような本当に長い旅は無理だよな。

そんな俺の思いを知ってか知らずかフルミネはわざわざ顔を横に向けて、唇をとんがらせるという新しい変顔を見せてくれた。

サービスのつもりかバカにしてるのか判断が付かない。

なんにせよ、今日は薄曇りで夏季の旅にはとても適した天候だ。

王子に買ってもらった夏用の短いマントのフードを被って日差しを避けなくても良いので涼しい。

フードは被るとやはり熱気がこもる。

耳や首筋が熱い。

俺が農民の男性が被ってるような麦藁帽子を着けてたら変かしら?

絶対快適だと思うんだけどな。

初心者の為の準男爵ファッションの手引き書、みたいな本か雑誌が欲しい。

きっと貴族のNGアイテムとかあるんだと思うんだよな。

相談できる相手が居ないとなにかと困る。

早く王都へ帰ろう。