軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

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ホールの後ろの方で整列して立ったまま待たされた。

ホールには、この広い天井を支えるための太い大理石っぽい柱が並び、如何にも城内といった荘厳さがあり前方には舞台が設えてある。

舞台の後ろはやはりステンドグラスで、ここは何かの意匠ではなくただキレイなモザイク柄となっている。

今の時間はちょうど夕日が当たっており、なんとも神々しい雰囲気が漂う。

壁際には沢山の背の高い燭台が並べられ、ホールの中央ラインには巨大なシャンデリアが二台吊られている。

その全てに蝋燭が灯され、もう夕暮れ時になるというのに充分に部屋が明るかった。

いつもの倹約はこの日の為なのかも知れない。

眩くてなんだか感動的ですらある。

さて、俺たちは最後尾近くなので察するに兵隊さんたちは参列できないみたいだ。

入りきらないのかもな。

ホールは左右で二分割され左側がポリオリ。

右側がバルベリーニということみたいだ。

待っていると士官たちが入ってきてホールの前の方を埋めた。

士官たちはグレーの軍服の上に真っ赤なマントを羽織り無帽である。

バルベリーニの士官は黄色い軍服に白いマントだ。

マントはどうやって固定しているのか見えないが前をはだけるように付けていて肩章を隠さないようになっている。

なんとも華やかである。

俺がオタクの腐女子だったらこの光景だけで何杯でも白飯が食えたことだろう。

ふと気付くと音楽が聞こえている。

バロック音楽というのだろうか、弦楽四重奏という奴かも知れない。

カノンとかそういう感じの高級そうなヤツ。

首を巡らして何処から鳴ってるのか探すとホール後ろに中二階があるのに気づいた。

あそこで演奏してるのか。

生演奏とはこれまた凄いな。

放送委員会がテキトーにCDをかけているのとは違うのだ。

その豪華さに慄いているといつの間にか壇上左側に領主と王妃が立っていた。

すると右側からバルベリーニの王子が迎え入れられる。

音楽が止み、領主が口上を述べた。

「両国を繋ぐ道がお互いの力によって今年も開かれた。これは我らの親睦を寿ぐ場である」

領主と王子が歩み寄り壇上中央に設えてある祭壇の何かを二人で割った。

二人がそれを頭上に掲げる。

輪っか状に焼かれたパンみたいだった。

二人が声を合わせて祝詞を唱和した。

「我らはひとつのパンを分つもの。一匹の羊を分つもの。ひと樽のワインを分つもの。大雨を分かち合い、旱魃を分かち合い、飢饉を分かち合い、神の寵愛を分かち合うもの」

続けて兵たち全員が唱和した。

「我らが立ち合いのもと、共同宣言は認められた。血が流れる時、我々は互いを守る事をここに誓う」

壇上の二人は祭壇に置かれたひとつのグラスのワインを交互に飲んだ。

そしてまた領主が口を開く。

「長年続く我らの友情は更に強固なものとなった。本日は我らの用意した酒と肉を遠慮なく存分に楽しまれよ」

両軍の拍手にホールが包まれ歓声も聞こえてきた。

拍手に包まれたまま領主と王子はホール中央に敷かれた絨毯を歩き後ろから出ていった。

拍手は止み、士官たちが続いて出ていく。

このまま俺たちも出ていくのかと思ったら俺たちは立ったまま。

執事によりホール中央を貫き左右を隔てていた絨毯が丸めて片付けられ、幾つものテーブルが壁際に持ち込まれ、そこにワイン樽とグラスが持ち込まれる。

俺たちはその間ずっと整列したままだ。

背後の部屋の更に奥からシャンパンを抜くような破裂音が聞こえ、歓声が聞こえてくると俺たち下士官たちはため息をついて姿勢を崩した。

そういう流れだったのね。

予め教えておいて欲しかったが王子はこっちのことは知らないのかもな。

各々が酒を取りに壁際に移動すると執事たちが俺らが退いたホール中央らへんに丸テーブルを幾つも置き出した。

椅子は出て来ないところを見るに立食パーティらしい。

俺はクラウディオ隊の面々と酒を取りに行った。

あちこちのテーブルでグラス打ち交わされ賑やかになった。

「では、我ら第四小隊クラウディオ隊の目覚ましい活躍を祝して! キップス!」

「キップス!」

俺たちもグラスを打ち鳴らしワインを喉に流し込む。

空きっ腹にアルコールの火が灯ると本格的に騒がしくなった。

「オミ殿、オミ殿。古エルフの魔術というのは我々でも覚えることができるものなのですか?」

「オミ殿、他にはどんな魔術を隠してらっしゃるのですか?」

「どうか我々を東方統括部長官にご紹介いただければと存じます。如何でしょうか?」

一斉に群がられて大人気である。

ひとつひとつ丁寧に答えていく。

「呪われる危険がありますので軍に所属していると教わるのは難しいのではないかと思います」

「特にこれといった魔術はもうありません」

「長官がこちらにいらしたらもちろんご紹介させてください」

そうこうしてると料理が運ばれてきて俺は群がる人垣から解放された。

料理は薄切りの肉の挟まった白パンのサンドイッチ、今が旬のベリー類、一口大にカットされたチーズ類といった感じ。

前世のパーティ食と比べれば質素と言えるかも知れないが、普段はほとんど黒パンとスープしか食べていないのだから豪華に感じる。

そして全てが手で食べられるのも皿を持つ必要がないし気取りがなくてよい。

しかもこの水で割られたような薄いワインとよく合う。

ワイン薄めてんのか?

下士官なぞ水で割ったワインで充分ということかも知れないが、割った方が美味いからそうしたのだと言われればそうかも分からない。

なんにせよ、立ち飲み、手掴み、薄い酒というのはなんだか俺にはしっくり来るな。

そんなこんなで酒が進み、バルベリーニとの交流も周囲で始まっていった。