軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

897話 中ボス戦の前に

さて卵も手に入れたことだしもう帰ってもいいんだが、実はもうすぐ中ボスのいるエリアなのだ。

「どうせ近くなら、ささっと倒しちゃってもいいかもな」

「フム!」

「ルフレも賛成か?」

サボテンニキとの激戦によって満身創痍なんだが、それでも俺たちには勝算があった。ここの中ボス、水にメチャクチャ弱いらしいのである。

最初はコクテンたちが苦戦するくらい、硬く強かったそうだ。だが、水魔術で攻撃すると大ダメージなうえ、動きが鈍るおまけ付きなのである。それこそ、攻撃魔術じゃなくても、水に触れただけでダメージを負うという。

最終的にコクテンたちは、水筒の水をぶっかけて倒したらしい。

この中ボスなら、俺たちでも勝てると思うのだ。水魔術が使える俺とルフレがいるし、オルトに買ってやった水瓶もある。勝率は低くないだろう。多分。

「オルトは送還しちゃったから、水瓶はサクラにお願いしようかな。その水を中ボスにぶっ掛けてやれ!」

「――♪」

珍しく好戦的な表情で敬礼を返してくれるサクラ。隣ではオレアも同じポーズだ。水瓶は樹精コンビに任せておけばいいだろう。

「で、リック達はこれね」

「キキュ!」

「ラ!」

水が入った小さな水筒だ。砂漠だと水が必須なので、町で安く売っていた。それを買い込んでおいたのである。

「これでパチャパチャ水をかけるんだ!」

「クマ!」

「ペペン!」

ペルカは氷を出せるが、それが中ボスに有効かどうか分からないので、一応水筒を渡しておく。

「さて、見えてきたぞ」

「ラ!」

少し歩いた俺たちの前に現れたのは、ランプの効果でも消えない巨大な流砂だった。ここから先は何度も流砂に呑み込まれて、地下と地上を行き来せねばならないエリアである。

因みに、流砂を使わずに地上を歩き続けても、一部がループしているらしい。蜃気楼のように揺らめく不可思議なエリアを、無限に歩き続けることになるそうだ。

「で、ここに飛び込むわけだが……」

「ララー……」

「ペペ……」

大きな流砂はめっちゃ迫力あるし、これにあえて呑み込まれるのは非常に勇気がいった。モンスたちもゴクリとツバを飲んで、引けた腰で流砂を覗き込んでいる。完全に尻込みしているな。

コクテンたち、よく飛び込んだよ。だが、行かなくちゃ先へは進めない。

「クママ、いけそう?」

「クックマ……」

「ダメ? 怖い? じゃあ、ルフレは?」

「フム」

「一番は嫌かー。って、ちょ、押すなって! 分かったよ! 俺が最初にいくから!」

グイグイ押しやがってクママめ!

「仕方ない。ここは俺がカッコいいところをみせて――」

「キキュー!」

「え? リックゥゥ?」

折角俺が覚悟を決めたのに、俺の頭の上にいたリックが先に飛び込みやがった! しかも、シェーのポーズをしながら!

あいつ、飛び込もうと思えば全然いけたのに、びびる俺たちを見て楽しんでいたな! その後に、オレアが続く。

仲間が平然と飛び込む姿を見ていたら、恐怖心が消えたんだろう。クママたちも普通に飛び込み始めたではないか。

「――」

「サクラ、そうだな。いこうか」

「――」

残って俺を気遣ってくれるのはサクラだけだよ! まったくもう!

流砂に飛び込むと全身が柔らかい砂にキュッと押し包まれる感覚があり、そのすぐ後にはもう地下の洞窟内に転がっていた。

「うえー、口にメッチャ砂が入るじゃん」

「ララー」

「トリリ!」

先に流砂に入っていったモンスたちも砂をペッペッと吐いているな。次に流砂に呑み込まれる時は気を付けよう。

「よーし、先に進むか。敵は出ないはずだけど注意しろよー。先頭はクママとリックで」

「クマ!」

「キキュ!」

隊列を組んで地下洞窟を進む。薄緑色の石灰のような地質の、綺麗な洞窟である。

鍾乳石が垂れさがっているようなこともなく、足元を薄っすらと覆う砂で滑ることにさえ気を付けていれば特段危険もない平坦な道が続く。

ヒカリゴケが生えているので、照明は必要なかった。ヒカリゴケの淡い光に照らされた薄緑色の壁は幻想的で、むしろ照明はない方がいいだろう。

まあ、すぐに中ボスだから、洞窟の綺麗さを楽しんでいる暇なんかないけど。

「あれが目印の遺跡か」

洞窟の先に、明らかな人工物が見えてくる。石で造られた門だ。あれを潜ると中ボスがいるらしい。

「みんな、戦い方は分かってるな?」

「――♪」

「トリ!」

サクラたちは水瓶の準備万端だな。リックたちも水筒を構えて見せる。

「ララ!」

「アコラはそろそろ降りようか?」

「ラ?」

俺の足にしがみ付いた状態で蓋を開けた水筒を振り回したから、少し水がかかったからね?

「それじゃ、突撃だ!」

「クックマ!」

「フマー!」