軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

896話 サボテンニキ

数度にわたるアンデッドコンドルの襲撃を退けた俺たちは、少しずつ巨大サボテンの頂上を目指して進んでいる。

「マジで厄介だな」

「ヤー」

ただでさえタフで巨大なアンデッドコンドルが、夜になるとパワーアップするうえに数匹の群を作るからね。

あと、アンデッドの癖にこざかしいのだ。サボテンの罠を自分たちであえて起動させたり、こちらをサボテンから落下死させようとしてくる。

実際、俺落ちたし。その時はルフレとリリス、メルムが俺を引っ張り上げてくれたおかげで、何とか途中の巨大な針に掴まって這い上がることができたのだ。

そうしてサボテンを上り続けること30分。

「ようやく登頂だ!」

「ヤヤー!」

「ブシュー」

「で、あれが目的の光なわけだが……」

「ムム!」

オルトがシリアスな顔でクワを構える。その視線が向かう先はサボテンではなく、その横に立つ人型のサボテンであった。

身長2メートルほどの人型サボテンの表面には、威圧感のある黒い針が生えている。小さい針が無数にって感じではなく、鋭く長い針がそこそこ生えているタイプだ。

鑑定すると、サボテンニキとなっていた。砂漠で出現するエネミー、サボテンマンの上位種なのだろう。

「あいつの後ろに卵があるな」

「ヤー!」

HPも減っていることから、ファウたちが戦った相手は、こいつで間違いないようだ。というか、ファウたちが奥の手を使っても、あれしか削れてないって?

「サボー!」

「ムーム!」

「オ、オルト! 助かった!」

サボテンニキが放った針が俺に直撃する寸前、オルトが割って入ってくれていた。クワで針を弾き飛ばし、サボテンニキを睨み返している。

た、頼りになるぅ!

「し、しかし、めっちゃ距離あるのに届くのかよ。オルト、守ってね?」

「ムム!」

振り返らずの背中越しサムズアップ! カッコいいっすオルトさん!

「攻撃仕掛けるぞ!」

「デビ!」

「ニュー!」

闇魔法コンビが攻撃を放つ。だが、サボテンニキは避ける素振りも見せなかった。直撃したはずなのに、ダメージはほぼなし。

「闇耐性高すぎだろ! メルムとリリスは相性悪いか……」

というか、俺の水魔法も、野衾の風属性攻撃も同じだ。魔法耐性そのものが高いらしい。相性が悪そうなメルム、リリスに、奥の手を使い切ったファウを送還。ドリモ、クママ、ヒムカを召喚する。

「奴の針に注意しながら、接近戦だ!」

「モグモ!」

「クックマ!」

「ヒム!」

みんなやる気である。ヒムカも、相手が虫じゃなければ問題ないらしい。さらに魔法主体の野衾も入れ替えておこう。呼び出すのは全身金属のキンキである。

「キンキ! 頼むぞ」

「ゴアー!」

まるでゴーレムみたいな見た目のキンキは頼もしいね! 体が普通の人並みの大きさになったから、動きも結構素早いし。

俺はキャロに乗ってみんなの補助に専念だ。そうして戦うと、今までと違ってかなりダメージを与えられるようになった。

やはり物理攻撃が効きやすいのだろう。だからと言ってこちらが一方的に有利ではない。トゲトゲのサボテンに近づいて攻撃しているのだから、針によるカウンターがあるのは当然だろう。

この針カウンターがかなりの威力なのだ。うちで一番硬いドリモさんでさえ、当たり所が悪いとHPが半減するのだ。

元々鋭いうえ、カウンター補正のようなものが入っているらしい。

途中でオルトとルフレを入れ替えて回復役を増やしても間に合わず、結局瀕死になったメンバーを入れ替えてなんとか勝利したのだ。それでもギリギリだったけどね!

「これで、終わっとけ! おらぁぁ!」

「サ、サボォォォォ!」

最後は奥義・五連星を利用した炎属性爆弾五連発でサボテンニキのHPを削りきった。俺がラストアタックを取るの、久々じゃね? いつもはモンスが頑張ってくれるからな。それだけ激戦だったってことだろう。

「か、勝ったのか?」

「トリリ!」

「最後、攻撃防いでくれてて助かったぞオレア」

「トリ!」

奥義の発動が気取られたのか、タコ殴りにされている中でも俺を狙ってきやがったのだ。オレアが身を挺して防いでくれなかったら、死に戻っていたかもしれない。

「こんな強い敵が出るって情報、あったか?」

雑魚MOBだけじゃなく、ボス関係の情報も買ったはずだが……。

「あった、普通に雑魚の方に載ってるじゃん」

硬いし攻撃力もまあまあだからゴリ押しで速攻倒せ、だってさ! 回復さえ切らさなければ強くはないって……。コクテンたちにとってはそうなんだろうね!

「トッププレイヤーの簡単は、俺たち雑魚にとっては激ムズって事だったか。おっと、金色卵は無事だよな?」

「ペン!」

その場に落ちているわけじゃなくて、採取ポイント扱いだったらしい。周辺で激しい戦闘があったとしても、破壊されたりはしなかった。

「これで黄色卵だったら運営に文句言ってやるぞ……よし! 金色卵だ!」

インベントリにはしっかりと金色卵の文字がある。取り出してみるとかなり大きかった。黄色卵の数倍あるだろう。

「フム?」

「うまそうだけど、まだ食べないからな? ボス戦に挑む時に使うんだから」

「ラー……」

「キュー……」

はいはい。じっと見るんじゃないの! これは仕舞っちゃいます!

「ペペーン」

「クマー」

「俺の手をスンスンするなって! 卵なんて匂い残らないだろ!」

「トリ!」

「――!」

オレアとサクラが食いしん坊どもを叱ってくれてるな。この2人を見習ってほしいよ! いや、植物系だから、食欲が薄いだけか?

「トリ?」

「――?」

まあ、あまり深く考えないでおこう。