軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

882話 クラーケン、実食!

触手を何とか撃退すると、すぐにアナウンスが聞こえた。

『クラーケンを撃退しました。船の損傷率7%。航行に問題ありません』

とりあえず当面は問題ないようだ。逆に言えば、もっと損傷が進めば航行に問題が出るのは間違いなさそうだ。

「ユート殿。これから船の修復に入る。船に積み込んでいる資材を7%も使えば、1時間かからずに直るだろう」

親方が妙に説明的というか、事務的に報告をしてくる。まあ、実際、プレイヤーに分かりやすくゲーム的に説明してくれているんだろうな。7%のダメージを直すのに、資材を7%使う。つまり、100%までなら、どうにかなる?

俺と同じ部分が気になったアリッサさんが、ズイと前に出て親方に質問した。

「ちょっと聞きたいことがあるんですが。資材を使い果たしたら、修理できなくなるってこと?」

「そうじゃ。まあ、寄港地で資材を補充する予定じゃから、よほどダメージを食らわん限り資材が底を突くことはないと思うがな」

「なるほど、そういうこと」

3つある寄港地でどれだけ補充可能かは分からないが、よほど大負けするような事態じゃなければどうにかなるってことだろう。

船の修復はさすがに手伝うことができないな。船大工か大工などのスキルが必要になってくるらしい。

部屋に戻って戦果をチェックしてみるか。

「手に入ったドロップは、食材ばかり。しかも魚介オンリーかよ」

「フム?」

「ペペン?」

「ほら、クラーケンの肉とかも入ってるぞ。しかも3つも」

1つ取り出してみると、それは1kgくらいはありそうな白いブロックだった。少しつつけばプルプルと動く。

身質はイカにそっくりだろう。まあ、見たことないくらいにデッカイが。

「フムー!」

「ペペーン!」

「食ってみたいのか? まあ、俺も気になるけど……。とりあえず刺身にしてみるか」

クラーケンのブロックを少しそぎ切りにして、皿に並べていく。やはりイカっぽい。

「醤油だけで味わってみよう。いただきまーす」

「ペペーン」

「フムー」

クラーケンは味もイカにそっくりだった。いや、噛んでいるとタコみたいな風味もしてくるな? イカとタコの間みたいな感じ?

「美味しいじゃんか」

「ペペン!」

「フムムー!」

ペルカとルフレも気に入ったらしい。クラーケンの刺身をさらに口にほおばり、小躍りしながら喜びの声をあげている。

「生産室に移動して、他の調理方法も試してみよう」

生産室は万能工房と似た作りで、こちらで指定すれば変形してくれる作りだった。料理部屋を指定してみると、かなり良いつくりをしている。これなら料理人プレイヤーでも満足できるだろう。

「とりあえずイカステーキを参考に焼いてみるかね」

そこから、クラーケンのステーキ、クラーケンのたこ焼き、クラーケンソーメン、クラーケン入りお好み焼き、クラーケンの煮つけ、クラーケンのお寿司、クラーケンメンチetcetc。様々な料理を作りまくってみた。

初めて触る食材だからか、料理スキルがメッチャ伸びたな。

「効果は全部水中呼吸オンリーか」

クラーケンの肉を料理すると、水中呼吸がしばらく付くらしい。他の食材と混ぜても、得られる効果は水中呼吸のみであった。イベント食材だからなのか、他の食材の効果を上書きしてしまうのだろう。

「これ、最後に絶対水中でクラーケンと戦うフラグだよな……」

「フム?」

「なんでもないよ。それじゃ、試食してみようか」

「ペペーン!」

「ニューー!」

「グゲー!」

ペルカが飛び上がって喜ぶが、他の子たちも同様の反応だ。万能従魔術によって好物が増えたおかげで、海鮮も楽しめるようになったからだろう。

「フマー!」

「そうかそうか。美味しいか。でもたこ焼きは熱いから火傷に気を付けるんだぞ? いや、クラーケンで作ったからクラーケン焼きか? でも、それだとイカ焼きみたいなの想像しちゃうし――」

「フマ? フマー!」

「あつ! ありがとうアイネ! でも、自分で食えるから押し付けないで! 頬っぺたにソースついちゃうから!」

「フーマー!」

俺が難しい顔をしたので、元気づけようとしてくれたらしい。その気持ちはありがたいけど、フォークに刺したクラーケン焼きをほっぺにグリグリすんのはやめてほしいのだ。

「ヤヤー!」

「ファウも美味しそうな――って、ファウゥゥ!」

「ヤ?」

「ヤ? じゃないの! 全身ベットベトじゃないか!」

食べるのに夢中過ぎたとしても、これはやりすぎ! ソースと醤油で全身が黒いよ!

「ヤー!」

「あぁ! その状態で頭の上のっちゃダメだってば!」

「ヤー?」

というか、他のモンスたちも大なり小なりソース付けてんな……。まあ、仕方ない。ここは早めにお風呂に入っちゃうか。

大浴場じゃなくて、この部屋に備えつけられたお風呂のほうだ。中はそこそこ広いタイル張りの浴室で、シャワーと猫足のバスタブが設置されていた。

たまにはこういうのも悪くはない。旅先気分が味わえるのだ。因みに、モンスたちはいつもの格好のままだ。水に入るのと同じ扱いなんだろう。

「フマー!」

「ペペーン!」

「ヤヤー!」

まあ、ゆったりとお湯に浸かる気分にはなれそうにはないけど。

「ほらほら。あまり風呂で遊ぶなって。石鹸投げちゃダメだってば! 泡が楽しいのは分かるけど、あんま大量に発生させたら――」

楽しかったけど、次は1人で入ろう。