軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

881話 襲撃イベント

「これで大体回りましたかねぇ」

「隠し部屋とかなければ、地図に載ってる施設は大体見たと思うぞ」

落ち着いた浜風たちとともに、俺は船を探検していた。特別船室の宿泊者しか入れない区画はあるが、運営の方針的にそこだけでしか起こらないイベントは多分ないだろう。

「船の妖怪とかいないかと思ったけど、見つからなかったなぁ」

「ですねぇ」

浜風とロクロネックは、船内に妖怪がいる可能性を考えていたらしい。俺は船幽霊くらいしか思いつかないけど、2人はいくつもの候補を思い浮かべているんだろう。

ピッポーン。

「うん? なんだ?」

「アナウンスきましたね」

「氷山を発見だって!」

唐突にアナウンスが聞こえた。出航から6時間くらいか?

「氷山って……大丈夫なのか?」

客船と氷山て、不吉過ぎるんだけど。甲板へと向かってみると、すでに多くのプレイヤーでごった返していた。

広いはずの甲板が、満員電車状態だ。ただ、アナウンスにあった氷山とやらはしっかりと見える。そもそも、メチャクチャデカいのだ。

「冒険者の皆様! 氷山からモンスターが出現しました! 攻撃できる方はぜひ迎撃を! 3階の通路からも攻撃が可能です!」

なんとモンスターが船に向かってきているらしい。これが襲撃イベントなんだろう。ほとんどのプレイヤーが想定していた事態であるため、慌ててはいない。

ただ、戦う場所が狭いんだよな。普通だと人数に合わせてフィールドが拡張されるんだが、船の場合はそれがないらしい。

となると前衛が後ろに下がって、後衛の人間を船縁に集めないといけないだろう。あと、3階にある通路に移動するプレイヤーも決めないといけない。

ただ、これだけの人数に指示を飛ばすのはちょっと難し――くもないみたいだな。考えてみれば、今回の乗船プレイヤーは、全員が早耳猫と検証班の協力者だ。

アリッサさんたちが指示を出し始めれば、大人しく従う者ばかりであった。

俺は何故かアリッサさんの隣で合図を出す係にされてしまった。筆頭船主だから当然だって言われたが……。

「ホランドとかハイウッドの方がいいんじゃないですか?」

戦闘メインのプレイヤーのトップ層がいるのに、何ゆえ俺が指揮官的な? もしくは、アリッサさんでもいいと思うんだが。

「近づいてきたぞ!」

「もう、すぐそこだ!」

前にいるプレイヤーたちが騒ぎ始めるが、俺からは見えないんだよな。ただ、すぐにアリッサさんから合図があった。

「観測班から合図があったわ! ユート君、合図を!」

「お、おう! 射撃班! うて!」

「「「うおおおおぉぉぉぉ!」」」

俺の号令で、皆が一斉に攻撃を放つ。魔術や遠距離武器が海面を打ち、水しぶきが上がる音が響き渡った。ここからは見えないが、海面のモンスターが一斉に排除されただろう。

ただ、それで終わりではなかった。すぐに第2波が海中から姿を現したのだ。まあ、こっちも対策してたけどね!

「第2班、前に!」

「よし、俺たちも頑張って攻撃するぞ、ペルカ、メルム、河童は全力攻撃! 他の皆は援護だ!」

「ペペーン!」

「ニュー!」

「グゲー!」

うちの子たちが一斉に敬礼をしてくれた。河童とも息があっている。妖怪もモンスに馴染んでいて嬉しいね。

「あ、あれが伝説の敬礼!」

「生で見ちゃった!」

「おー、ご利益ありそう!」

な、なんだ? 急にざわめきが……? なんかあったか? エネミーに動きが?

船縁から海面を見るが、特に変化はない。ウジャウジャと敵がひしめいているだけだ。

「よく分からんが、みんな攻撃開始だ!」

第1班に負けず劣らずの一斉攻撃が海面を埋め尽くし、再び敵を全滅させた。その後、第3波まで確認されたが、それも一発で撃退成功する。まあ、プレイヤーの数が揃ってるからな。

ただ、敵の攻撃はそれで終わりではない。

なんと、海中から巨大な触手が現れ、デッキに這い上がってきたのだ。クラーケンか何かか? 海中に本体の姿は見えないが、触手だけでも長さ数十メートルあるだろう。それが、前後のデッキに2本ずつ計4本。無数の吸盤で船に張り付いている。

これ、放置はヤバいよな?

「よっしゃ! 俺たちの出番だぞ!」

「どけどけ! 俺様に任せろ!」

「斧でぶった斬ってやるぜ!」

今まで後ろから遠距離攻撃持ちのプレイヤーを応援するしかなかった前衛職たちが、喜び勇んで武器を構えた。

確かに、この触手は前衛用の敵なんだろうな。後衛組は大人しく場所を空け、テンションマックスの近接職が触手を取り囲んだ。

「できるだけ一点に攻撃を集中させて、触手を千切ることを意識して! 倒すよりは、追い返すこと優先で!」

「「「おう!」」」

「じゃあ、ユート君号令を!」

「あ、ああ」

もうアリッサさんでいいんじゃないかな? やれと言われればやるけどさ。

「じゃあ、攻撃開始!」

「「「どりゃあぁぁぁ!」」」

近接職たちの渾身の攻撃が一斉に解放された。普通の斬撃っぽいのだけではなく、爆発を伴ったりキラキラ光っていたり、メチャクチャ派手なものも多い。

みんな、奥義をぶっ放しているんだろう。目がチカチカするな! あと、確実に船にも当たってるけど、大丈夫なの? 船の耐久値的なやつ、削れてない? ああ、そこら辺は大丈夫なのね。

じゃあ、ガンガンいこうぜ!