軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

880話 鬼ごっこの光明

特別船室に向かう途中、俺は気になっていたことを浜風とロクロネックに質問してみた。

「なあ、雲外鏡と友誼は結べたのか?」

「あ! そうそう! そうなんですよ! 私もロクロも無事雲外鏡ちゃんをゲットできたんです!」

「すごく大変でしたね……」

雲外鏡の眠る社までは、問題なく辿り着けたらしい。俺が詳しい場所も教えてたしね。

ただ、そこから友誼を結ぶまでが想像以上に大変だった。

まずは雲外鏡を目覚めさせるために、その表面を磨いたり、破損部分を修復する必要があったのだ。その技能を持つNPCを探し、大金を払わねばらなかった。

次いで、目覚めた雲外鏡と仲良くなるため、好物であるお酒を捧げる必要があったらしい。これまた量が必要で、そこでもまた大金を使う羽目になったそうな。

「多分、質のいいお酒なら少量でも済んだんだろうけど……」

「私たちが用意できたの、★5のお酒まででしたもんねぇ」

「いや、★5って結構凄いぞ?」

「でも、雲外鏡の反応がいまいちだったんだもん。まあ、仕方ない。酒は酒だし、飲んでやるか、みたいな?」

「あー、そんな感じでしたね!」

雲外鏡の好物はもっと高品質の酒ってことか。うちで作ってる酒には★6や★7の物もあるから今度飲ませてみよう。因みに、水臨樹の実とかを原料にしてるやつね。状態異常耐性が付くから、もったいなくてあまり飲んでないのだ。

その点、香辛料とか花木はいくらでも増産できるから、使い放題でいいよね。

「しかも、それでおわりじゃなかったの」

「まさか戦闘イベントまであるとは……」

「へぇ? 雲外鏡と戦ったのか?」

「違います」

「雲外鏡が召喚した影みたいなのと戦ったんだよ! なんと、私たちの写し身的なやつ!」

自分と同じ性能の影というのは、ゲームの中では定番の敵だ。そもそも、このLJO内でも何度か確認されている。

ダンジョンの試練だったり、イベントの敵だったり、そこそこ出会うことがあるという。今回も、その類のイベントだったんだろう。

しかもこのゲームはPvPもPKもないせいで、誰もが対人戦の経験に乏しい。それは浜風たちも同様で、自分たちの影相手に1度死に戻ったそうだ。

「自分で言うのもなんだけど、陰陽師って敵にすると厄介だよね」

「妖怪の攻撃と護符を重ねられるのが、ああも理不尽だとは思いませんでした」

「つまり陰陽師最強!」

浜風がふんぞり返っているが、実際陰陽師は強いしな。サモナーとテイマーのいいとこ取りって感じだし。

その分MP消費が烈しいのと、妖怪が増えづらいのが難点かな? あと、護符を生産するためにいくつかのスキルにもポイントを振らないといけないのもデメリットと言えばデメリットか。

「ロクロネックは、野衾は?」

「あ! 友誼結びました! ブドウあげたら懐いてくれたんです!」

「なるほど、ブドウか。俺はナッツだったよ」

「それも好きそうですよね!」

というか、ロクロネックは妖の絵巻物を使ってないんだな。これはもう、未知の大妖怪を仲間にして、情報をゲットしてほしいね! そして俺たちにもその情報を!

「うわー、このフロア凄いね! 通路に絨毯敷いてあるじゃん!」

「ふかふかです!」

「ふふん。そうだろうそうだろう」

「白銀さんのドヤ顔! でも筆頭船主だからその権利はある!」

浜風たちが特別船室を見て驚きの顔だ。まあ、引くくらい豪華だし、無駄に広いもんな。

「そういえば、ギルド出張所行きました?」

「うん? 場所の確認くらいはしたけど、特に使ってはないな」

ソファでポヨンポヨン跳ねるモンスたちに混ざりながら、浜風が話を振ってきた。この聞き方は、何か面白いことがあったのか?

「もしかして特殊なクエストがあったか?」

「ううん。そうじゃなくて、あそこで鬼ごっこの受付できるみたいだよ」

「ほー、そうなのか。でも、今の俺じゃ絶対に攻略できそうもないんだよな」

もっと妖怪召喚と護符術のスキルレベルを上げて、妖怪をたくさん召喚できるようになって、ようやっとスタートラインだろう。

そう話す俺に、浜風が不敵な笑みを向けてくる。

「ふふふ。そんな白銀さんに朗報です!」

「もしかして、攻略方法が分かったのか?」

「いえ、それはまだですが」

つまり、攻略のヒントを手に入れたってことか?

「凄いじゃないか!」

「えへへ? そうですか?」

「ああ! さすが浜風! さすはま!」

「あーはっはっは! そうでしょうそうでしょう! これ! これなんですよ! 分かりますかロクロ! 有象無象に褒められるよりも、白銀さんからの褒めこそ栄養!」

「そ、そうですか」

ドヤ顔の浜風を、ロクロネックがちょっと引き気味に見ている。まあ、少しウザいけど、俺が煽っちゃったからなぁ。

「それで、どんなヒントなんだ?」

「ふふん。これですよ!」

「ソイ豆?」

「はい! 私が発見した、光属性のソイ豆です! これがなんと、鬼ごっこに出てくる白鬼に効いたんです!」

浜風も俺と同じで、豆が効くのではないかと予想したらしい。そして、各地で見つけた豆を根気強く鬼にぶつけていたそうだ。基本、検証とかそういうのが好きなんだろう。

「そして、ついにやったのですよ! この光属性のソイ豆をぶつけてやったら、白鬼の野郎が泣きながら逃げていきましたよ! あの時の情けない姿、思い出すだけでご飯が美味しいですね!」

鬼に殺されまくって、恨みが積もり積もっているらしい。ソファの上で胸を張っているけど、靴脱げや。あと、横でモンスたちが同じポーズしてるけど、教育に悪そうだ。あとで真似をするなと言っておこう。

しかも、話をさらに聞いてみると、光属性のソイ豆は、白鬼にしか効果がないそうだ。つまり、他の鬼には違う属性のソイ豆が必要?

「いずれ他属性のソイ豆も見つけ出して、鬼どもを蹴散らしてやります!」

「それならうちの畑で作ってるところだぞ」

「え?」

「いや、ソイ豆・光は俺も見つけてたからさ。それを基に、他の属性の豆も育ててる最中だ」

オルトが、だけどな! もしかしてそれらがあれば、俺でも鬼ごっこを攻略できるかもしれない。いい情報を聞いたのだ。

「白銀さん! 私たちにも分けてください! 白銀さんが攻略した後で!」

「ま、まあ、俺の後でいいなら」

「ありがとうございまーっす!」

分かったから土下座やめろ! モンスが真似する! あと、ロクロネックがドン引きしてるから!