軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

883話 属性ソイ豆

船に乗り込んで今日で3日目。船旅は順調だった。

氷山とか、大渦とか、魔物の群とか、それなりに困難が襲い掛かってきたが、プレイヤーたちによって問題なく乗り越えられている。

むしろ人が居過ぎて参加感が薄いんだよね。

船の損傷率が総計で30%を越えたことが少し不安だが、明日には寄港地に到着するし、そこでどうにかなるだろう。

一番の問題は飽きだ。

ぶっちゃけ、船にずっといると飽きてくるのだ。中にはカジノとかに入り浸っている人もいるそうだが、うちはモンスがいるからね。

プールか釣りくらいしかやることがない。一度運動場に行ったんだけど、はしゃぎ回って超注目されて恥ずかしかったし。

生産施設で物を作ったりもしたけど、それならホームの方が落ち着いて作業できる。

ということで、一度ホームに戻ってきた。襲撃イベントとかに対応するには船にずっといなきゃいけないんだろうが、そこはもう諦めた。

というか、他のプレイヤーたちも適度にホームに戻っているらしいし。

「とりあえず浮遊大陸に――」

「ムム!」

「お? どうしたオルト、オレア」

「トリー!」

オルトとオレアが何か用事があるらしい。2人がかりで俺のローブを引っ張っているのだ。裾がビローンと伸びちゃわないか心配になるくらいのグイグイ具合だ。

そのまま2人の後についていってみると、そこはソイ豆を植えた畑であった。

「おお! もしかして?」

「ム!」

「トリ!」

オルトがブチッとむしったソイ豆を、元気よく差し出してくれる。見た目は完全に鞘に入った枝豆だ。

名称:ソイ豆・火

レア度:1 品質:★7

効果:火属性を秘めたソイ豆。素材・食用可能。

「おお! やっぱり!」

「ムム!」

「トリリ!」

2人ともドヤ顔だが、存分にしてくれ! その権利が君たちにはあります!

「属性ソイ豆、上手くいったのか。これがあれば、鬼ごっこも攻略できるかもしれん!」

「トリ」

「うん? あっちにも何かあるのか?」

オレアが、喜ぶ俺のローブの裾を再び引っ張りながら、遠くを指さしている。ソイ豆以外にもなにか新しい作物があるのか?

そう思っていたら、向かった先にあったのもまたソイ豆畑であった。そこで収穫したソイ豆は、水属性となっている。

「あ。もしかして、一つの畑で一属性しか育てられないってことか?」

「トリ!」

「なるほどなぁ」

属性ハチミツを作る時と同じだ。畑の作物や肥料を同一属性に偏らせる必要があるんだろう。その後はオレアたちと畑を巡って、属性ソイ豆を収穫していった。

1つの苗からそれなりに量が採れるので、大量だ。元々は、レア度1の大量生産用食材だから当然だけど。

料理スキルがないプレイヤーの中には、お金が稼げるようになるまではこの豆で腹を満たしていたという人も多いらしい。

「これだけあるんだし、少し試食してみようか?」

「キキュ!」

「クマー」

「お、お前ら、いつの間に」

俺の背後にリックとクママがいた。ご飯の気配を察知したってことなのか? やばいな。好物が増えてから、食いしん坊が加速している気がする。

このままだと、うちの畑の食材を喰い尽くされるのではなかろうか?

「キュ?」

「クマー?」

まあ、それならそれでいいか。元々モンスのために作っているようなところもあるし。買い食いよりはお金かからないもんな。

「じゃあ、さっと塩ゆでにしてみよう」

「ヒヒン!」

「ラ!」

「おまえらもいつの間に!」

キャロとアコラがクママたちに交じって、ワクワク顔でこっちを見ていた。食いしん坊さん追加で入りまーす!

「というか、他のやつらも呼ばないと後で怒らせそうだな。ホームに移動して、みんなで試食会しよう」

「ム!」

「クマー!」

オルトとクママがソイ豆のはいったザルを抱えて、転移扉に走っていった。早くソイ豆を食べてみたいんだろう。

向こうにいるルフレに茹でてもらうつもりなのかね?

「俺たちもいこうか。サクラー! ファウー! ソイ豆の試食するから、ホームに戻ろう!」

「――♪」

「ヤー!」

遠くで畑仕事をしているサクラたちにも声をかけて、のんびりホームへと戻る。

すると、すでに台所ではルフレが豆を茹でている最中だった。大きめの鍋で大量のソイ豆が茹でられている光景は、無性にビールが欲しくなるね!

「キュー」

「クマー」

「ムムー」

あんまり背後からジッと見つめるなって! ルフレがすんごいプレッシャーに感じて、仕事しづらそうだろ!

「ほら。お前らは庭にいってなさいって。俺がルフレを手伝うから」

「キュー……」

「クマー」

食いしん坊たちを追い払うと、ルフレがサムズアップを返してくれた。よくやったってことなんだろう。

「一応、属性ごとに別々の鍋でゆでてるのか?」

「フム!」

一緒に茹でるのはあとで実験してみるとして、それぞれの味を確かめるなら別々の方が確かにいいだろう。俺も鍋を取り出して、残りの属性のソイ豆を茹でちゃおう。

「ヒヒン」

「ラー」

台所の入り口から小さい馬と、その背中にしがみ付くように乗ったコアラが顔を覗かせている。

お前らもかい! 見つめてても早くできる訳じゃないんだから、庭にいってなさい!