軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

801話 東のドワーフ村

アシハナと共に、やってきました東の隠れ里。その名も東のドワーフ村だ。まあ、分かりやすくていいよね。

「ほう? お前さんが噂のユートか! がはははは! 歓迎するぞい!」

「ありがとうございます」

「クマ!」

「うむ。村を楽しんでいってくれい」

門番のドワーフに石造りの門を開けてもらい、隠れ里に入る。ドワーフの村だけあって、石と金属で作られた武骨な建物が多い。

でも、よく見ると彫刻だったり、壁画だったりで結構お洒落さんでもあるね。

「さて、通行証のおかげで問題なく入れたな」

「クマクマ」

「いやー、問題はなかったけど……」

「なんか変だった?」

「クマ?」

「門番さんの好感度、高くない?」

「え? そう?」

アシハナ曰く、自分の時はもっとそっけなかったらしい。というか、一切笑わず、ザ・ドワーフって感じの気難しい性格だと思っていたそうだ。

「あんな大笑いするの、初めて見たんだけど」

「ジェミナの通行証がそれだけ凄いってことなのかね?」

「それだけかなー? ユートさんが原因じゃない?」

「いやいや、ドワーフなんてマジで接点無いから」

「うーん?」

「クマー?」

そんな話をしながら歩いていると、村を行きかうドワーフたちが目に入る。

隠れ里というと、レア種族ばかりのイメージだが、ここは普通にドワーフだけの村なのか? 獣人村は珍しい種族ばかりだったが……。

そう思っていたら、ただのドワーフはいなかった。どうやらドワーフは色々と種族が細分化されているらしく、ストーンドワーフ、メタルドワーフ、クレイドワーフなど、色々と種類がいるらしい。

「で、この村の中でパーティメンバーを探すって事?」

「クマ?」

「そ! もう少し行くと広場になってて、そこに野良パーティ募集してる人たちが集まってるから。でも、このまま行くのはちょっとまずいかな~」

「うん? なんでだ?」

「ユートさんがいきなり顔出したら、絶対に大騒ぎになるから。パニック確定」

「えー? パニックって……」

大げさすぎない? いや、待てよ? うちのモンスって、実はファンが多いんだよな。今一緒にいるアシハナもその1人だし。

モンスがいっぱい増えても、最初にファンになった相手は特別っていうの? ハニーベアはいっぱいいるけど、アシハナは未だにうちのクママに拘ってるのだ。

今日もクママのスクショを撮りまくっている。同じ角度でそんな連写しても、同じスクショが何十枚も増えるだけじゃないのか?

まあ、こういう人がいっぱいいたら、確かに騒ぎにはなるだろう。アシハナが自分のヤバさを自覚してるなら、パニックという表現も頷けるかもしれない。

「でも、今はクママしかいないし、大丈夫じゃない?」

最初はフルパーティだったんだよ? フィールド移動しなくちゃいけないし。でも、村に入って転移陣を登録した時点で、一度ホームに戻ってパーティを減らしたのだ。

アシハナが、目立つから全員は連れて行かない方がいいって言うからさ。それでもクママを連れてきたのは、アシハナのやる気スイッチをオフにしないための措置だ。

こいつ、クママがいないと露骨にテンション下がるんだもん。言われずともクママだけは残したよ。

「何をもって大丈夫って言ってるか分からないけど、絶対に大丈夫じゃないから! とりあえずここで待っててくれる? 私が事情を説明してくるから」

「まあ、アシハナがそう言うなら」

「オッケー。それじゃあ、そこの雑貨屋さんでも覗いて待ってて!」

「了解」

「クックマ!」

「クママちゃん! すぐ戻ってくるから、待っててね!」

何度も振り返ってクママに手を振るアシハナを無視して、俺は雑貨屋に入った。だって、アシハナが満足するまで見送ってたらどんだけ時間かかるか分からんし。

「まあ、普通の品ぞろえだねー」

雑貨屋の中をしばらくブラブラしていたら、ドーッという轟音が聞こえた。かなり遠くからだが、何かあったか?

慌てて外に出ると、どうやら大勢の人間の叫び声だったらしい。なんだろう? 何かイベントでもあったか? 首を捻っていたら、クママが急に俺のローブの裾を引っ張った。

「クマー!」

「どうしたクママ?」

「クマ! クマ!」

「うん? アレは酒屋か? ドベリアにもあったが、ここにもあるのか」

この世界でもドワーフが酒好きという設定があるらしく、ドワーフの町や村には酒屋が存在するらしい。

アシハナが戻ってくるまでもう少しあるだろうし、酒屋を覗いてみるか。

「クマクマ!」

「さっきから妙に興奮してるけど、どうしたんだ?」

「クックマー!」

クママが酒屋の一画に置いてある、大型の瓶をビシッと指さした。無理すれば俺が入れそうなサイズなのだ。

「へー、ハチミツ酒か」

「クマ」

ハチミツ大好きなクママだが、その好みは加工品にも適用される。ハチミツ味の料理は勿論、ハチミツ酒も好きなのだ。

でも、なんでこんなに騒ぐんだ? うちでも作っているが――。

「クマー!」

「あー、この瓶か?」

クママが興奮していたのは、ハチミツ酒を作るための専用の瓶を発見したかららしい。お店のドワーフに話を聞いたら、この瓶だけでも売っているそうだ。

少ないハチミツで、多くのハチミツ酒が作れる優れものであるらしい。しかも、使用するのに錬金薬のスキルが必要になるそうだ。

なるほどねぇ。俺が錬金薬を持ってるから、出現したってわけか。クママはよく見つけたな。ハチミツレーダーでも持ってるのか?

「とりあえず買っておくか」

「クマ!」

クママが指を広げて数を指示してくる。

「えー? 5つも?」

「クマクマ」

「どんだけハチミツ酒作りたいんだよ。3つくらいでよくないか?」

「クマー!」

ちょ、縋りつくなって!

「あれー? ユートさーん? どこー?」

「あ、やべ! アシハナ戻ってきた! こ、これください! 5つ!」

「クマー」

「ニヤリ笑いすんな!」