軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

800話 ジェミナ再び

水臨樹の完熟果実収穫記念祭りが終了したころ、うちの畑に見覚えのある人物が訪ねてきていた。

「ほっほっほ。お久しぶりですね」

「ジェミナさん!」

奇妙な種をくれたNPC、ジェミナであった。花屋のスコップの父親である。相変わらずのダンディさんって感じだ。背も高いし、執事服とか超似合いそう。

「以前お渡しした種がそろそろ育つ頃ではないかと思いまして、様子を見に来たのですよ」

なるほど。奇妙な種をしっかり育てることができたら、ジェミナがまたやってきてイベントが進行するってわけね。

「精霊の小花とは、悪くない結果です。ぜひ、私の植物園も見に来てください。あなたなら大歓迎しますから」

「おー、本当ですか? ありがとうございます。それで、ジェミナさんの植物園ってどこにあるんでしょう?」

「ああ、それを言っていませんでしたね。私の植物園は、ここから東にある炎海の町という場所にあるのですよ」

炎海の町? それって、ホランドたちが到達したっていう東の第12エリアにある町の名前じゃね?

確か、溶岩の川が流れる地帯に存在する、鍛冶の町だったはずだ。当然、俺もまだ到達できていない。

「えーっと、まだ先になると思いますけど、炎海の町にいけたらその時は訪ねますね」

「うむ。楽しみにしているよ。ああ、それならこれを持っていくといい」

「これは、通行証ですか?」

「途中にある、ドワーフの村に入るためには、これが必要なのだよ」

やった、これがあれば隠れ里に入れるぞ! 俺が以前、ロバーナン爺さんから貰った許可証は、第11エリアの隠れ里に入るために必須の重要アイテムだった。

俺は本当にサラッと手に入れてしまったが、苦労するプレイヤーもいるらしいね。ゲットの仕方は色々あり、全く関係ないクエストの報酬で貰ったりもするそうだ。まさか、ここでもらえるとは思わなかった。

他には好感度や、貢献度的なものでも村に入れることがあるので、特殊なルートもいくつか用意されているようだが。

ただ、これがあってもエリア解放ボスとの戦闘は避けられないっていうのが問題だけど。

東の第12エリアを解放するには、ビリビリボウズという雷属性の巨人を倒さないといけないそうだ。

俺一人じゃ絶対に無理だよなぁ。一緒に行ってくれるフレンドを探すか?

「だったら私が一緒に行く!」

「え?」

「だから、第12エリアの解放戦! 私一緒にいくわ!」

凄い勢いで迫ってきたのは、熊獣人に転生したアシハナである。どうやら俺が口に出してしまっていた呟きを耳にしたようだ。

こいつ、比較的うちの畑に入り浸っているから、完全に空気というか背景というか、いても気にしてなかった。そう言えばいたなって感じだ。ジェミナとの会話中に、ちょうど遊びにきたらしい。

でも、アシハナは生産職だけど戦闘力も高いし、戦力としては申し分ないだろう。

「じゃあ、一緒に行くか」

「やった! クママちゃんと一緒に冒険!」

まだクママを最初から連れていくかは決めてないんだけど……。まあ、ダメってわけじゃないから、いいけどさ。

「ただ、他の面子どうするかね。やっぱ、フレンドに声をかけるしかないか?」

リストを見れば、フレンドはほとんどがログイン中だ。まあ、リアルだとちょうど夜だから、一番賑わっている時間だしね。

「それもいいけど、現地で探すのもいいと思うよ?」

「え? 現地? それって野良パーティってことか?」

「そうそう。ユートさんならより取り見取りって感じ? それに、元々ボウズ戦に行くために準備してる人多いから、即挑めるのもいいし」

「あー、なるほどね」

すでに村に入ってからボスへ挑むためのルートは完全解明されているらしいし、現地でパーティメンバーを募集してる人も相当多いんだとか。

中にはパーティメンバー分のアイテムまで準備しているような、面倒見のいい人もいるらしい。

「現地で良さそうな人集めて、強いパーティ作っちゃいましょう!」

「えー、でも俺テイマーだぞ? パーティに入れてもらうのハードル高くない?」

テイマーは1人でパーティ枠を複数使うし、モンスにまで経験値が割り振られてしまう。そのため、パーティでは敬遠されてしまうらしい。フレンドならともかく、野良だと絶対に嫌がられるはずだ。

「いやいや、絶対大丈夫だから!」

「えー、そうかぁ? 第12エリア目指してるってことは、前線組の人ばかりなんだろ? 効率重視じゃないか?」

「いやいや、最前線テイマーが何言ってんの! 第12エリア解放して、ヤバい島1人で攻略して、それで最前線じゃないって言ってたら最前線いなくなるって!」

「うん?」

あれ? 言われてみたら、俺結構前線にいるな? しかも、エリア解放しちゃってる? あれ? 意外と攻略組か?

「あれ?」

「まあ、戦闘メインにしてるわけじゃないから、攻略組って言われて首捻るのは分かるけど。私もそうだし」

「そう! そうなんだよ!」

俺の中で最前線プレイヤーっていうのは、超強い戦闘メインの人たちのイメージなんだよ。KTKとかコクテンとかさ。

俺ってば、最前線に混ざっちゃった異物っていうの? そんな感じだよね。

いやー、勘違いせずに済んでよかった。でも、思い返すと最前線でも意外と戦えてるな俺。

少なくとも、野良パーティで完全お荷物ってほど酷くはないかもしれない。アイテムも大量に持ち込んで支援に徹せば、寄生にはならないか?

「でも、やっぱりテイマーだとダメじゃね?」

「そんなことない! むしろ大人気だから! 私を信じて!」

「お、おう」

まあ、アシハナが勧めるなら、とりあえず野良募集に混ざってみるか。それでダメそうなら、フレンドに頼めばいいし。

「じゃ、東行きますか」

「おー!」