軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

650話 第11エリア解放戦・東

「ウッガアァァァ!」

「ムッムー!」

「オルトきゅん、すげー!」

「ムー!」

イワンたちと共に挑んだ東の第11エリア解放戦は、プレイヤー有利で進んでいた。

既に情報が丸裸で、行動パターン、弱点、必要なアイテムと、全て完璧に分かっているのだ。

イワンが1時間前にボス戦参加者を掲示板で募ったのだが、数分でメンバーが満員になったらしい。

6人パーティが5つで30人。この人数だとレイド戦になってしまうが、実はこの方が戦いやすいそうだ。まあ、ミスをカバーできるし、回復し合えるしね。

しかも、第一陣の強いプレイヤーも参加している。

「ダブルスラッシュ!」

「ガガァ!」

「ホランドさんスゲー!」

イワンやそのパーティメンバーであるセルリアン、ヒナコ、タカユキ、ツヨシ。他には、ホランドたちやコクテンたちといった、戦闘大好きプレイヤーたちの姿もあるのだ。

アシハナやマルカもいる。戦いながら、クママをチラ見するのやめなさい! こっちがヒヤヒヤするから!

ともかく、トッププレイヤーたちが色々とハッスルし過ぎて、俺だけじゃなく、第二陣の後衛プレイヤーたちも手を出す必要がないほどだ。というか、下手に手を出すとヘイト管理が難しくなるから、指示があるまでは防御に専念していてほしいと言われたのである。

うちのパーティからは、オルトとドリモだけが、前線プレイヤーたちに混じって戦いに加わっている。

バトルメインのプレイヤーなら、きっと不満に思うのだろう。だが、俺は喜んで受け入れるよ? なんせ、サーベラスライオン戦はまじで厳しかったからね。

慣れているトッププレイヤーからの指示は、全力で守らせてもらいましょう。

おかげで、俺や、第二陣プレイヤーたちは談笑しながら見学する余裕があった。派手な技が炸裂する度に、歓声が上がっている。

俺たちの横には、第二陣のプレイヤーが8人もいた。第一陣プレイヤーだけでも勝てる相手なので、第二陣プレイヤーのキャリーも請け負うってことらしい。

特に俺が気になったのは、テイマーのヒジカタ君だろう。テイマーでありながら刀を装備する青年なんだが、初期モンスがウンディーネだったらしい。親近感湧くよね。

第二陣のプレイヤーさんなんだけど、第一陣の友人たちに一気に第10エリアまで連れてきてもらったらしい。

本人は寄生だとか言って自嘲気味に笑ってるけど、友人同士が同じエリアでプレイするためだったら、キャリーしてもらうのはアリだろう。俺も、色々なゲームで同じようなことをした記憶も、してもらった記憶もある。

その友人たちは、コクテンたちと一緒にレイドボスを攻撃中だ。

剣士のショートカット少女、イサミちゃん。今にも飛びそうな名前だね。ゴリマッチョ系イケメンのハラダくんに、鞭使いのハジメちゃん。あと、爽やかイケメンのセリザワ君。

新選組系の名前で統一しているようだ。しかし、セリザワって……。まあ、本人が楽しそうだから、あえてなんだろうけどさ。いくら爽やかでも、この名前のせいで腹黒に見えちゃうんだよね。

そんな第一陣のアタッカーに攻撃されているのは、ひとつの頭に3つの顔を持ち、腕が4本生えた巨大な猿である。

名前はそのまんまアシュラショウジョウ。一見パワーファイターの癖に、魔術もバンバン使ってくるタイプらしい。

実際、水魔術を使って、攻撃や行動阻害を行っている。

ただ、それも最初から分かっていれば、簡単に対処できてしまった。水耐性の付いた装備を着込んだタンクがヘイトを取りつつ、水耐性ポーションなどを重ね掛けするのだ。

攻撃の前兆行動もほぼ解明されているせいで、完璧に受けることもできる。さっきも、イワンの指示を受けたオルトが、アシュラショウジョウの連撃をガードしてみせていた。

さらに、ボスフィールドの手前にある村で手に入れた罠も、大活躍だ。俺とアカリが見つけた獣人の隠れ里と同様に、こちらにもドワーフの隠れ里が存在していた。

山の中腹に、大岩に似せた幻影が存在していたらしい。なんと、俺も出会ったことがあるテイマーのイカルが発見したそうだ。始まりの町で毎日畑仕事をしているのは知っていたけど、いつの間にかこんなところまできていたとは知らなかった。

テイマーだと、NPCに出会いやすいのか? まあ、偶然だろうけど、テイマーが活躍してるのは嬉しいことだ。

そして、俺がそんなことをツラツラと考える余裕があるうちに、アシュラショウジョウ戦は最終段階を迎えていた。

「ガアァ?」

「よし! 奴が麻痺したぞ! みんな、総攻撃だ!」

「はい! 白銀さん!」

「やってやりましょう!」

罠によって麻痺ったアシュラショウジョウに、参加者全員で一斉攻撃を仕掛ける。これが最後だと分かっているので、皆本気だ。

俺や第二陣プレイヤーが普通の魔術やスキルを使う一方、第一陣のプレイヤーたちはド派手な攻撃を仕掛けていた。

「はぁぁぁ! 抜刀一閃!」

「滅多刺しぃぃ!」

「オーバー・ブレイズ!」

あれも必殺技なのかね? ただ、ホランドの必殺技に比べると、威力が弱い気がする。その代わり使用までが早いので、必殺技にも色々な種類があるんだろうな。負けてられん!

「クママ! ようやくだぞ! 溜めた力を全部ぶちこめ! ドリモ、ファウ、メルムは覚醒だぁ!」

「クックマ!」

「モグモー!」

「ヤー!」

「ニュー!」

うちのパーティも強くなったもんだぜ! トッププレイヤーに引けを取らないダメージを叩き出したのだ!

そして最後は、みんな大好き勇者の一撃だ。

「シャイニングゥセイバァァ!」

「ガアアアアア……」

相変わらずかっこいいよなぁ! ホランドの必殺技が炸裂し、俺たちは見事死に戻りなしでアシュラショウジョウを撃破したのであった。

ボスドロップもゲットだ。阿修羅猩々の毛皮や、阿修羅猩々の牙など、色々と使えそうな素材ばかりである。サーベラスライオンの素材もまだ手を付けてないし、どっかに持ち込もうかね。しかも。これだけではない。

名称:水宝珠

レア度:6 品質:★10

効果:水の力を秘めた宝珠。

炎宝珠に続き、水宝珠も手に入れてしまった。他の参加者もゲットしておらず、また俺だけだ。こうなってくると、招福と幸運のコンボが効いてるとしか思えんな。