軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

644話 ビステスのギルド

のんびり庵を出て、歩き始めて約10分。俺たちは、目的地の一つを発見していた。

「おお! 獣魔ギルド発見!」

「ヤー!」

噂通り、巨大なギルドである。今まで見た中でダントツに大きい。

建物自体は二階建てなのだが、その面積が半端なかった。多分、平均的な小学校の校舎の数倍はある。それに加え、広い庭や、体育館級の離れが幾つも存在しているのだ。

入り口にある地図を見ないと、何がどこにあるか分からない。まあ、施設内を移動するための転移陣があるので、そこまで困ることはないと思うけど。

「中入るぞー」

「フマ!」

「ヒムー!」

中も非常に広く、しかも豪華だった。

フカフカで綺麗な絨毯とか、俺たちが踏んでしまっていいのか? クママやペルカは、裸足だよ? いや、ゲームの中なんだから大丈夫なんだけど、小心者なリトルユートが落ち着かないと叫んでいるのだ。

ずんずんと進んでいけるモンスたちが羨ましいぜ。

他の内装も豪華なうえに上品で、どこぞの大使館のエントランスホールだと言われても納得できてしまう。飾られている絵とか、きっとお高いのだろう。

とは言え、そこはゲーム。数分もすれば慣れてくる。

俺にも、モンスたちと一緒になって施設を見学する余裕が生まれていた。

テイマー用の孵卵室や、サモナー用の従魔合成室。モンスターを預ける牧場など、見たことがある施設ばかりだ。

ただ、その規模と豪華さが半端ない。孵卵室には球形の孵卵器が並んでいるんだが、メタリックな質感なうえにいくつもの管やパイプが繋がれ、まるでSF映画のコールドスリープ装置のようなのである。

そんな物が金属製の床の上に何十個も並んでいる光景は、LJOの中だとは思えない。働いている職員さんが魔術師風のローブ姿じゃなかったら、ファンタジーゲームなのか疑いたくなるほどだ。

牧場はさすがに普通――ではないな。

まず広い。空間拡張しているのか、先が見えないレベルだ。そこに、超巨大なモンスたちが寝そべっている。

NPCが預けているモンスターという設定らしいが、どう見ても一戸建ての家よりも大きい。そんな巨大モンスが、何体もいるのだ。

NPCのテイマーさんたち、凄すぎじゃね? それに、あんなサイズのモンスターが第11エリアには出現するの?

雑魚MOB扱いなのだとしたら、絶対に勝てる気がしないんだけど。

さらに中を歩き回っていると、

不思議な場所に出た。入り口の受付によく似た、でも少し小さな部屋だ。受付も同じように存在している。ただ、その先にある木製の扉は固く閉ざされていた。

「あの、ここって何ですか?」

「こちら、ギルドランク10以上の方専用のラウンジとなっております」

まじか! そんな、空港のクラス分けみたいなことしてんの?

受付のお姉さんに説明してもらうと、この先では各職業専用の施設になっており、俺ならテイマーラウンジに繋がるらしい。

孵卵室などの通常施設は勿論、この専用ラウンジにしかない特別施設もあるんだとか。また、設定を変更することで、建物の入り口からこの専用ラウンジに直接入ることも可能であるらしい。

俺のギルドランクは14。メルムをバーバラさんに見せたりとかしている内に、いつの間にかランクが上がっていたのだ。

俺なら使えるはず!

「俺、入れますか?」

「はい。勿論でございます」

「よし!」

受付のお姉さんがデスクを操作すると、閉まっていた扉が開く。どんな施設があるのか、ワクワクするね!

中は、始まりの町のギルドと似た、少し狭めの施設だ。ただ、全ての施設への入り口が近くに集中しているので、利便性は段違いだろう。非常に使いやすそうだった。

既存の施設以外の新たな施設としてまず目についたのは、訓練所という施設である。

お金を払ってここにモンスを預けると、時間ごとに一定の経験値を得ることが可能だという。牧場と似ているが、あちらは無料な代わりに経験値などを得ることはない。

こちらはそれなりにお金はかかるものの、普段連れ歩いていないモンスも強くできるのだ。

まあ、俺にはあまり関係ない施設かな? 俺は、ゆっくりじっくり自分の手で育てたい派だから。

戦闘メインの使役職にとっては、非常に有用だと思う。どうしても勝てないボス等に対し、有効な能力を持ったモンスターを短期間で用意したい場合や、連れ歩かないけどレベルを上げておきたい二軍のモンスの育成などに利用するのだと思われた。

次に見つけたのは、模擬戦室という場所だった。PvPができるわけではなく、エネミーの幻影を呼び出して模擬戦が行える場所である。

経験値は入らないが、連携を確認したりするのに使えるらしい。これも、俺はあまり使わない施設だね。

敵が強くなる第11エリアのギルドでは、戦闘面に関する支援が充実しているようだった。

最後に、売店に辿り着く。並んでいる商品の中には初見の物もかなりあった。

まず目に入ってきたのは、従魔の食事アイテムである中蜜団子だ。蜜団子の上位版で、値段は20倍もするものの、今までよりも美味しくて従魔が喜ぶと書いてある。

うちは、俺が従魔の食事を用意しているが、緊急時用に少し買っておいてもいいかもしれない。

あと気になったのは、メチャクチャお高い『血統の覚醒』という赤い宝石だった。各プレイヤーが1つしか購入できないうえ、値段は1000万G。超絶お高い。

しかも効果があやふやだ。

説明には、使役された従魔の血の力を覚醒させる、とある。具体的なことがよく分からない。

ただ、俺には心当たりがあった。以前手に入れてファウに使用した、従魔の覚醒である。アレに近いアイテムなのではなかろうか?

「買えちゃうんだよな……」

これだけ高いのだから、弱いアイテムではないだろう。想像通り従魔を強化してくれるアイテムなのであれば、むしろ安い! いや、安くはないけど、惜しくはない。

「よし、これを購入だ!」

あとは従魔用のポーションなどを購入して、売店を後にした。

そう言えば、ここにはのんびりイベントを捜しにきたんだったよね。どこで開催してるんだ?