軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

643話 ノンビリモノ

至高の温泉読書イベントを終えた俺たちは、ふたたびのんびり庵へと戻ってきた。確認すると、NPが16まで増えている。やはり、イベント参加で5上昇ってことなんだろう。

さらに、購入可能なアイテムが増えていた。スキルスクロールに、ホームオブジェクト、のんびりファーマーの秘伝書など、前日の追加ラインナップと一緒だ。

これって、のんびり庵でNPCと仲良くなると、その職業に対応したアイテムが追加されるんじゃないかね?

新たなNPCが現れてくれないかとしばらく待っていると、庭で遊んでいたモンスたちの声が聞こえた。

そちらを見てみると、何やら不思議な生き物が池の畔に座っていた。モンスたちも驚いているようだが、敵対している感じではない。

後ろから見ると、毛むくじゃらな獣っぽい感じだな。太った猫や中型犬的な? そもそも、いつの間に現れた?

鑑定してみると、ノンビリモノと表示された。なんと、妖怪であるようだ。近づいてよくよく見てみると、その姿はナマケモノに非常に似ていた。

のんびり庵にお似合いと言えば、そうなのか? のんびりと怠けは違うと思うが――いや、だからこの妖怪はノンビリモノって名前なんだろう。

「ノンビリモノ君? ちゃん?」

「……のーん」

「ここで何を?」

「…………のん」

ダメだ。ちょっと鳴くんだけど、ほとんど動かん。ビリーさんを呼んでこようかとも思ったけど、NPが入手できるまでは変な行動せずにのんびりしたい。

下手に刺激するのも怖いし、とりあえずこのままステイだ。

俺は、購入してきた本を取り出す。温泉イベントで途中まで読んでいた本が気になってしまって、買ってきてしまったのである。まあ、ラノベだけどね。

そうして本を1冊読み終えた俺は、NPを確認してみた。すると、17に上昇している。のんびり何もせずに本読んでるだけでオッケーなんだから、楽なものだね。

「さて、妖怪君は……いるね」

相変わらず、池の畔でボーっとしている。さすがのんびり庵に出現する妖怪だ。

「もう少し様子見をするか」

実は完結まで揃っているから、あと3冊もあるのだ。午前中はこの作品を読破することに決めた!

そうして本を読み進めると、読み終わる頃にはお昼前になっていた。そろそろモンスたちのお昼を準備しよう。そう思って長椅子から身を起こすと、ノンビリモノと目が合う。

なんと、ずっと動かなかった妖怪が、こちらを向いていたのだ。

「え? えーっと、こんにちは」

「……のん」

おお! ゆっくりとだが、右手を上げたぞ! 明らかに俺の言葉に反応していた! 反応してたよね?

「俺、お茶飲むけど、君も飲む?」

「……のん」

頷いた! やっぱ反応してるぞ!

俺は収納からヘソ茶を取り出すと、ノンビリモノの前にそっと置いてみた。

それを見たモンスたちが一斉に集まってくる。皆も飲み物が欲しいらしい。ついでに、お昼も食べてしまおう。

モンスたちにそれぞれ食べ物を与えつつ、俺はノンビリモノにも食べ物を勧めてみることにした。

「えーっと、なんか食べる? 野菜とか?」

「……のん」

頷いているけど、野菜がいいのかどうかはよく分からんな。結局、色々な食べ物を取り出し、ノンビリモノの周囲に円を描くように置いてみる。以前もやった作戦なのだ。

結果、妖怪が手にしたのは花だった。

いやー、動物系のテレビ番組で、ナマケモノが花を食べてる映像を見たことがあるような気がしたんだよね。そのため、一応花を出してみたのだ。これがまさかの当たりだったとは。

「……のん」

「うん? 握手か?」

「のん」

某宇宙人映画のポスターのように、俺の指とノンビリモノの指が触れ合う。すると、強い光が発せられた。

『ノンビリモノと友誼が結ばれました。一部のスキルが解放されます』

おお! 友誼結べちゃった! 図鑑にもノンビリモノが登録されたぞ! ノンビリモノの姿は消えてしまったが、ホームへと移動したんだろう。

のんびり庵って、実はすっごい重要な施設なんじゃなかろうか?

解放されたスキルは、『休憩』と『のんびり』と『鈍重陣』の3種だった。

休憩はその名の通り、セーブポイントなどでの休憩中の回復速度が上昇するもの。のんびりは、ログアウト中の回復速度上昇。鈍重陣は、周囲の者全てに速度低下を与えるらしい。

鈍重陣は一見有用そうだが、全てにってところがミソだ。これ、敵味方関係ないっぽいんだよね。

正直、俺が使いこなせるスキルじゃなさそうだった。変なタイミングで使って、モンスたちの足を引っ張ることになるだろう。

「そうだ。購入リストに変化はないか?」

NPが25まで上昇していた。多分、ここでのんびりした分に加え、ノンビリモノと友誼を結んだことでも上昇しているだろう。

「のんびり陰陽師の秘伝書ね……」

ノンビリモノが、陰陽師関連のNPC扱いだったらしい。

「秘伝書が購入可能になるまで、イベント1回か」

これは、今日にでもぜひゲットしてみたい。そう思ってチラシを見たんだが、すぐに参加できそうなイベントの情報は載っていなかった。

情報をゲットするためビリーさんに話を聞きにいく。すると、有力な情報を手に入れることができた。

「のんびりできる施設以外じゃと、各ギルドでものんびり同志たちがイベントを開催しとることがあるねぇ」

「ギルドって、冒険者ギルドとか、獣魔ギルドでってことですか?」

「うむ。そうじゃよ」

それは盲点だった。ビリーさんの言葉を聞き、まだどのギルドも見つけていないことに気付く。

「ギルドの場所を探しつつ、のんびりイベントを探してみますか」