軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

642話 のんびり庵の謎

しばらく星を見上げていると、周囲の光が再び点灯した。夜空も少し明るくなり、見える星が少し減る。

「いやー、のんびりできたねぇ」

「癒しの時間ですなぁ」

「そうじゃね」

のんびりイベントは、これで終了であるらしい。周囲のNPCたちが起き上がって談笑し始めた。

「どうでしたか旅人さん」

「いやー、のんびりできたよ。案内してくれてありがとう」

「こちらこそ、楽しんでもらえてよかった。のんびり仲間が増えて嬉しいよ」

気付くと、そろそろログアウトしなきゃいけない時間だ。ボーっと星空を見ていただけなのに、驚くほど時間が経っていたのだ。

イベントがもう少し長かったら、ヤバかったね。

ただ、のんびり庵に戻らないと、どれくらいNPが上昇したか分からない。ログアウト前に、大急ぎでのんびり庵に戻ることにした。

ノモルさんは用事があるようで去って行ってしまったが、すでに道は覚えている。まあ、ちょっとだけ迷ったけど、キャロがしっかり道を記憶してくれていたのだ。さすが馬!

「おお、旅人さん。星見会はどうじゃったかね?」

「とてもよかったですよ!」

出迎えてくれたビリーさんに挨拶しながら、メニューを確認する。すると、NPが11まで上昇していた。イベント参加で5上昇するらしい。つまり、あと2つイベントをこなせば、スキルスクロールが1つ購入できるわけだ。

特段欲しいスキルがあるわけでもないんだが、目標はある方がいいよね。ただ、そこである事に気が付いた。

「なんか、リストの商品が微妙に増えてるな」

ホームオブジェクトに、のんびりプールや、のんびり牧場など、のんびりを冠するオブジェクトが追加されている。

スキルスクロールも同様だ。のんびりトリミングに、のんびりモンスターケアなどの、テイマー系のスキルが新たに発見できた。

「お? スキルスクロールよりもさらに高ランクのアイテムページが増えてるぞ」

NP30で購入可能なアイテムのページが新たに出現し、そこにはのんびりテイマーの秘伝書というアイテムが載っている。どうやら、4次職用の秘伝書であるらしい。

あれ? 4次職って、まだ未発見だったよね? これって、大発見なんじゃないか?

でも、どうして新しく追加されたのかね? のんびり庵に来てからは、ボーっとして、ノモルさんとイベントに行ったくらいだが……。

可能性としては、ノモルさんか? テイマーのノモルさんと仲良くなったおかげで、賞品が増えたんだろうか?

考え込んでいると、システム音がログアウト予定時刻がきたことを知らせてくれる。考察はリアルでしよう。

「ちょっと時間がないので、また来ますね」

「うむうむ。旅人さんならいつでも大歓迎じゃよ」

ビリーさんに見送られながらのんびり庵を後にした俺は、即座にホームへと戻るとログアウトするのであった。

そして、食事や風呂、仮眠を済ませてから、ゲーム内へと再び舞い戻る。

ログインしました。

ゲーム内の時間は丁度早朝だ。そこで畑仕事などをパパッと済ませて、のんびり庵へと向かう。今日はパーティメンバーをガラッと入れ替えている。

またのんびり三昧になるだろうからね。同じメンバーばかり連れて行ったら、怒られてしまいそうなのだ。

サクラ、ルフレ、ヒムカ、アイネ、ファウ、クママ、ペルカの面々とともに歩く。従魔編成+2のお陰で、モンスたちをちょうど半々で連れ歩けるのがありがたかった。

のんびり庵は、ちゃんと昨日と同じ場所に存在している。ビリーさんがいなくても、入ることができるらしい。

中に入ると、閑古鳥が鳴く店内で、ビリーさんが寛いでいた。

「どもー」

「おや、いらっしゃい旅人さん」

「奥、使わせてもらっていいですか?」

「どうぞどうぞ」

改めてのんびり庵で購入可能な商品リストを確認しようかと思ったんだが……。

「おはよう、旅人さん。新しい顔だね?」

「お、おはようございます」

のんびり庵の奥へと足を踏み入れると、椅子に座っていたおじさんに声をかけられた。いかにも村人ですって感じの格好の、どこにでもいそうな小太りのおじさんだ。

色々なNPCが出入りしているらしい。

「旅人さんも、のんびり屋さんなのかな?」

「ま、まあ、そうかな?」

ビリーさんにはのんびり屋さんだって言われたし。

「だったら、いいイベントがあるんだよ。一緒にどうだい?」

なんと、また誘われてしまった。昨日のノモルといい、このおじさんと言い、好感度を上げたつもりはないんだけどな。何がトリガーなんだろう? それとも、こののんびり庵にくれば、必ずお誘いイベントが発生するのか?

とりあえず、ここで断ったら好感度が下がっちゃうかもしれないし、イベント紹介してもらおう。どうせ何かイベントを探そうと思っていたのだ。

「僕はモリリス。ファーマーさ」

「俺はテイマーのユートだ」

「分かるよ? 君、ファーマーとしてもかなりの腕前だろ? のんびり仲間に農業愛好家が増えて嬉しいよ」

さすがNPC。俺が農耕スキル持ちだと分かるらしい。

「どんなイベントなんだ?」

「今日は、温泉とブックカフェのコラボイベントなんだ。温泉で本が読めて、飲み物が無料で飲めるのさ。熱い温泉につかって本を読みながら、お酒をクイッと行くのがいいんだ」

「ほほー、それは面白そうだな!」

「だろ!」

俺はその後、モリリスと一緒に温泉に向かい、イベントを楽しんだ。温泉は、水着着用の混浴である。いや、男女別の温泉もあったんだが、モンスと入るならここしかダメだったのだ。というか、ゲームの中だから、モンスもオーケーだったのが嬉しい。

モンスたちも温泉は気持ち良いらしく、全員がのんびりとお湯に浸かっている。ペルカなんて熱いのが苦手そうなものだが、温泉は大丈夫であるらしい。

「フマー」

「ペペーン」

「ヤー」

ファウは桶にお湯を張って、温泉の上を漂っている。人が出入りする度に揺れるが、逆にそれが楽しいようだ。

そして、温泉の脇に用意されているカウンターでは、清酒やビール、各種カクテルやソフトドリンクが飲み放題だった。特殊な効果はないが、それで十分なのだ。

本は、ブックカフェと同じで、提携する電子書籍配信サイトのラインナップが読み放題である。とりあえず、最近話題だったけど読んだことがない、アニメ化が決定している漫画を読破することにした。ウィンドウ表示される電子書籍だから、濡れる心配はない。

のんびりイベント、素晴らしい催しばかりだな!