軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

609話 みんなで生産

「良く集まってくれたな」

「きゃー! クママちゃん! やほー!」

「やっぱ樹精ちゃん可愛いなぁ」

「す、すごい食材がいっぱい! すごいわ! ここ凄い!」

全然、俺の話聞いてないな!

「あははは。ごめんなさいユートさん。みんなテンションがちょっと……」

「くぅ。俺の言葉を聞いてくれるのはソーヤ君だけだ!」

ポイズンクッキングを開始してから少しして、俺はレイド戦に参加することになっている生産職たちを呼び出していた。

最初は、料理のことでアドバイスを貰おうと、ふーかだけに連絡したのだ。ただ、たまたまそこにはアシハナがいて、ついてくると言い出した。

日を置かずにうちの畑に来て、クママを眺めているはずなんだがなぁ。

ソーヤ君はレイドに誘ったことに対してお礼のコールをくれて、その流れで誘ってみたのである。

スケガワはまぁ、なんとなく? 1人だけ仲間はずれにしたら可哀そうだと思って、とりあえず連絡したら来ることになったのだ。

個人主義の生産職ばかりということで、みんな自由過ぎるけどね! ソーヤ君がいなかったら、もっと取っ散らかっていただろう。

「それで、レイド攻略のための道具を作るという話でしたが……」

「そうなんだよね。実はさ――」

壊れた罠を発見したことや、毒を仕込んだ料理について教えてもらったことを話して聞かせる。

「なるほど。それは確かにボスに対して有用な情報です」

「だろ? で、毒料理と、罠に誘導するための囮餌を作ろうと思ってるんだ」

「だから私を呼んだんですね! 腕を振るっちゃいますよ!」

ふーかの料理の腕があれば、かなり美味しい料理が作れるだろう。毒に関しては、ソーヤ君とも協力して、なんとか上手く仕込みたい。

「私は器を工夫してみようかな」

「器?」

「うん。対象の視線を引き付ける、挑発系の効果があるお皿とかもあるからね」

「なるほど! それは思いつかなかった!」

以前刻印スキルで作った、匂いを撒き散らす風の皿。あれとか、今回使えるかもしれない。盲点だったね。

俺は刻印・風で紋章を刻んだ皿を取り出し、アシハナに見せてみる。すると、興味深そうに皿を観察し始めた。

「へー、こういう感じのもいいね」

「アシハナが考えてるのは、刻印で追加効果を刻んだものじゃないのか?」

「それもありだけど、私が作ろうかと思ってたのはこういうの」

アシハナが取り出したのは、一見すると普通の木皿だ。表面を見ても絵や刻印はなく、シンプルで使いやすそうなのだ。

だが、鑑定してみるとただの皿ではないと分かる。

「おびき寄せって効果が付いてるな」

「その通り。これに食べ物を載せてフィールドに置いておくと、その食べ物が好物のモンスターが寄ってくるんだ」

「面白い効果だな」

「ま、あんま使えないけどね」

「そうなのか?」

「確実性がないもん」

引き寄せ香と違って、確実にモンスターをおびき寄せる訳ではない。あくまでも、皿に置いた食べ物が好きなモンスターが周辺にいた場合、低確率で成功するくらいの感じなのだ。

しかも、場合によっては呼び集めすぎて、想定を超える数のモンスターと戦闘になることもある。引き寄せ香の代替品として使うには、少々使い勝手が悪かった。

「素材と塗料を変えれば、効果も変わるんだ。だからさ、獣系のモンスターを寄せるような効果のお皿を作って、それに刻印を彫ってもらえば面白いかも」

「なるほどな」

「だから、あとで刻印お願いしていい? とりあえずお皿何枚か作るからさ」

「了解」

で、残るはスケガワなんだが……。

「俺は何をすればいいんだ?」

「うーん?」

「あれ? 白銀さん?」

「いや、待て」

「え?」

ノリで呼んだだけで、仕事を考えてなかったなんて言えない! 考えろ! 考えるんだ俺!

「そ、そう! スケガワにはアシハナと一緒に食器を作ってもらおうかな! 金属製の食器と木製の食器で、違いが出るかもしれないし!」

「……俺、食器とかはあまり作ったことないんだ」

ダメなんかーい!

さらに考えた俺は、切ない表情のスケガワを連れて出かけることにした。目的地は、獣人村だ。

大荒原を強行軍で一気に抜け、村への入り口をくぐる。

「おー! ここが隠れ里か! スゲー! 獣人のかわいい子がたくさんだっ!」

喜んでくれてるけど、獣人少女でご機嫌を取るために連れてきたわけじゃないぞ?

「こっちだスケガワ」

「ここって、さっき話してた鍛冶屋さん?」

俺がスケガワを伴ってやってきたのは、ヤダンの工房であった。声をかけて中に入ると、何やら作業をしている。

「おう、どうしたんだ旅人さんよ?」

「実は、俺の友人を連れてきたんだよ。今度のボス戦に一緒に参加することになった鍛冶師なんだが、罠を見せてやろうと思って」

「ほう? いいぜ。こっちだ」

「お、おなしゃーっす!」

スケガワが最敬礼でヤダンさんについていく。どうも、強面のおじさんに緊張しているらしい。女の子好きの反動なのか?

だが、罠を前に話をし出すと、あっという間に打ち解けている。職人同士の細かい話題に、俺は全くついていけなかった。

3分もすれば、完全に意気投合だ。

「がっはっは! おもしれーやつじゃねーか! 腕もいいしよ! 気に入った!」

「あ、あざーっす!」

「罠の作り方を教えてやるから、少し手伝って行けよ! な?」

「え? えーっと」

スケガワがこっちを見たので、俺は好きにしろと頷いておく。結局スケガワはここでヤダンの手伝いをしつつ、罠に関して色々と教えてもらうことになったのであった。

「白銀さん」

「なんだ?」

「樹精ちゃんを助手兼応援係として――」

「じゃ、後は頑張れ」