軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

436話 ダンクレオステウス

「よっしゃー! きたきた! 遂にきたぞっ!」

「ムッムー!」

「モグモー!」

釣り上げる直前だった怪魚をモサに食われてしまってから30分後。

俺は釣り糸を引く凄まじい引きに、歓喜の声をあげていた。再び怪魚がヒットしたのだ。

「みんな! 手伝ってくれ!」

「フママ! フママー!」

「ヒムー!」

「もう少しだ! タモを!」

「――!」

「フマ!」

時には怪魚の引きに負けそうになりながらも、俺たちは必死に戦った。そして、上がってきたのは誰がどう見ても『怪魚』と呼ぶにふさわしい異様な巨大魚であった。

「こ、怖っ! なんだこの姿!」

「ヒ、ヒムー……」

「うむ。今回ばかりはお前が引いちゃうのもちょっと分かるぞ、ヒムカ」

上がってきたのは全長6メートルほどの巨大な魚だったのだが、頭の比率がメチャクチャデカイ。体の3分の1くらいは頭だろう。

しかも、口には超巨大な牙が生えていた。鮫などの歯よりも太くて鋭い、まるで大型トラバサミを口に取り付けたかのような、威圧感のある牙である。

名前はダンクレオステウス。こいつが怪魚で間違いないだろう。

「タモが使えん! みんなで引っ張り上げるぞ!」

「モグ!」

「ムム!」

力自慢コンビが主力となり、釣り糸を手繰り寄せて怪魚を岸に上げる。襲われやしないかとヒヤヒヤしたが、多少暴れるだけであった。

まあ、巨体が跳ね回るせいで、俺たち全員ビショビショだけどね。

「確かに不気味な姿だけど、よく見たらカッコイイな! これを飼育ケースに……」

『この生物は、飼育ケースに対応していません』

まじか! いや、確かにケースよりも大きいけどさ! せっかく釣り上げたのに!

結局、怪魚は時間経過でアイテム化してしまうのであった。

「やっぱり古代魚の白身か……。いや、他にもあるな」

インベントリの中には、シーラカンスと同じ古代魚の白身が20個も入っている。だが、それだけではなかった。

「古代魚の琥珀身?」

取り出してみると、確かに琥珀色をした切り身であった。毒ではなさそうだけど、食べるのか? まあ、4つあるし、あとで調理してみよう。さすがに生は怖いし、ソテーがいいかな?

「それにこれは……琥珀か! しかも品質が高い!」

今までゲットできたことがない、★9の琥珀であったのだ。取り出してみると、非常に大きい。★8の琥珀は手の平サイズだったが、こちらはもう少し大きいだろう。コミック雑誌くらいのサイズがある。

名称:琥珀・霊草

レア度:4 品質:★9

効果:素材。観賞用。

「霊草……? 確かに光って綺麗だけど」

素材に使えるっぽいけど、部屋に飾るのも良さそうだ。

しかも、ダンクレオステウスのドロップはそれだけではなかった。

「巨大水槽引換券!」

また引換券だ。これがあると、イベント終了時にホームオブジェクトの巨大水槽と引き換えできるっぽい。まあ、この水槽で、色々な魚を飼えということなんだろう。

「水槽で飼うための怪魚が、イベントの後で手に入るってことなのか? まあ、飼育ケースに入らんものは仕方ないし、図鑑に登録できただけで充分と思っておこう」

これで後は、ショクダイオオコンニャクを登録すれば図鑑はコンプリートだ。

「ショクダイオオコンニャクが開花するのは多分明日だろうし、それまではどうしようかな」

「ムッム!」

「モグ!」

俺が悩んでいると、オルトとドリモが何やらアピールしてきた。2人でクワとツルハシを交互に振り下ろすジェスチャーだ。

「ムム?」

「モグモ!」

「ムムー!」

オルトが何かを発見するような演技をした後、ドリモが見えない何かを持ち上げるジェスチャーをする。そして、頭上に何かを掲げるドリモを見て、オルトが大喜びだ。

「貴重な鉱物を発見して、大喜びしてるジェスチャーってことか?」

「モグ」

ドリモが静かに頷く。

つまり、採掘に行こうというアピールなのだろう。アンモライト、琥珀はいくらあっても構わないし、オルトが採掘上手のスキルを手に入れたばかりだ。

それもいいかもな。

「じゃあ、滝の裏のルートに行ってみるか! アンモライトを掘ろう」

「ム!」

滝の裏に行くのは、それほど難しくなかった。イベントモサがいなければ、崖の下にある僅かな足場を伝って滝の下まで行けるのだ。

「登るのも、なんとかなりそうだ」

「――!」

「ム!」

サクラの作ってくれる蔦と、オルトの足場があれば、さらに安全に登っていけるだろう。

俺たちはそうして滝の裏にある崖を登りつつ、採掘や採取を行っていった。

面白いのが、時おり滝を流れ落ちてくる魚だ。上手くすれば、つかみ取りすることができる。ルフレはさすがで、1人で10匹もの魚をゲットしていた。

逆に、ヒムカはここがあまり好きではないらしい。水が近いせいだろう。

「フムー!」

「ヒム……!」

「ルフレー、また魚獲ったのか。よくやったな! でも、ヒムカが迷惑そうにしてるから、あまり水を飛び散らせないようにな?」

「フマー!」

「ちょ、アイネ! 水遊びするのはいいけど、はしゃぎすぎるなって!」

アイネが滝に思いきり突っ込んでいって、突き抜ける遊びを発見していた。

飛び散った水滴によって生み出される虹の美しさに、興奮が抑えきれないらしい。

いや、俺が「スゲー! 虹まで再現されてるのか!」って喜んでしまったのも、アイネのテンションが上がった原因だっていうのは分かってるんだよ?

「ヒ、ヒムーッ!」

「ヒムカ! 大丈夫か!」

「ヒ、ヒム……」

ヒムカがアイネによって撒き散らされた水を避けようとして、崖から足を踏み外す。サクラの蔦がなかったら、落ちていただろう。

「ルフレもアイネも、もう少しお淑やかにな!」

「フムー?」

「フマー?」