軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

437話 クルミからのフレンドコール

滝裏の崖で採掘を行いながら、少しずつ上ってきた。

アンモライトに琥珀と、欲しかったアイテムがゲットできたので、俺としては大満足だ。やはり、アンモライトや高品質の琥珀を採掘できる確率が高いらしい。

滝裏の崖は、やはりテーブルマウンテンの頂上へと続いていたらしい。上りきった先にあったのは、見覚えのある場所だ。

「とりあえず、ショクダイオオコンニャクの様子を見に行ってみるか」

「――♪」

俺の言葉にサクラが笑顔で頷く。植物の精霊である彼女は、珍しい草花を見るのが好きであるらしい。

中央の池に向かうと、多数のプレイヤーたちが釣りをしていた。シーラカンス狙いなんだろう。

ショクダイオオコンニャクはまだ開花していない。やはり最終日である明日開花予定であるらしい。

「次、どうしようかな……」

釣りか採掘か、ビーチで寛ぐか。

悩んでいたら、フレンドコールの呼び出し音が鳴った。

相手はクルミである。

「もしもし? どうしたんだ?」

『実はこれからボス倒しに行くんだけど、白銀さんも一緒にどうかなーと思って。お誘い』

「え? ボス? ブラキオか? 確かに俺は1回倒してるけど、あれは運が良かっただけだぞ? もう1回は無理だ」

攻略経験のあるプレイヤーに助力を求めるのは、ボス攻略においてはごく普通のことだろう。だが、俺たちには当てはまらない。

クルミに告げた通り、本当に運が良かっただけなのだ。ティラノの誘導などの条件を満たしたのも、その後の戦闘も、奇跡だったとしか考えられない。

しかし、クルミたちが俺の力を借りたがっているというのは、完全な勘違いであった。

『ううん。ブラキオじゃなくて、スピノを狙おうと思ってるんだ』

「スピノ?」

『そう! 情報を色々集めて、準備も万端! 多分、完封できると思うんだ』

「え? だったら、俺たちを誘う必要なくないか?」

『ほら、生配信で協力してもらったでしょ? 正直、私たちが得し過ぎだからさー。スピノ攻略でお返しできないかと思って。準備はこっちでやるから、白銀さんは参加してくれるだけでもいいよ!』

俺の手助けなんか必要ありませんでした! そりゃそうだ。戦闘力はクルミたちの方が圧倒的に高いんだし。

『ちょ! クルミ! 言い方を考えないと! それじゃまるで、白銀さんの力が必要ないみたいに聞こえるでしょ!』

『えー? そう?』

クルミの後ろからフィルマの焦った声が聞こえる。確かに、聞きようによっては「足手まといだから引っ込んでろ、報酬だけはくれてやる」的なニュアンスに聞こえなくもない。

まあ、俺の場合はクルミとは何度も会ってるし、そんな奴じゃないとは分かっているから、それで怒ったりはせんが。

『ごめんなさい白銀さん! 配信に出演してもらったお礼として、スピノ戦で必要なアイテムを私たちで用意させてもらおうと思ったんです』

「はは、大丈夫だフィルマ。ちゃんと分かってるから」

『私たちとしても、白銀さんに手伝ってもらえるならありがたいんだ~。今回、攻撃力よりもタンクと補助役が欲しいから。白銀さんのモンスちゃんたちなら、両方揃ってるでしょ?』

「確かにそうだな」

『白銀さんが乗り気じゃないなら、他のフレンドに頼もうかと思ってたけど、それだとリキューが嫌がるしねぇ。さっきも言ったけど、必要なアイテムの準備とかは、全部こっちでやるからさ』

「いや、アイテムが必要なら、俺も用意するぞ」

『平気平気。そもそも、もう準備終わってるから』

本当に準備を全部任せていいのか? 生配信のお礼と言っても、ただ広めてほしい情報を喋っただけだぞ?

「こっちもいろいろ情報貰ったし、お互い様だと思うが……」

クルミから貰った情報のおかげで図鑑を埋められたし、俺としては等価交換だったと思う。しかし、クルミたちはそうは思ってないらしい。

『そんなことないんだよ! ぶっちゃけ、私たちの貰い過ぎなの! これをこのまま放置はできないよ!』

「そ、そうか?」

『そうだよ! 他のプレイヤーにこの話を聞かれたら、私たちが白銀さんを食い物にしたって言われかねないもん! だから私たちを助けると思って!』

それはさすがに言い過ぎじゃないか? まあ、俺がスピノ攻略に参加しやすいように、大袈裟に言ってくれているんだろう。

『それで、どうかな?』

「時間はあるし、大丈夫だぞ」

『やった! 決まりね!』

10分後。

俺はイベントスピノのテリトリーへと続く坂の前で、クルミたち3人娘と合流した。

「やっほー! 沈没船ぶり!」

「さっきはクルミが無理言ったみたいですみません」

「くくく……スピノ爆殺は任せておいて」

相変わらずの3人だが、リキューの物騒な呟きは無視できん。

「爆殺?」

「うん。とりあえず作戦の説明をするね」

「頼む」

イベントスピノ相手の立ち回りだが。かなり研究されているようだ。ついさっき初討伐されたばかりのイベントモサと違って、討伐数も3ケタに届くほどだという。

情報も非常に多く、安全に戦う方法も編み出されているらしい。

それが、火属性の爆弾を使う方法だ。スピノは、弱点である火属性のダメージを一定以上食らうと、よろけと後退を行うらしい。

爆弾の同時起動で火ダメージを与え続けることで、その動きを上手く封じることができるそうだ。しかも最新の情報によると、好物の海水魚を設置することで誘導を楽に行えるという。

「うちの場合、リキューがいるからね。爆弾の数も威力も問題なし! まあ、今回は地雷だけど。海水魚も大量に仕入れてきたから、HP3割切るまではハメ殺しになるだろうね」

「うわー、それは……」

リキューの爆弾を大量使用? 超派手な戦闘になりそうだ。自爆には気を付けなければ。

「でも、爆弾をそんなたくさん用意できるのか?」

「イベント内のアイテムを使っての量産体制は、確立済みよ……くくく」

「さ、さすがリキューだな」

新たにイベントに持ち込めるようになったアイテムで、工夫をしたらしい。素材ではなく、素材に手を加えることができる特殊器具を持ち込んだようだ。

「で、白銀さんたちに活躍してもらうのは、残りHPが3割切ってからね! そうなると魚での誘導ができなくなるって話だから、真正面から戦わないといけなくなるんだ」

「うちのパーティ、タンクは足りてないし、バッファーもいないんで、白銀さんにその辺をお願いしたいんです」

「ああ、それはさっき聞いてたから、少しパーティメンバーを入れ替えてきた」

サクラをファウと入れ替え、バッファーを2枚にしてきたのである。

「それじゃ、頑張ろー! おー!」

「あ、ちょっと待ってくれ。先にこれを」

「うん? これは?」

「刺身だ。一応、HP回復速度上昇と、防御にバフが入るから、食べておこう」

「いいんですか?」

「全部そっちに任せるっていうのも、やっぱ気が引けるからな。まあ、簡単なもので済まんが」

「そんなことないです! やっぱり、バフの付くお料理はまだ貴重ですから!」

「しかも白銀さんの料理だもんね」

「くくく……美味」