軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

364話 ペンギン・ハイウェイ

「キキュー!」

「ヤヤー!」

「ペペーン!」

リックとファウが、ペンギンさんに抱き付いている。いや、腹にしがみ付いているという方が正しいだろうか。

そのフカフカの羽毛に埋もれて、満足げである。羨ましい。ペンギンさんも嫌がる素振りはないので、そのままにしておこう。

考えてみたら親子の対面なのだ。まあ、しんみりした雰囲気はかけらもないが。やはり、親子関係という括りには当てはまらないんだろう。

リックたちにとっては新しいモンス仲間って感じだった。

「さて、ステータスの確認――の前に名前だな!」

「ペン!」

「ペンギン……ペンペン……スイカ……。ペンカ――少し発音し辛いか? なら……。よし、決めた! お前の名前はペルカだ!」

「ペペーン!」

「よしよし、喜んでくれてるな。じゃあ、次はステの確認だ!」

「ペン!」

名前:ペルカ 種族:ハイウェイ・ペンギン 基礎Lv1

契約者:ユート

HP:30/30 MP:18/18

腕力10 体力12 敏捷8

器用4 知力7 精神5

スキル:嘴撃、高速遊泳、採集、耐寒、跳躍、突撃強化、氷耐性、氷結纏い、ペンギンハイウェイ、落下耐性、漁師、三角撃、漁火、火耐性

装備:なし

かなり強いぞ。初期値は報酬卵から孵ったドリモとほとんど変わらない。孵卵器のボーナスのおかげだろう。そして、スキルが14個もあった。

俺がリックとファウの卵に使ったのは、火属性付加戦闘技能孵卵器である。戦闘スキル、火属性スキル、火耐性の3つが加わっているはずだ。これは、三角撃、漁火、火耐性だろう。

採集がリックから遺伝したブラッドスキルかね? 採取の上位スキルで、広い範囲から採取をしてきてくれるスキルだ。ペルカなら、水中から色々なアイテムを拾ってきてくれることだろう。

その他のスキルも興味深いものばかりだ。

嘴撃:嘴で攻撃するためのスキル

高速遊泳:水中を自由自在に泳ぎ回る

耐寒:寒い環境に強くなる

跳躍:高く飛び上がることが可能

突撃強化:移動攻撃時に、ダメージボーナス

氷耐性:氷結系魔術、氷結属性に耐性

氷結纏い:一定時間、行動に氷結属性付与

落下耐性:高所からの落下時にダメージ軽減

漁師:様々な漁、生産を行う際にボーナス有り

三角撃:壁などを蹴って、勢いよく突進する

漁火:水中で消えない灯。一部の魚等が寄ってくる。

火耐性:火炎系魔術、火炎属性に耐性

これらはまあ、調べれば効果がすぐわかるスキルたちだった。データを確認しても、ペルカ以外にも所有者がいる。

漁師や漁火のおかげで、釣りがより捗りそうなのがうれしいね。

だが、ペンギン・ハイウェイだけは、完全に未知のスキルである。掲示板でも一切語られていないし、データにも所有者はいない。完全にユニークスキルであった。種族名がハイウェイ・ペンギンであることからも、種族固有スキルなのだと思われる。

しかも、鑑定しても効果が意味不明だ。

ペンギン・ハイウェイ:ペンギンは行くよ、どこまでも。その歩みは誰にも遮ることができない。

「分かるか! もっとちゃんと書いてくれ!」

ユニークスキルだからか? まあ、いい。使って見れば分かることだ。

「ペルカ。ペンギン・ハイウェイをここで使うことはできるか?」

「ペン!」

ペルカは嬉しそうに頷くと、部屋の端にトコトコと歩き始めた。いったいどんなスキルなんだ?

この言葉自体は知っている。確か、ペンギンの群れが巣と海を行き来する際に使う、ペンギンの生活道路のことを指す言葉だったはずだ。

その名前のスキルとはいったい……。

「ペペン!」

部屋の角でこちらを振り向いたペルカが、片手をピッと上げると、そのまま腹ばいになった。そして、次の瞬間、驚くべき光景が繰り広げられる。

なんと、ペルカの体が軽く光ったかと思うと、その眼前から光の帯がミョーンと伸びたのだ。幅50センチ程の光の帯が、ペルカから俺の前まで山なりに敷かれている。

「ペペーン!」

「おおお! ペルカが飛んだ!」

光の帯は、正にレールであった。そのレールの上をペルカが滑り、かなりの速さで移動する。気付いたらペルカが宙を飛び、俺へと飛び込んできていた。

「どわぁぁ!」

あぶねー! 受け止められたからよかったけど、失敗してたら俺もペルカもぶっ飛んでたぞ? 意外と思い切りがいい性格であるらしい。

「今のがペンギン・ハイウェイか」

移動系のスキルっぽいな。しかも、ただ地面を滑るのではなく、宙にレールを敷くことで、疑似的に空を飛ぶことさえ可能だ。

なんと、ペルカはペンギンでありながら、空すら飛ぶことができるのである!

「すごいなペルカ!」

「ペッペーン!」

俺が褒めると、嬉しげな表情でふんぞり返る。お調子者でもあるらしい。

「ふむ……」

「ペン?」

抱きかかえたペルカの手触りは、有り体に言えば至福であった。

背中側の短い羽毛は、いくらでも撫でていられそうなほどに滑らかである。もっとツルツルしているかと思ったんだが、意外と柔らかい。

そして、腹側のフワモコの羽毛はうちの動物系従魔たちとはまた違う、鳥類特有の温かさがあった。しかも皮下脂肪がプニプニで、無限に揉みしだいていられるのだ。

断言しよう。ペルカの体は人を堕落させる魔性の肉体であると。

「ペン?」

「はっ……! やべー、マジで手が止まらないところだった。残念だが、とりあえずスキンシップはこれくらいにしとこう」

次は、ペルカのお披露目かな。

「よーし、うちの子たちに紹介するからな!」

「ペン!」

「キキュ!」

「ヤー!」