軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

365話 3人娘との約束

ホームに戻る前に、畑にいる子たちにペルカを紹介しようと思って納屋を出る。

「おーい! みんな! 集合!」

「ム?」

「トリ?」

畑にはオルトとオレア、ドリモ、クママがいた。みんな、精が出るね。

「新しい仲間のペルカだ。仲良くしてやってくれ」

「ペペン!」

「モグ!」

「クマー!」

よし。いつも通り、すぐに馴染んだな。ペルカがうちの子たちと順番に握手をしていく。モグラとペンギンが握手してるぞ。不可思議可愛い映像である。

「そうだ。オルト。これ、海苔なんだけど、株分して育てられるか?」

「ムム!」

「そうか! できるか! 水耕プール、1ヶ所余ってただろ? ほら、米を育てる時に水にポーション混ぜたらどうなるか実験して、失敗しちゃったところ。あそこで、これを育ててくれるか?」

「ムー!」

これで、数日後には海苔が食べられるだろう。相変わらずオルトが頼もしすぎるね。

「さて、次は家にいる子たちだ」

「ペン!」

そう思って納屋に戻ろうとしたんだが、その前に呼び止められてしまう。

「白銀さん!」

「あれ、どういうことですかぁ!」

「くく……2人とも激おこ」

畑の外からこちらを睨んでいたのは、クルミ、フィルマ、リキューの3人娘である。なんか、すっごい怒っているんだけど? いや、リキューは怒ってないかな?

だが、クルミたちはどうしてあんな怒ってる?

ペルカに気付いて驚いているって感じじゃないよな?

「むぅー! わかってない!」

「酷いですよ!」

「くくく……食べ物の恨みは恐ろしい……」

「えーっと……?」

無視できない雰囲気だ。

「掲示板見たよ! おにぎり!」

「最初に食べさせるって言ってたじゃないですかぁ!」

「くくく……約束不履行」

「あ、ああ!」

そういえば、籾を譲ってもらう時に最初に食べさせるって言ってたかも! やべー、忘れてた。全く覚えてなかったぁ!

「……えーっと……。あれだ、ほら、みんなに食べさせたのは試作品だから! お、お前らには成功した超美味いやつを食べさせてやろうと思ってたんだよ!」

「えー? 本当?」

「信じられません……」

「くくく……さっき、やべー。忘れてたって顔してたわ」

リキューエスパー! 完璧に思考をトレースされた!

「ほ、ほんとほんと、ほんとだよ。オレウソツカナイヨ?」

「……」

「……」

「くくく……」

「すんませんしたー! 忘れてました!」

ここはもう謝るしかない! 誠心誠意頭を下げ続けるのだ!

「……やっぱね」

「そんなことだろうと思いました」

「賠償請求……くく」

結果、1人につき5品、好きな米料理を無償提供するということで許してもらえたのであった。良かった、この程度で済んで……。俺はもう米の栽培できてるから、正直安い物なのだ。

その流れで、3人にインベントリ内に入っている米料理の一覧を見せて欲しいものを選んでもらっていると、俺のローブがグイグイと引っ張られた。

「ペン?」

「す、すまんペルカ。生まれたばかりなのに、主の情けない姿を見せてしまった……」

「ペペン」

「くっ。慰めてくれるのか? いい奴だな!」

「ペン!」

ペルカがそのヒレ状の翼で、俺の足にそっと抱き付いてくる。俺を見上げる円らなペンギンアイと、その体の温もりに癒されるのだ。

リアル寄りな見た目と、アニメチックな「ペン」という声は、相乗効果が凄いね。

「ええ? な、何その子……。ペンギン?」

「ペ、ペンギンだよ! ペンギンさんがいるよ! クルミ、リキュー!」

「くくく……分かったから、落ち着きなさいフィルマ」

「落ち着ける訳ないよ! だって、ペンギンさんなんだよっ!」

「どうどう。分かったから~。フィルマがペンギンとかラッコとか、海の生き物が好きなのは分かってるから」

珍しく、興奮するフィルマが、クルミとリキューに宥められている。どうやらフィルマはペンギン好きだったらしい。そりゃあ、ペルカを見たら興奮するか。

フィルマの反応から考えると、まだペンギンは未発見のモンスターなのだろう。

しかし、これは失敗を挽回するチャンスなのでは? 確かに謝って許してもらったが、今後も3人とは友好的な関係を続けたい。

「なあ、ペルカ。あのお姉さんたちと遊びたいか?」

「ペン!」

俺がこっそり聞いてみると、ペルカが嬉しそうに頷く。フィルマたちと遊ぶことに抵抗はないらしい。むしろ遊びたいっぽいな。

ドリモみたいに、俺にしか懐かない子もいれば、ペルカのようにオープンな子もいるんだよね。

だが、これで問題はなくなった。

「な、なあ。このペンギン。ペルカっていうんだけど、うちの子たちに紹介したいんだ。その後でいいなら、一緒に遊んでもいいぞ?」

「ほんとっ?」

フィルマが食い気味に反応した。

俺にズイッと顔を近づけ、鼻息も荒く聞き返してくる。その様子を見ているとちょっとだけ「うっそでーす!」って言ってみたくなったが、止めておいた。

俺も、言っていい冗談と、悪い冗談くらいは分かっているのだ。

「あ、ああ。だから、とりあえず俺のホームに移動しないか?」

「分かりました! 行きます!」

「ク、クルミたちの意見を聞かなくてもいいのか?」

「くくく……この状況で、断れないわ」

「ここで反対したら、あとでフィルマ怖いし。それに、白銀さんのホームも気になるもんね!」

ということで、3人娘をホームにご招待することになったのであった。

ま、御招待と言っても、ホームへの入場を許可して、納屋の転移扉を使ってもらうだけだが。

「じゃあ、こっちだ」

「行きましょう! 早く行きましょう!」

「くくく……噂の白銀屋敷」

「レッツらゴー!」