軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

256話 浜風との遭遇

ステータス回復を待つ間、生産も全て終わらせてしまった俺は、南の町へとやってきていた。

「よーし、さがすぜー」

「ムム!」

北と東西にあったのだ、南にだってあるだろう。そう思って探索を始めたんだが――。

「あそこ、人がいるな」

「ム」

南の町の端にある墓地に、5人程のプレイヤーがいた。近寄って見ると、墓地の中央にある一際大きな墓石の後ろに、階段が空いているではないか。

「これってもしかして、ダンジョンの入り口か?」

「あれ、もしかして白銀さんじゃ?」

階段の前で観察していると、不意に後ろから声をかけられた。

「えーっと? 浜風さん?」

その職業は陰陽師となっている。彼女が最近凄い発見を連発している噂の浜風であるようだった。元テイマーで、現在は陰陽師という、話題の最先端を行くプレイヤーだ。

あれ、でもなんで鑑定で名前が見えるんだ? フレンドじゃなきゃ名前は鑑定できないはずなんだが……。

「はい、お久しぶりです」

「ごめん、どこかで会ったか?」

さすがに俺だって、テイマーや陰陽師だったら覚えているはずだ。だが、俺は浜風に全く見覚えがなかった。

「あ、私最近髪の色を変えたんです。前は黒髪だったから。それにお花見の時にごあいさつしただけなので、覚えてなくても仕方ないかもしれません」

なるほど。だったら仕方ないかもしれない。というか、あそこにいたのか。

「噂はかねがね」

「え? 本当ですか? えへへ」

照れたように頭をかく浜風に、この場所のことを聞いてみると、やはりダンジョンの入り口であるらしい。浜風が知人たちとともに発見したそうだ。

「同じプレイスタイルを模索している人たちに声をかけて、人海戦術で探したんです。うう、もうちょっと早くここに来てれば私が第一発見者になれたのに……」

発見したプレイヤーがすでに早耳猫に情報を売りに行ったらしいので、他のプレイヤーも次第に集まってくるだろう。多分、俺とは入れ違いになったんだろうな。

「白銀さんも、もしかして情報を買ってきたんですか? うふふ、これは飲まず食わずで探し続けた甲斐があったかも……」

「あー、俺はそこまで頻繁に掲示板を見ないから。南のダンジョンを探してる時に、偶然ここに人がいるのを見て、立ち寄っただけだ」

「あ、そうですか……」

俺が偶然だと告げると、ちょっと悔しそうだ。情報があまり広がってないのが残念なのだろうか?

「結構厄介なモンスターが出るらしいんで、気を付けてください」

「ありがとう。あれ、浜風はもう帰るのか?」

「実は早耳猫のサブマスから呼び出されてまして。仕事の手伝いをしてほしいそうなんです。うふふ」

口振りは面倒だという感じのトーンなんだが、顔は何故かにやけている。

「あの早耳猫も、私のことは無視できなくなってきたってことですよね!」

どうやら有名クランから名指しで協力を頼まれたことが嬉しいらしい。だが、その気持ちは分からなくもないぞ。自分もちょっとだけトッププレイヤーの仲間入りをした気になれるのだろう。

「まあ、浜風は最近話題だし、早耳猫に限らず、注目してる人は多いんじゃないか?」

「えへへへ~。そうですかね~?」

「ああ、凄い発見もしてるし、これからも頑張ってくれ」

「勿論です! いつか白銀さんを超えて見せますから!」

陰陽師というレア職業なうえに、情報を独占せずに自ら掲示板にアップする浜風はすでに俺なんか超えているだろう。それでも浜風みたいな有名プレイヤーによいしょされるのは悪い気はしないので、礼を言っておく。

「いやー、そう言ってもらえると俺もやる気が出るよ。お互いに頑張ろうな」

「はい!」

それにしても、アリッサさんはさっそくスネコスリの好感度の検証を始めたらしかった。ぜひ色々と判明すると嬉しいな。

「よし、じゃあ俺たちはダンジョンに挑戦するか!」

「ムム!」

ステータスはもう9割以上まで回復して来たから、慎重に行けば問題ないだろう。それよりも、時間が重要だ。

色々なプレイヤーが集まってきたら、ダンジョンに入るのにまた並ばなくてはいけなくなるだろう。

「パーティメンバーは……この面子でいけるな」

オルト、リック、サクラ、クママ、ヒムカ、ドリモである。ファウは目立つし、ここのところずっと連れていたので今回はお留守番だ。ルフレも死に戻ったばかりなので、少し休ませてあげた方がいいかと判断した。

そのままダンジョンへ突入すると、そこは浜風に言われた通り、非常に不気味な場所であった。地下水道、地下通路、地下洞窟ときて、地下墳墓である。

「結構広いぞ」

「ムム」

他の地下ダンジョンと比べて、フロアが広い。

昔は綺麗に石畳が敷き詰められていたのだろうが、長い年月のせいで石畳が所々剥げ、また墓石や地面を苔や蔦が覆い隠すことで独特の雰囲気がある。

明かりは問題ない。壁には小さな凹みが並んでおり、そこに火の灯った蝋燭がならんでいるからだ。

「これは、どうせアンデッドが出るんだろうな」

「ム?」

「ゾンビよ、出ないでくれ!」

地下墳墓でゾンビとか、絶対に気持ち悪いだろ。だが、俺の願いが通じたのか、このダンジョンにゾンビは出現しなかった。

「カタカタカタ!」

「ゴー」

「スケルトンか! あとは、コールゴーレム?」

スケルトンとコールゴーレムだ。よかった。いや、良くはない。メチャクチャ物理攻撃が強いのだ。特にコールゴーレム。

2メートルを超えるゴリラ体型のゴーレムなんだが、その体が黒い石で作られている。そして、その腕は赤く熱せられていた。石炭で作られたゴーレムであるらしい。

単純な打撃力も高い上に、熱ダメージまであるのだ。奴の攻撃を食らったら、一発でアウトだろう。

しかもスケルトンは水魔術、樹魔術が効きづらい。弱点属性の火魔召喚を使えるファウを連れてくるべきだったかもしれん。

あとルフレの回復がないのもつらい。コールゴーレムの攻撃は、オルトでさえかなりのダメージを食らっている。

まあ、それでも何とか戦えているけどね。水魔術が弱点なうえ、ツルハシがゴーレムに対して攻撃力上昇効果があるらしく、コールゴーレムを素早く倒せるのが理由だろう。

ただ、30分程中の探索を進めた後、俺は一度戻ることにした。一度アメリアに連絡を取るためだ。何気なくフレンドリストを見たら、ログインしているのを発見したのである。