軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

192話 グッズ展開?

やばい、調子に乗ってまた飲み過ぎた……。治りかけてた酩酊がまたギリギリに。ちょっとフワフワして来た。

「しっろがーねさーん! こっちこっち!」

「ほらほら! 来て来て!」

「クマー」

俺を呼んでいるのは、あまり統一性のないテーブルだった。アシハナ、マルカなど、様々な職種の男女が談笑している。

いや、1つ特徴があった。クマだ。円形のテーブルにはプレイヤーではなく、クマたちが座らされていたのだ。

クママやリトルベアたちが椅子に座らされて、おやつをもらったり、ジュースをもらったりしている。誰だクマ全部の前掛けなんか用意した奴は。可愛すぎるだろ! とっさにスクショをパシャリとやってしまった。これは破壊力抜群すぎるな。

「はーい、あーんして~」

「ハチミツですよ~」

クママやリトルベアたちが手と口回りをベタベタにしてハチミツを食べているが、それがまた可愛いらしい。テーブルを囲むクママニアたちが全員デレデレだった。

マルカとアシハナは仲良くクママにハチミツを食べさせている。どうやら同好の士として仲良くなったらしい。さっきの騒ぎは一体何だったんだ。

「あ、そうだ! ユートさんにいい物あげる!」

そんな言葉を上げたのはアシハナだった。

「いいもの?」

「うん!」

アシハナがインベントリから何かを取り出す。そして、それを見た周囲からはため息交じりの歓声が上がるのだった。

「ほわー、凄い!」

「ええ? なにこれ!」

「ほ、欲しい……」

それはなんと、うちの子達をモデルにした木製のフィギュアだったのだ。大きさは20センチくらいだろう。色は塗られていないため、パッと見ではモデルになったのがユニークか通常個体か分からない。だが俺には、一目見ただけでうちの子たちだと理解できた。

例えばオルト。ノームは個体ごとに微妙に顔つきが違うが、見事にオルトの顔を彫り上げていたのだ。正直、灰色リスの場合は個々の差があまり分からないので、リックなのかどうかはわからないが……。ただ、そのポーズはよくある敬礼ポーズだったので、「ああリックだな」と見た瞬間に思った。

クママやルフレ、サクラ、ファウは他のテイム個体を見たことが無いので、正直言って差があるかどうかは分からない。だが、ルフレはその笑顔を忠実に再現できていると思う。サクラは相変わらず美少女だね。ファウは切株に腰かけてリュートをかき鳴らす、スナフキンポーズだ。オレアがいないのは、単純にアシハナが見たことが無いからだろう。クママだけ3体あるのはアシハナだから仕方ない。

「これは凄いな!」

「でしょう?」

「本当にもらっちゃっていいのか?」

「うん。その代わりお願いがあるんだ」

アシハナ曰く、最初は趣味で彫っていたのだが、知人などに自分も欲しいと頼まれまくって困っているのだという。

「で、これを販売する許可をもらえないかと思って」

「ははぁ、なるほど」

俺は目の前に並べられた従魔たちのフィギュアを見る。アシハナの腕の良さが存分に発揮された、素晴らしい出来だ。まあ、これは確かに売れるかもしれない。例えばうちの子たちじゃなくても、格好いいモンスターのフィギュアなんかがあれば俺だって欲しくなるだろう。というか、絶対欲しいというはずだ。

「でも、別にうちの子たちじゃなくてもいいんじゃないか?」

「それが、名指しでリクエストが来ちゃってるのよね。オルトちゃんのが欲しいとか、サクラちゃんのが欲しいとか。やっぱユートさんのモンスちゃん達はファンが多いしね」

うーむ、遂にフィギュア化か。まるでアイドルみたいだな。最近は方々でちやほやされるので、うちの子たちが俺の想像よりも人気があるみたいだとは分かってたんだが……。まさか名指しでフィギュアが欲しいと言われるほどとは思わなかった。

「白銀さんの従魔シリーズってタイトルで、限定で売り出そうと思ってんの。どう?」

「え? そんな名前なの?」

「絶対にバカ売れ間違いなしだよ!」

でも、これってどうなんだ? 別に許可しても構わない気もするが……。変な迷惑をかけられたりはしないよな? 酩酊のせいで、微妙に思考が働かない。

「絶対買う!」

「私達からもお願いします!」

「クママちゃんヒギア、ぜひ!」

「ちゃんとモデル料も支払うから! 売り上げの20%! 全国のモンスちゃんファンのためにも!」

「全国て……。まあ、別にいいけど、あまり変な奴には売らないでくれよ?」

「まかせて! ちゃんと愛情のある人にしか売らないから!」

それはそれで怖い気もするけど、ファン相手だったらいいか。出来は最高だし、欲しいって言ってくれてるファンがいるっていうのは素直に嬉しいしね。

「それで、もしよかったら参考になるようなスクショとかないかな~なんて?」

「参考になるスクショ? うちの子たちのか?」

「そうそう! 私が持ってるのって、前に会った時に撮ったやつと、イベント画像で運営が公開した公式動画しかないんだもん」

そう言えば公式動画なんて言う物があったな。何故かうちの子たちが敬礼して戦闘班を見送るところが数秒間だけだけど使われてたんだ。もちろん、永久保存してあるぞ。

そう考えると、フィギュアなんて今さらかもしれなかった。すでに全プレイヤーに動画が公開されてるわけだし。

それにしても、フィギュアの参考になるスクショか。幾つかあるけど、どれがいいかね?

「うーん……。あ、そうだ! だったら凄い可愛いスクショがあるんだ。是非見てくれよ」

「え? どんなの?」

「えーっとだな――いや、待てよ。スクショよりも、直接見てもらった方がより可愛さが伝わるか? おーい、リック、ファウ! ちょっとこっちこーい!」

「キュ?」

「ヤー?」

俺が皆に見せたかったのは、リックとファウの合体技である。あれは可愛かった。きっとアシハナたちも気に入ってくれるはずだ。

「リスライダー! 今こそ合体だ!」

「キキュ!」

「ヤー!」

これだけで伝わったらしい。リック達が仲良く並んでビシッと敬礼をした後に、ファウがひらりとリックの背に飛び乗る。

リックは四肢を踏ん張り、尻尾をピーンと立てた雄々しいポーズだ。ファウはまるでジョッキーのように前傾姿勢で腰を上げ、リックの首に巻かれたバンダナを掴む。内股ぎみの状態で膝をリックの背に軽く乗せつつ、足でリックの体を挟んで体を支えているようだ。

しかも、そのままの状態でピクリとも動かなかった。ちゃんとポージングをしてくれているらしい。

アシハナたちの黄色い悲鳴が凄いな。だが、今の俺には気にならない。何故ならスクショを撮りまくることに集中していたから。うんうん、子供の写真を撮りまくるカメラパパの気持ちがちょっと分かったかもしれない。

「ユートさん! いい! いいわ! 最高!」

「だろう?」

アシハナも鼻息を荒くして、バシャバシャスクショを撮っている。分かってもらえてうれしいよ。

「このフィギュア、出来たらまず俺に売ってくれ」

「ううん。お金はいらないよ! 最高のモチーフ与えてくれて、感謝してるからね!」

これは、今後も良いスクショが撮れたらぜひアシハナのところに持って行こう。というか、いきなり撮影会になっちゃったな。気づいたら他の卓からも人が押しかけて来ている。

「いい、いいよ~。そのままそのまま~」

「こっち向いて~」

「す、すごくいい……!」

「キュ!」

「ヤー!」

「クママちゃん。手、どけちゃおうか?」

「ああ、クママちゃんとリトルベアのハグ! すっごくいいわ~」

「クマ~!」

これ、落ち着くまで時間かかりそうだな。