軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

190話 テイマーズ&ファーマーズ

宴会が始まってから30分程経過した。NPCのスコップたちとの乾杯も済ませ、他のプレイヤーとの交流を深めようかと立ち上がる。

「白銀さん! こっちで飲もうよ!」

「こっちこっち!」

アメリアとウルスラが手招きをしていた。あそこはテイマーが多めのグループだな。いや、というか、ノーム好きの宴だ。

周辺にノームたちをたくさん侍らせ、お酌までさせている。どのノームも楽しげだから、構わないけどさ。誰も彼もが、まさにこの世の春って感じの良い笑顔だった。まあ、とりあえずあそこにまざろうか。

「楽しんでるか?」

「もう最高!」

「ノームちゃん達を見てるだけで、永久に酒が飲み続けられるわ!」

「それに、やっぱオルトちゃん可愛いよね~」

「そうそう。気品があるって言うの?」

「ム?」

うーん。オルトが人気だ。ユニーク個体で外見も違うし、やはり目立つらしい。それと、この辺にいるテイマーたちは、全員がオルトを見てノームのファンになったらしく、オルトのファンばかりであるようだった。

うちのオルトは可愛いから仕方ないけど。オルトはサービス精神を発揮して、他ノームと一緒にお酒を注いで回っている。各所で頭を撫でてもらえるのが嬉しいらしい。撫でる方も、撫でられる方も喜んでいるし、ここはとりあえず好きにさせておこう。

「白銀さん、乾杯しようぜ!」

「ささ、一杯どうぞ」

ノームハーレムの隣では、男性テイマーを中心に情報交換の場となっている。ルフレとサクラは、最初に皆にお酌をした後は他の卓に行ってしまったらしい。オイレンが盛大に嘆いている。

「樹精ちゃーん! 水精ちゃーん! カムバーック!」

まあ、こいつは放っておこう。それよりも情報収集だ。テイマー仲間から直に話を聞ける貴重なチャンスは逃せない。

そんな中で最も俺の興味を引いた話は、従魔の心に関する話だった。なんとリスから従魔の心をもらうためには、光胡桃をあげなくてはいけないらしい。好物をどれだけ食べさせても、光胡桃を食べさせない限りは従魔の心がもらえないというのだ。

「どうやら大好物みたいなものが設定されていて、好感度を上げる他に大好物を食べさせないとダメなんじゃないかっていうのが、最近は主流な考えになってますね」

「それがリスだけなのか、他のモンスにも適用されるのかは分からないけどね」

なるほどね~。これは良い話を聞いた。俺だけだったら勿体なさすぎて絶対に食べさせなかっただろう。

イワンに説明してもらいながら、俺はインベントリを確認した。光胡桃がいくつか入っている。うちの畑で収穫できたものだ。

「よし。リック! ちょっとこっち来い!」

「キュ?」

「よしよし、こいつをやるぞ」

「キュキュキュ!」

おお、さすが大好物。リックの反応が凄いぞ。尻尾をピーンと立てて、キラキラした目で俺の手の中にある光胡桃を見つめていた。左右にスッスッと動かしてみると、それに合わせてリックの視線も動く。釘付けだな。焼き豆も好物なんだろうが、こっちの食いつきはそれ以上に見えた。

「ほい。食べていいぞ」

「キュッキュキュー!」

カリカリカリカリ――。

リックが貪るように光胡桃を食べていく。そして一度も止まることなく、光胡桃をその胃に収めるのであった。

「キュー!」

「おお! これは!」

その直後、リックが一瞬光り輝く。そして光が収まると、その口に宝石の様な綺麗な石を咥えていた。従魔の心・リックだ。周囲のテイマーたちも俺が従魔の心をゲットするのを見て、騒めいている。

「従魔の心を生み出す瞬間の珍しい動画が撮れたぞ!」

「まじで光胡桃がトリガーだったのか」

「お、俺も帰ったらさっそく食べさせよう!」

「くっ。俺は森で胡桃採取からだ」

「もうだいぶ強くなったし、夜の森での採取も簡単だろ?」

「……ゴーストが出るだろうが!」

「ああ、ホラーが苦手なのか」

リックが俺の肩に乗って、頭を頬にこすりつけて来る。

「キキュ~」

「よしよし」

いやー、リックの従魔の心を手に入れただけでも、花見に皆を呼んだ甲斐があったな。

「よし、次はどこの話に加わろうかな」

「キュ!」

「うん? あそこか?」

「キュ~」

リックが俺の呟きに応えるように、ある一角を指し示している。まるであそこの話に加わるがよいと、導いてくれているかのようだ。だが、俺には見えるぞ。あそこのゴザに焼き豆があるのが。光胡桃を食べたのに、まだまだ食べ足りないようだな。

「とりあえずあそこに行ってみるか」

「キュ!」

そこはファーマーたちの集まるゴザだった。タゴサックを筆頭に酒飲みが多いのか、料理もつまみ系が多いようだ。

「ユートがきたぞ!」

「はい、駆けつけ一杯」

「いっき! いっき!」

完全にのん兵衛どもの宴と化しているな。半数以上の奴らが酩酊状態になりかけている。ここは長居し過ぎると完璧に酔わされるだろう。

だが、その考えは脆くも崩れ去る。

「だからあの野菜は――」

「なるほど――」

「え? その組み合わせで――」

あまりにも話が面白すぎた。そもそも、全員がファーマーなのだ。情報の交換をするだけでも延々と話が続いてしまう。その間に酒を飲まされ、その酒の原材料になる作物の話でさらに話が進むわけだ。

「うう、やばい……」

ファーマーのゴザを脱出した時、俺は酩酊状態になりかけていた。少しフラフラする。だが、収穫はあったぞ。

新しい品種改良の組み合わせを教えてもらっただけではなく、いくつか作物の種まで分けてもらってしまったのだ。まあ、俺も色々教えたけどね。

「ふふふ、これでまた畑に新たな可能性が……」

さて、次はどこにまざろう。