軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

170話 久々のアメリア

本日2回目の土霊の試練だ。俺たちは慎重にダンジョンを進んでいった。序盤の採掘ポイントの場所は分かっているので、探索に時間はかからない。

それに杖がかなり強いのだ。水魔術の威力が段違いに強い。アクアヒールの回復量も増え、かなり攻略が楽になっていた。この俺が戦闘で1番活躍するとか、今までなかったのだ! ルインには本当に感謝だな。ただ、調子に乗るとマナポーションがすぐ必要になる。これは増産する必要があるだろう。

ただ、今回はちょっと運が無かった。いや、死に戻りが出たわけじゃないんだけど、狂った土霊のユニーク個体は出現しないし、1部屋のモンスター数が多かった。しかもレアドロップがほとんど出ない。いや、土結晶が出ないといった方が良いか。

当然なんだけどね? むしろ今までがツキ過ぎていたんだろう。そう考えたら、これくらいが普通なのかもしれない。だが、一度覚えた幸運の味は中々忘れることができないのだ。

「うーん、結果はあまり芳しくないけど、そろそろ外に出るか……」

とぼとぼとした足取りで土霊の試練の入り口に戻っていると、不意にフレンドコールがかかって来た。

「お? アメリアか」

イベントで一緒のサーバーだったテイマー、アメリアだ。そう言えばフレンドコードを交換していたな。ちょっと引くくらいノーム大好きテイマーである。

そう考えると、ちょっと出るのが躊躇われるな。だって、アメリアがノーム好きなのを知っておきながら、その情報を教えずにアリッサさんに売っちゃったわけだしね。こうなってはもう、俺が勝手にアメリアに情報を教えるわけにはいかないのだ。

俺はちょっとドキドキしながらフレンドコールに出る。

「もしもし?」

『あ、白銀さん? おひさ~』

「久しぶりだな。どうしたんだ?」

『実は土結晶を探しててさ~。知ってる人にフレコかけまくろうと思ってんの。白銀さんが1人目なんだ』

「え? なんで?」

『だって、私の知り合いで一番土結晶を持っていそうなんだもん』

どういうイメージだ? いや、俺がイベントポイントを大量にゲットしていたことはアメリアは知っているんだろうし、その時に結晶に交換して、それを未だに持っているって言う可能性は考えられるか。

「でも、急にどうしたんだ?」

いくら何でもタイムリー過ぎるよな? もしかしたらもしかするのか?

『えーとね、ちょっとしたイベントに必要なのよ。もしかしたら知ってるかもしれないけど。ていうか、知ってるよね? だってウンディーネちゃん連れてたし!』

「なんで知ってる?」

『あれだけ目立ってたらね~。で、水霊門の情報と併せて考えたらすぐ気づくから!』

「はぁ。そうだよ。水と土は俺が見つけた」

『やっぱね!』

もしかして早耳猫で精霊門の情報を買ったプレイヤー全員に、俺が情報提供者だってばれちゃったか? いや、別にそっちは構わないんだけど、火霊門を見つけたパーティにもばれちゃうよな~。

あの場では、モンスを連れていない俺に気づかなかったけど、次会った時に文句言われたりするかもしれん。まあ、今さらだよな。もう情報は広まっているわけだし。変なこと言われたらGMコールしよう。

そんな事よりも今はアメリアだな。

『それでさ、ぜひ土霊門に入りたいの! そして、そしてノームちゃんを! ノームちゃんをこの手に! うきゃー!』

「うお!」

突然、大きな叫び声が聞こえた。うーむ、テンションが上がり過ぎててヤバいねアメリア。まあ、ノーム好きのアメリアが土霊門の情報を手に入れたらこうなるよな。

さて、土結晶は持っているが、どうしようか? 別に譲ってもいいかね? 特に使う当てもない。そもそも、土結晶を隠し持っていたことが後でばれたら恐ろしすぎる。世の中、女性陣を敵に回す以上の恐怖はないのだ。

お局様に「お茶汲み係!」と怒鳴った課長が数か月後に――ひぃぃぃ! 思い出しただけでも寒気がする! ああはなりたくない!

「う、うん。土結晶あるよ?」

『ほんと? やった!』

まだ売るとは言ってないけど。

『それ、売ってくれるのよね? ね?』

え? 心読まれている? いや、売りますとも。

「あ、ああ」

『ありがと! あ、それって品質は?』

「★4だが?」

『きゃー! やっぱ白銀さん最高! 愛してはいないけど大好き!』

いきなり告白されました。テンション高いね~。所詮は勢いから出た言葉ではあるが、嫌われるよりは断然いいか。

『いくら出せばいい?』

「今の相場が分かっていないんだが……」

『えっとね、今のところ品質★×2万Gってとこかな? ただ、情報が広まればもっと値段は上がると思う』

「なるほど」

『だから我々は品質★×3万G出すであります! なので、12万でどうでありましょうか?』

急に口調が変になったな。それだけ興奮しているってことなのかもしれない。

「それでいいぞ。受け渡しはどこでする?」

『今、どこにいるの?』

「土霊の街だな」

『えー? いいないいなー! ノーム天国に早く私も行きたいなー!』

「そのためにも、早めに土結晶の受け渡しをしようじゃないか」

『じゃあさ、私達今から土霊門に向かうから、その前で待ち合わせってことでどう?』

「いいぞ」

アメリアもアリッサさんから情報を買ったばかりなら北の町にいるんだろう。だったら、待ってればすぐに来てくれるはずだ。

「じゃあ、待ってるからな」

『うん。超特急で行くから!』

これはルインに土結晶を売らなくて良かったかもしれない。知り合いが土霊門に入れるならその方が俺も嬉しいのだ。どうせすぐに俺たちよりも先に進むだろうし、そうなったら情報を色々教えてもらおう。

「皆、さっさとダンジョンから出るぞ!」

「ムム!」

出るのに手間取って、アメリアを待たせるわけにはいかないからな。