軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

981.突き進むプレイヤーたち

「メイちゃん、ここで一言おねがいします」

開いた巨大な紋様の石壁。

集まってきた多くの王都地下攻略者たちから、向けられた言葉。

メイは一歩前に出ると、ペコッと頭を下げて笑みを浮かべる。

「皆さんと一緒の攻略、とっても楽しいですっ! 世界を守るため、がんばりましょうっ!」

「「「おおーっ!」」」

こうしてのんびりと休憩時間を過ごしたメイたちは、さらに王都地下遺跡の深部へと進む。

枝葉に飾られた、森の隠し通路のような空間に、次々現れる別れ道。

「それじゃ俺たちは、こっちに向かうか!」

「私たちはあっちに行きましょう!」

「本命はこのまま直進で進むルートっぽいからな……あっちは中層レベル帯の俺たちが確認に行こう」

「よろしくお願いしますっ!」

分かれていくパーティに、メイは元気に手を振って見送る。

レベル的に低いパーティも、さきほどの岩壁のように多くの仕掛けを起動することで開くような場合、必要な戦力となる。

ここで正道らしきルート以外にも向かってくれるのは、ありがたい。

参加パーティが少なければもっと時間のかかるであろう地下遺跡に、仕掛ける攻略。

この早さは、これまでたくさんの奇跡を見せてきたメイたちだからこそだろう。

「……何か、たくさんの動く音が聞こえてくるよ」

「地面も少し揺れているわ」

「て、敵の機械たちが動き出してるのかもしれませんね」

地響きのような音が鳴り始めて、辺りを見回すメイたち。

何かが、動き出した気配だ。

「来たな……!」

そう言って、笑って見せたのはアンジェラ。

槍を持ったガーゴイル型の機械兵たちは、その翼を羽ばたかせて低空飛行。

こちらに向けて迫ってくる。

紋章入りの重めの鎧をまとった姿は、かなりの強化が見て取れる。

「【チャージ】」

スキルを発動しながら、刀を構えるアンジェラ。

程よい距離に、ガーゴイル型が飛び込んできたところで――。

「【明王斬月】!」

溜めからの一撃は大きな弧の斬撃を生み出し、前方三体を切り飛ばす。

「ぶっ飛ばしちゃうぞー! 【ギガ・インパクト】!」

その直後を駆けたココが、突き出す右の手甲。

生まれた爆発で、さらにもう一体打倒。

「いきます【狐走】……【返し飛燕】」

続くのは、ガーゴイルの背後への超高速移動。

目にも止まらぬ移動から、振り向き回転で斬り払いを放つ。

閃く白刃のエフェクトが、一撃でガーゴイルの背を切り裂いた。

そしてアンジェラが、ココが、すみれが振り返る。

「【バンビステップ】!」

メイはそのまま直進して、最後の一体へ。

ガーゴイルは槍を突き出すが、メイはこれを前方宙返り一つで回避して、そのまま頭部に剣を振り下ろす。

「【フルスイング】!」

一撃で倒れる、最後の個体。

「さすがにやるねー」

「メイちゃんすっごーい!」

「変わらずお見事です」

「いえいえーっ、ありがとうございますっ」

集まってくるトップ勢と、自然なハイタッチ。

「すげえ……!」

「これはなかなか見られない連携だな……っ!」

トップとメイのコンビネーションを目前にした追従組は、思わず歓喜と感嘆の声をあげる。

「さて、ここはどっちだ?」

先行するアンジェラが、三叉路の前で立ち止まる。

すると再び現れた別れ道の右側から、数人のプレイヤーが現れた。

「おーい! こっちのルートは戻ることになるみたいだぞ!」

「こっちも同じだ!」

先んじて分かれ道を進んだプレイヤーがやって来たルートは、進めば戻ってしまう形になる。

迷路のような地下遺跡だが、やはり多くのプレイヤーがいることで、情報の拡散も早くなっている。

こうして不正解ルートも、次々にあぶり出されていく。

「……レンちゃん。たくさんの四足型と大型機械の足音が、こっちに集まってきてるよ」

「各所の機械兵たちが、こっちに集まってきてるんじゃないかしら。さっきの岩壁を開いたら動く出すのよきっと」

レンの予想は正解だ。

大壁を越えると、警備に回っている敵兵たちがこの道に集まり出す。

そして進行は、一気に難しくなる。

「よし、各自自分にレベルに見合った敵を叩くんだ!」

「そのシステムは『壁の先全体』だろう、初級者組の動きも大事になってくるぞ!」

聞こえてくる声と、各所で始まる戦い。

「メイちゃんと世界を救おう」という感覚で集まったプレイヤーは、地下を突き進んでいく。

「色んなところで、戦いが始まってるみたい」

「皆さんが、敵の集合を止めてくれている形なのですね」

「本当に、皆で王都地下を降りていっている感じがするわね」

「な、なんだか、ワクワクします……っ」

思わず表情がほころぶまもり。

やがてたどり着いたのは、大きな別れ道だった。

「メイちゃんたちはどうするのぉん?」

「このまま真っ直ぐかな?」

「いいと思うわ」

「そうしましょう」

「は、はひっ」

「了解、こっちは七新星で攻めるよ」

「そんなら私たちは、こっちにしとこうか」

そう言って七新星と姉妹は、左右の大きな道を選んだ。

「それじゃ、お互いの健闘を願って」

「まったねー!」

「いくぞ、すみれ」

「はい。皆さん、また後程」

「俺たちも、回り込むルートに進もう」

「了解ぽよっ!」

「使徒長、お達者で」

「皆さん、それでは!」

「うんっ!」

手を振るトップ勢と掲示板組に、元気に応えるメイ。

参加者たちは、笑い合いながら道を違える。

こうして王都地下攻略の、後半戦がスタートした。