軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

952.戦いを終えて

「京の戦いも、派手になったわねぇ」

「本当だねっ。あんなに大きな魔物と戦うなんて思わなかったよー!」

「まさしく、神話のような戦いでした」

「はひっ、まだあのまぶしい炎の感じが目に残ってます……!」

京の戦いを終えた四人は、まもりの部屋に帰還。

各々が伸びをする。

「ん、んんーっ」

「メイ、猫っぽくなってるわよ」

「うわっと! てへへ」

伸びの仕方が猫のようになっていたさつきは、慌てて修正。

「さすがに大ボス相手だと、時間も遅くなっちゃうわね」

「ふわわ、本当だねぇ」

「そろそろ休みましょうか」

「はひっ」

見事な戦闘で京のクエストを乗り越えた四人は、充足感を覚えたまま就寝の準備を始める。

「えっ、なにやってんのそれ?」

そして歯磨き中。

まもり姉の言葉に、あらためて確認。

「これは……いつもの布陣ね」

「あはははは! なによそれーっ!」

ちゃんと戦闘時の前衛後衛の並びで歯磨きをしていたさつきたちの姿に、笑うまもり姉と母。

これには四人も、さすがに笑ってしまう。

こうして2日目の合宿も、楽しく終わりを迎えることになった。

迎えた明け方。

一人起き出したまもりは、庭に出た。

まもり父が手を入れている庭は緑だけでなく花も多く、その光景は美しい。

差し込む陽光の中、飛び石で作られた道を進むと、ふと二階を見上げる。

自分の部屋には、さつきたちが眠っているはずだ。

「……終わっちゃった」

始めは一緒に自宅で合宿をするなんて、絶対に悲しい結末になると思っていた。

自分が面白くない子だと知られてしまい、今から「やっぱり組めないかな……」と言われる可能性があるというのが、ネガティブまもりの考えだった。

しかし、そんなことはなかった。

いつどのタイミングを思い出しても、間違いなく楽しい時間になった。

「こんな風に、終わっちゃうことが寂しく感じる日が来るなんて、思いもしなかったな……」

これまでは「そろそろ終わろうかな」でログアウト。

ついつい長く遊んでしまうということはなく、淡々と終了を迎えていた。

一緒に遊んだ後に感じる、別れがたさ。

こんな感情を覚えたのは初めてだ。

あらためて、自分の部屋を見上げる。

そこには元気さと真っ直ぐさ、そして可愛さとダイナミックなアクションに見せられた『メイ』

あのメイが、そこにいる。

そして今や『星屑』で大人気の、パーティメンバーも一緒だ。

追いかけていた自分が、そのパーティの一員になっている。

それはとても、不思議な感覚だ。

「あの部屋にメイさんたちが――」

「まもりちゃん」

「ふええええ――っ!?」

いなかった。

さつきは起き出したまもりの動きに気づき、窓の外へ視線を向けた。

ちょうどそのタイミングで庭に出てきたまもりを見つけて、後をついてきたようだ。

「楽しい合宿だったね!」

「は、はひっ」

まだちょっとドキドキしながら応えるまもり。

さつきはいつもと変わらぬ笑顔で、ぴょんぴょん跳ねてまもりの隣へ。

「まもりちゃんともコンビネーションができるようになってきて、もっと楽しくなったよー! 八岐大蛇の戦でもいっぱい助けてもらったし、やっぱりわたしたちにはまもりちゃんが必要だねっ」

さつきが笑いながらそう言うと、まもりはつぶやくように言う。

「いつかどなたかとパーティを組む時があったらと思って、生き残るためにクエストを受け続けていましたが……まさかいつかが、こんな形で訪れるとは思わなかったです」

最初は恐れ多くて、いつクビになってもおかしくないと思っていたまもり。

「メイさんたちとご一緒できて……と、とっても楽しいです!」

そう言って笑うまもりに、さつきは「うんっ」と大きくうなずく。

「たくさん良いスキルを見つけられましたし、見たこともないダンジョンや遺跡にもたどり着きましたが、何よりメイさんたちと一緒にいられることが…………最高の宝物になりました」

「私もそうよ」

「私もです」

そんな二人のもとにやって来たのは、可憐とつばめ。

どうやらさつきが部屋を出た際に、二人も続けて目を覚ましていたようだ。

「メイに会わなければ今頃、ただ中二病からの脱却を計ってるだけの毎日だったのに……今は毎日楽しいもの」

「私もまだ、一人の狩りを続けていたのだと思います」

「まもりが入って防御も厚くなったし、反撃や連携も増えて、飲食システムの恩恵まで受けられるようになった。さらに楽しくなったわね。今もこうして毎日ワクワクしながら『星屑』を続けられているのは、まもりのおかげでもあるのよ」

「次は私が、まもりさんを助ける番です」

楽しそうにうなずく可憐と、両拳を握って気合を入れるつばめ。

「レンさん、ツバメさん……」

陽光が広がり、朝露が輝き出す。

鳥たちが鳴き始めれば、一日の始まりだ。

「今日は何をしよっか!」

「もう少し、京を歩いてみるのもありですね」

「半壊の町は原状復帰までの期間限定だし、あれこれ見て回りたいわね」

さっそく四人は歩き出す。

「ハッ! この感じ、今日の朝ご飯は焼いた鮭かも……!」

「メイ、野生が出てるわよ」

「うわはーっ! 今のは忘れてくださーい!」

背中を押すさつきたちにつられるように、笑うまもり。

「…………新しく迎える朝が、こんなに楽しみになるとは思いませんでした」

それはこの場に来かけていた、もう一人の人物。

四人を見つけたまもり姉が、思わず声をかけるのをやめて見つめてしまうほどに楽しそうだった。