軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

833.攻略組を崩壊させたもの

ブレスレットを池に落として困っていた少女によって、部族の攻撃が止まる。

「――――!」

言葉の意味は分からないが、メイたちとの間に立ち塞がっているのを見ると、味方をしてくれているようだ。

こうなってしまっては攻撃ができず、反応に困る部族たち。

するとそこにやって来たのは、いかにも部族の長老らしき老人だった。

「――――?」

「――――!」

二人は特殊な言語で会話を続ける。

そして少女が、手にした宝玉入りのブレスレットをみせると――。

「――――!」

長老の一言で、付近の部族たちの警戒が解かれた。

真っ直ぐにメイたちのもとにやって来る、長老らしき人物。

少女がした何かしらの説明で、状況が変わったようだ。

緊張感を持った表情こそしているが、危機は去ったと考えていいだろう。しかし。

「――――!!」

長老がメイたちに何かを言おうとしたところで、武器を持った部族が全速力でこの場に駆け込んできた。

そしてものすごい剣幕で、何かを通達する。

すると長老らしき人物は、一転して踵を返した。

この場にいた部族たちも、その後に続いて駆けていく。

「どうしたのかな?」

「な、なんか私たちの侵入より大変な事でも起きたんでしょうか?」

続けて「ご、ご飯の時間とか」とつぶやいたまもりに、灰猫が噴き出す。

メイたちはまるで、置いて行かれたかのような状態になってしまった。

「……何か、騒がしい音が聞こえる」

そう言ってメイは、先を行く長老たちの後を追う。

「「「「ッ!?」」」」

レンたちもその後について行くと、突然密林の木々が高々と上空へ舞い上がった。

同時に大きく上がる土煙。

その中には、巻き込まれた部族たちの姿もある。

「なに、あれ……」

思わずレンが、驚きの声を上げた。

竜のように巨大なその魔物は、頭部に大きく長い角を二本。

身体を覆う鱗は、岩のようにごつごつしている。

長い腕に生えた翼は飛行のためのものではなく、退化して残ったもののように見える。

そして長い尾の先端には、黄色い結晶の混じった岩のようなものがついている。

見れば角にも、結晶がマーブル模様を描いている。

その迫力は圧倒的。

だがこれまでと明らかに違うのは、そのタイプだ。

「……恐竜!?」

「すごーい!」

もちろんその魔物の姿を見るのは始めてだが、ドラゴンですらレベルの高いクエストでは幾度と見かける存在だ。

それどころか悪魔とも戦ったことがあるメイたちだが、『恐竜』に属するような敵は完全に初見。

もちろん、どこの情報サイトにも出てこない。

戦闘を得意とする部族たちは、そんな恐竜型の魔物と戦闘を開始する。

「――――!」

短い助走から放たれた槍はその紋様に光を走らせ、風の加護でも受けているかのように猛進して直撃。

しかし、まるで鎧のように固い外皮に弾かれた。

そしてすぐに、攻勢へ転じる。

発達した後ろ足で駆ければ砂煙があがり、その凄まじい勢いに部族たちが次々と弾き飛ばされていく。

さらにその長い角を大きく振り上げれば、付近の木が斬り飛ばされる。

「ぶ、部族の皆さんがあんなに苦戦するなんて……っ」

その光景に、まもりも思わず盾を強くつかむ。

あれだけの巨体が高速で突撃してくるというだけでもすでに強敵だが、部族を蹴散らしている姿を見れば、それが本物であることが分かる。

「…………」

「どうしたの、アーリー?」

暴れまくる巨大な恐竜型モンスターと、大苦戦の部族。

その姿を見て息を飲むアーリーに、レンが問う。

「思ってた以上に、早い再会になっちゃったねー」

応えたのはバニーだ。

「知っているのですか?」

「ヤツの名は、テラ・レックスだ」

ため息を吐くバニーと、その凛々しい目をさらに険しくする夜琉。

「……あれが、攻略組を壊滅させた元凶だよ」

その恐ろしい姿に、アーリィたちは緊張をのぞかせる。

22人の攻略組から9人を討ち、13人を行方不明にした戦闘の相手。

「「「――――――!!」」」

部族の後衛組が一斉に杖を掲げ、放たれる無数の魔法弾。

百を優に超える魔力弾が、同時にテラ・レックスに襲い掛かる。

すると強靭な後ろ足で起き上がり、翼を開いた。

見上げるほどの体躯から生まれる、凄まじい迫力。

「ギャオオオオオオオオ――――ッ!!」

「「「「ッ!!」」」」

強烈な【咆哮】は、衝撃波となって魔力弾の全てを霧散。

木々を揺らし、付近の部族たちをまとめて転倒させた。

「間違いなく、部族の危機の演出ね」

レンがそう言うと、すでにメイは剣を持ちテラ・レックスに視線を向けていた。

「いきましょうか。あれを片付ければきっと何かが変わってくるわ!」

「りょうかいですっ! 部族の皆さんは私たちで守りますっ!」

そんなメイの言葉に、大きくうなずくアーリィたち。

「私たちも、いきましょう」

「バニーちゃんも、全力でいっちゃうぞー!」

「今度は負けぬ」

「リベンジ戦、覚悟するにゃん」

こうして攻略組を崩壊に追い込んだ、恐竜型モンスターとの戦いが始まった。