軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

832.正解

たどり着いたのは、エルラト禁域の遺跡が並ぶ区域。

そこは部族の居住地の内部に当たり、外に向けられている監視の目を潜ってたどり着いた形だ。

「ラプラタの規模からみると結構こじんまりとしてるけど、何かあるのかしら」

何か大きなクエストなどが潜んでいるにしては、小さくまとまった遺跡の雰囲気。

並ぶ石柱と石畳は、どこか古代ギリシャなどの建造物をシンプルにした感じにも見える。

「ラプラタとは紋様が少し違うみたいね。エルラトはナスカの地上絵みたいな柄になってる」

「本当だねぇ」

メイが楽しそうに足をぴょんぴょんさせる。

雰囲気はラプラタと少し違うが、使っている素材は同じ。

石材のようだが金属のようでもある素材は、雨風だけでは劣化しにくいようだ。

紋様の溝もまだはっきりしている。

「世界に残った遺跡は、一度世界の文明が滅びたことで生まれたみたいだよ」

柱を見ながら、アーリィがつぶやく。

「世界がまとめて滅びたってこと? 部族は?」

「その文明に住んでいた人たちの子孫みたい」

「今は当時の生活をしていないけど、遺跡は守ってるのね」

「私たちが見た本には、崩壊の原因は赤月の夜って書いてあった」

「見たことのある単語ね。赤月の夜によって迎える終焉。それが前の文明を滅ぼした元凶ってことかしら」

メイは思わず「おおーっ」と声を上げる。

ツバメとまもりも、これにはドキドキだ。

「部族の生活感に比べて装備が強力なのは、前時代の武器を使っているのだろうな」

「そういうことなのですね」

特殊効果付きの武器は、部族の原始的な姿とはミスマッチ。

その原因は、文明の崩壊に関係がありそうだ。

「遺跡は各地にあるけど、部族がいるところとそうでないものがあるのよね」

「部族は自分たちの居住より、遺跡の方を守ってる感じがあるね」

「遺跡の何を、何から守っているのかしら……」

「ここを見ていけば、何か見えてくるでしょうか」

ラプラタとは紋様の雰囲気が違うが、やはりどこか似た趣のある遺跡。

8人が付近を観察しながら歩いていると――。

「「「「ッ!?」」」」

突然、笛の音が鳴り響いた。

「――――――!」

「――――――ッ!!」

そしてすぐに謎の言葉が飛び交い、遺跡の内部に部族たちがなだれ込んでくる。

その数は、エルラトに踏み込んだ時以上だ。

「見つかっちゃった!!」

先行の部族たちはすぐさま戦闘態勢に入り、特攻してくる。

「【バンビステップ】!」

「【疾風迅雷】!」

「【因幡ステップ】!」

迫る部族の直接攻撃に対して、前衛組が対応。

紋様入りの不思議な黒剣の攻撃を、三人は見事にかわす。

「単純な近接だったら、そーそー当たらないよーっ!」

バニーはあえて大きなステップを使うことで、相手に追わせてまた距離を取るという形の回避をみせる。

一方アーリィと夜琉は、槍の部族に意識を集中。

「【爆歩】」

「【リトルウィング】!」

投擲をさせた上で、大きな移動で回避。

巻き起こる爆発からも、しっかり距離を取る。

「数がドンドン増えてくるよ!」

こうしている間にも部族の数は増え、メイたちを取り囲むような形で戦闘を進行。

後方から放たれる大型の矢は、後衛を狙ったものだ。

「【かばう】【天雲の盾】!」

これもまもりが盾で弾き、灰猫を守る。

防御体制は見事だが、やはり部族の攻撃は火力が高く、動きも機敏。

さらに範囲攻撃まで持つことを考えると、これ以上囲まれた状態のまま戦うのは厳しい。

強引に退避するか、反撃に入るかをレンとアーリィは考え始める。

攻撃すれば、完全に『敵対』状態になる可能性が高い。

しかし、さらに遅れてやって来た部族の一部隊が一斉に黒の紋様杖を掲げたところで、二人は反撃に入ることを決めうなずき合い――。

「待って! あと一つだけ確認したいですっ!」

「了解!」

「分かった!」

メイの言葉に、アーリィも即座に反応。

これまで見てきたメイの着眼点や突破力に、全員がもう少し粘ることを決めた。

すると後方に着いた杖組が、同時に杖を掲げた。

一斉に放たれた魔法弾は、次々に空中で集まり一つの大きな魔力弾となっていく。

そして全てが集結し、巨大魔法弾となったことにバニーが「ぎょっ」としたところで――。

「【裸足の女神】! 【装備変更】からの【フルスイング】!」

【魔断の棍棒】で高々としたフライを打ち上げる。

すると空中で炸裂した魔力光弾は、付近に風を巻き起こすほどの爆発を見せた。

そしてメイの目は、一人の少女の姿を確認する。

「――――!」

メイの打ち上げにアーリィたちが驚く中、この激しい攻撃に似合わない少女がこちらに駆けてくる。

「あれは……!」

その姿には、レンも見覚えがあった。

エルラトに踏み込んだ際、池で出会った『ブレスレット』を失くしていた少女だ。

その言葉の意味は分からないが、少女の必死な言葉に攻撃が止まる。

この瞬間『メイの確認』が、ここでも見事に正解を引き当てた事に全員が気づいた。

どうやらギリギリまで戦わずにいたことも、正しい選択だったようだ。

「メイーっ!」

「メイちゃん!」

さっそくバニーがメイに飛び着き、アーリィが二人をまとめて抱きしめる。

そしてそこに【爆歩】で跳び込んできた夜琉の勢いに、全員そのまま倒れ込んで笑い出す。

そんな光景を見たツバメがすぐさま脳内メモリーに記録し、まもりとうなずき合う。

一方安堵の息をつく、レンと灰猫。

するとそこに、見るからに長老らしき部族の老人がやって来た。