軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

829.見つけたきっかけ

鮮やかな水色のストールに、緑と黄色のバンダナを巻いた、11,2歳くらいの黒髪少女。

メイの【呼び寄せの号令】で見つけた部族少女は、池をのぞいてため息をついている。

「ありがとー」

「いいこだねっ」

「可愛い」

ここまで連れてきてくれた豹を撫でる、メイとバニーとアーリィ。

それを見て満足そうにうなずくツバメとまもり。

すると豹は歩き出し、少女のもとへ。

「――――」

隣りにやって来た豹とは仲がいいのか、少女は聞きなれない言葉を一言。

豹の頭を撫でる。そして。

「ッ!?」

メイたちの姿に気づいて驚愕した。

部族の驚異的な攻撃力を思い出して、レンたちも思わず身構える。

しかし一度は先手を打たれた部族相手でも、武器を手に取ることすらない姿勢は見事。

そのため少女は逃げ出すことなく、ただ困惑を続ける。

すると豹がメイのところにやって来て、そのヒザのあたりに頭を擦りつけた。

そして一鳴きすると、まるで「こっちに来い」とばかりに池の前へ。

「呼ばれてる?」

なかなか見ない展開に、興味深そうにするアーリィ。

メイは豹の隣へ。

それでも少女は逃げ出さず、成り行きを見守っている。

「この池がどうかしたの……?」

水場に強いメイは、躊躇することなく池に踏み込んで行き――。

「わあっ!」

突然水中に姿を消した。

一定の距離から急に深くなっているその池は、透明度がとても高い。

水中に潜る形になったメイの前に広がるのは、遺跡の一角か。

水に沈んだ建物の数々は、星屑各地の街で見られるものとは造りの趣向が違っている。

その光景は、とても神秘的だ。

「すごーい……!」

思わず見とれてしまうメイ。

すると入り込む陽光で、何かが水中で輝くのが見えた。

「【ドルフィンスイム】!」

メイは両足を同時に使った泳法で、一気に底を目指す。

静かな池の底に見えたのは、銀のブレスレットだった。

そのトップには、淡い緑色の宝珠が付けられている。

回収して、メイは再び水面を目指すが――。

「っ!」

そこに現れたのは、縦に長い一匹の魚類。

ピラルクを思い出させる体型と、銀色に輝く鱗。

長さ10メートル、縦2メートルを超える巨大魚がこちらに向けて猛スピードで接近してくる。

開いた口には、並ぶ鋭い牙。

メイに向けて一直線に喰らいつきにくる。

「うわはーっ!」

これをメイは、ドルフィンキック一発でグッと進んで回避。

すると大型ピラルクは大きな縦の回転で頭上を抑え、メイが水面を目指すのを妨害。さらに。

「うわわわわ!」

高速回転するスキルで渦を起こし、水中移動の速度を減衰させてくる。

メイは直進で上昇をするのを諦め、渦から距離を取る。

落とし物の回収という何気ないクエストでも、どうやら難易度は高そうだ。

しかしメイの泳ぎは自在かつ高速。

【耐久】の高さゆえに酸素ゲージも長いので、慌てる必余はなし。

追ってくる巨大魚が脚に喰らいつこうとするたびに加速し、見事に攻撃を回避していく。

そして水中に立つ石柱の前であえて動きを止め、ピラルクの接近を待つ。

しっかり引き付けたところで、一気に上方へ泳いで回避。

「よいしょっ!」

巨大魚が石柱に突撃して破損したのを確認して、全力で水面を目指す。

しかし一直線の逃避は、巨大魚戦において一番難しい攻略方法。

すぐに体勢を直し、猛スピードで追いかけてくる。

今だ水流による減速がかかる中、直線の速度はさすがに巨大魚の方が速い。

水面までは残りわずか。

その牙に捕まればダメージに加えて、水中へ引き戻されるという最悪の事態になる。

そしていよいよ巨大魚が、メイの脚を捉えようとしたその瞬間。

「それーっ!!」

ギリギリで、水面からイルカのように跳躍。

そんなメイに喰いつこうと、巨大魚も空中へ跳び上がる。

「レンちゃん!」

そこには帰りの遅いメイを見て、すでに杖を構えて待っていたレン。

「【誘導弾】【フリーズストライク】!」

メイの一言で放つ氷砲弾が、ピラルクに直撃する。

大きく弾かれた巨大魚はそのまま一度水面を跳ねて、水中へと消えていった。

この時ツバメも念のために【雷ブレード】を持ち、まもりも盾を手に状況を観察。

その早い連携の感覚に、アーリィは思わず感嘆する。

「ありがとー!」

池から戻ってきたメイは、早い援護を見せたレンたちに手を振って着地。

ブレスレットを手に、少女のもとへ。

「これを落としちゃったってことかな?」

メイがそう言って銀のブレスレットを差し出すと、部族の少女は恐る恐る手を伸ばし、受け取るや否やこの場を逃げ出していく。

そして一度振り返り、もう一度メイたちの顔を確認するようにしてから、木々の中へと消えていった。

「これで、部族の村に変化が起きるのかしら」

「もう少し池の中を見てみた方がいいかも! 遺跡が池に沈んでる感じになってるよ!」

「本当?」

「池の手前ではなく中ほどが大穴になっていて、そこに遺跡が沈んでいるのか。池の中まで入らないと気づかない仕掛けだな」

「しかも、ここを通った時間が夜だったら気づけないわね。行ってみましょうか!」

「すっごく神秘的だよ!」

メイの言葉に、バニーとツバメは急行。

その光景に思わず目を奪われる。

こうしてメイたちは、前回遠征では見つからなかった新たなルートを発見。

水中に沈んだ遺跡の一部を、探索することにしたのだった。