軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

749.まもりと2枚の盾

「【縮地】!」

二刀流の黒仮面は、高速移動から斬撃を容赦なく叩き込んでくる。

右の刀を盾で受ければ、流れるような動きで別軌道の左刃を振り上げる。

これも左の盾で受け、今度こそ反撃をと気持ち早めにスキルを発動。

「【シールドバッシュ】!」

「【後方宙返り】【空閃三連】」

高い【耐久】から生まれる衝撃波が、敵を巻き込むことを期待して放つ一撃は当たらない。

黒仮面は後方への跳躍から、空刃を三連発。

「【クイックガード】【天雲の盾】! 盾! 盾っ!」

「【波紋投擲】」

「ッ!?」

突然の変化は、足元に向けた短剣の投擲。

明らかにまもりを狙っていないことに気づき、慌てて飛び込み前転。

直後、円形の範囲に広がる衝撃は【痺れ】を誘発するものだ。

「【縮地】!」

駆け込んでくる黒仮面に対し、その距離感を的確に捉えたまもりはカウンターを狙う。

「【ローリングシールド】!」

踏み込み放つ盾の振り払いはようやく、黒仮面を弾き飛ばした。しかし。

「【代わり身】」

「ッ!?」

ツバメの【残像】を思わせるそのスキルは、敵の攻撃を木型に喰らわせるという技。

当然攻撃側には隙が生まれ、黒仮面はそこを狙ってくる。

「【一刀刺殺】」

「……まだっ」

それでもまもりはダメージを受けることに、最後まで抗う。

黒仮面はこれまでまもりにダメージを与えられていないことから、実はギリギリで完全な連携にならない高火力スキルを使用。

この時点でプレイヤーがダメージを受けることを諦めてさえしまわなければ、ごくわずかな隙間がある。

「【地壁の盾】っ!」

直撃を許さない。

大技ゆえに、大きく弾かれた黒仮面。

まもりは右手に禍々しい巨剣を取り出すと、大きな踏み込みから全力で振り上げる。

「やああああああ――――っ!!」

【魔神の大剣】は、20%の確率でクリティカル。

この剣は振る瞬間に結果が決まり、そしてクリティカルは必中になる。

「グアアアア――――ッ!」

まもりは1/5を引き当て、敏捷型の黒仮面のHPを3割ほど消し飛ばした。

「まだですっ! 【ストライクシールド】!」

転倒が取れたことで、即座に追撃に動く。

「グッ……!」

投じた盾は直撃し、黒仮面のHPが半分近くまで減少。

やっとつかんだ戦いの流れ。

まもりは投じた盾を急いで回収。

「……【暗鏡止水】」

そんな中、聞こえてきたスキルは【敏捷】を10%向上させるもの。

黒仮面が、オーラをまとうようなエフェクトを放ち出した。

「…………」

その変化にまもりは一つ息をつき、盾を構え直す。

「【縮地】」

「ッ!?」

さらに速度を上げた、黒仮面の右の短刀。

この払いを防御すると、続けざまに左の斬り上げ、右の斬り上げ、回転しつつ左の刺突、踏み込み右の刺突と怒涛の攻勢に入る。

「【クイックガード】【地壁の盾】! 盾盾! 盾、盾盾っ!!」

「【痺れ水弾】」

「ッ!! て、【天雲の盾】!」

強く踏んだ足から、舞い散る『痺れ』の飛沫。

突然の攻撃方法の変化に、慌てて左の盾で対応する。

「【六刀剣舞】」

「こっ、【コンティニュー・ガード】【地壁の盾】ええええ――っ!」

【痺れ水弾】でタイミングと体勢を崩したところに続く、強烈な剣舞。

防御時間伸長によってどうにか守り切ったものの、大きく弾かれ下がり、体勢を崩したところに閃く黒光のエフェクト。

流れは再び、敵黒仮面に奪われた。

「――――消えろ塵芥。【死刃の嵐】」

「ッ!!」

ドンッ! と、爆発音を鳴らして突撃してくる黒仮面。

まさに目にも止まらぬ高速直線移動で、一瞬で最高の間合いを取る。

両手に持った短刀が見せる怪しい輝きは、これから始まる超速剣舞の合図。

敵黒仮面は、鉄壁の防御を見せるまもりを『力づく』で打ち破りにきた。

「ああ、これはダメなやつだ……」

これには観戦者たちも、思わずため息を吐く。

「花の都フローリスをもう一度……いきます」

目を閉じて集中。

体勢が崩れているうえに、敵の速度は驚異的。

だがまもりが待っていたのはまさに、敏捷型の二刀流が奥義として持つことが多い連続攻撃スキルだ。

「――――【クイックガード】【爆火盾】!」

目を開く。

発動と同時に、黒仮面が怒涛の高速攻撃を開始する。

左の腰から右肩へ向かう斬り上げを狙う右刀を、左の盾で受ける。

左側から来る水平の斬り払いを左の盾で弾く。

踏み込み、突き上げるように首を狙う刃を右の盾で合わせて守る。

右、左と続く『返し斬り』をそのまま右の盾で受け、さらに左右と続く『返し斬り』をそのまま右の盾で受ける。

コマのような回転から放つ二連の振り上げを左の盾で弾き、続く返しの反転突きを受ける。

火花が跳ねる、跳ねる、飛び跳ねる。

右水平斬り、左斬り上げ、右再度の水平斬り、踏み込み左刀の突き、右の刀の突き。低空跳躍斬り下ろし、斬り上げ、また斬り下ろし。右の水平斬り、左の踏み込み垂直斬り上げ、半回転からの突き。まもりの周りを三角を描くように左への斬り抜けを弾き、左への斬り抜けを弾き、また左への斬り抜けを弾く。

そして、超加速突き。

成功のエフェクトが、煌々と瞬く。

タイミングのわずかに違う攻撃を全て引き寄せ決める盾防御は見事、その全てがジャストガード。

もしも、いつか誰かとパーティを組むことができたら。

そんな日を思って続けてきたまもりの盾防御は、なんと――――敵の奥義のヒットをただの一つも許さなかった。

「どうなってんだ!? あの防御!!」

「全部ジャストガードになってるぞ!!」

「で、でも、防ぐだけじゃ戦いは不利なままだぞ……!」

まさかの24連ジャストガードの瞬きは掲示板組の度肝を抜くが、守るだけでは勝ちえない。

しかし、【爆火盾】の本当の力はここからだ。

このスキルは敵の物理攻撃を連続でガードするほど火力を上げる、カウンタースキル。

3発、4発程度のジャストガードでは相手の体勢を崩すくらいだが、24発となれば――――。

「「「ッ!?」」」

使用者であるまもりすら驚愕する、地を揺らすほどの爆発が巻き起こる。

運営ですら『こんな数のジャストガードは想定していない』、全てを引き寄せてベストのタイミングで弾くという快挙による一撃。

「バカな……」

範囲は狭いが、濃縮された爆破エネルギーが、カウンター判定で黒仮面を消し飛ばす。

地面を冗談のような勢いで跳ね転がった黒仮面は、三十メートルほど砂煙を上げた後、動きを止める。

究極のカウンターとも言える一発が、まもりを勝利に導いた。

「すげえ……!」

「なんだよこれ……! ヤバすぎだろォォォォ――――ッ!!」