軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

748.黒仮面の者たち

各隊の連携を重視した戦いを見せた、敵兵軍団。

状態異常を振るう嫌らしい戦いをかわし、メイたちは見事に撃退してみせた。

そのまま四人、退いた位置で傍観していた仮面の者たちのもとへと進む。

「……追加で運搬部隊の招集が必要か」

離れた場所で観戦していた仮面のリーダーは、味方の瓦解に感情一つ崩さない。

冷静に状況を見回してそう言った。

「手間はかかるが、雑兵どもを召喚して運ばせることとしよう。練度は下がるが、数がいればどうにかなるだろう」

「一応聞いておこうかしら。貴方たちは何者なの?」

「応える義理はない。ここで死ぬ者たちに、新たな情報を持たせる意味がないだろう?」

レンの問いに冷たく言い放って、リーダーは薄く嘲笑を込めた声で続ける。

「消せ。我らが栄光のために邪魔となる者も、利用済みの街も全て、もう必要ない」

「そ、そんなのダメですっ!」

これだけは譲れないまもり。

「わ、私みたいな日陰者でも、フローリスに来る時はい、いつも、ワクワクしていました……だ、だから今度は、私ががんばりますっ」

「……やれ」

「「「ハッ!」」」

「覇を担う我らの力を教えてやる。死にゆく者たちが知る、最後の情報となるだろう」

そう言い残して三人の仮面の者を残し、リーダーは『兵器』のある池の方へと向かう。

「そうだ、最後に『兵器』の全開の力をお見せしよう。全てを腐らせ、滞留し続ける――――『悪魔の毒』をな」

その言葉に、震えあがるまもり。

どうやら『兵器』を全開にすれば、この土地自体を腐らせるほどの威力を見せるようだ。

「戦いが始まったらメイはあのリーダーを追って! ここでまた、時間制限を入れてきてるわ!」

「りょうかいですっ!」

それはこのクエストを失敗すれば、街の面影も残さないほど崩壊させるという宣言に他ならない。

レンはメイを先行させる形で、阻止にかかる。

「来るわ!」

駆け出す三人の黒仮面。

その中でもひときわ速い、二刀流の者がまもりに狙いをつけた。

駆け抜ける光のように、懐に飛び込んできた黒仮面。

右の短刀を振り上げる。

「っ!!」

その速度にスキルではなく、右の盾でしっかりガード。

すると続けざまに左の短刀で内側へ払う一撃。

これも続けてガード。

すると黒仮面はそのまま半回転して、右手の短刀を刺しに来る。

その速度はかなりのものだが、まもりもしっかりこれを防御し、火花を散らす。

「【シールドバッシュ】!」

「【後方宙返り】」

反撃の盾叩きつけは、大きな回避でかわされる。

「【空閃】!」

そして即座に反転攻勢へ。

右の短刀、左の短刀と連続で放つクロスの剣舞は空刃を放つ。

「【クイックガード】【天雲の盾】! 盾っ!」

これを右左と盾を交互に出して弾くと、黒仮面はすでに走り出していた。

盾を構えるまもりの前で、再び放つ空刃。

「【天雲の盾】!」

「【縮地】【伸身宙返り】」

これを盾で受けると、黒仮面はまもりを跳び越え空中で姿勢をこちらに向ける。

「【空閃三連】」

そのまま敵の背後に回りながら、空中で三つの剣撃を飛ばす。

「ひええっ!?」

めったに使われることがない、後頭部側からの攻撃に悲鳴をあげたまもりの身体はしかし、それでもしっかり反応。

振り返りと同時に、防御体勢を取る。

「【クイックガード】【天雲の盾】! 盾! 盾っ!」

「【縮地】【三連剣刃】」

着地から即座に接近し、近接剣舞三連発。

「【地壁の盾】! 盾! 盾!」

バク転から距離を取って空刃四発。

「【天雲の盾】! 盾! 盾! 盾!」

「一刀剣閃」

「【地壁の盾】!」

「爆!」

「【天雲の盾】――っ!!」

速い斬り抜けから、遅れて巻き起こる爆発。

巻き上がる砂煙は視界を悪くする。

まもりはこれによって、敵黒仮面の姿を見失った。

「【殺刺突】」

爆発の煙を割って放つ【殺刺突】は、剣撃が対象を突き抜ける超速の一撃だ。しかし。

「こっち! 【コンティニュー・ガード】【地壁の盾】!」

防衛クエストをひたすら繰り返してきたまもりは、視界が悪化したからこそ慌てない。

カーン!! という甲高い金属音と、弾ける火花。

その威力に、両者が大きく後方へ弾かれる。

怒涛の攻勢の全てを、まもりは受け止めてみせた。

「【ストライクシールド】!」

そしてすぐさま反撃。

距離を取った黒仮面を撃つには、右手の盾を『飛ばす』そのスキルしかない。

「ッ!!」

これを黒仮面は、大きく身体を傾けることで回避を図る。

そしてどうにか、かすめるところで収めた。

「守り切ったぞ……!」

「なんだあの子の防御スキルは……!?」

「メイちゃんたちはいつも本当に、常識を超えてくるな……!」

黒仮面は圧倒的な攻めをしているのにもかかわらず、ダメージらしいダメージはなし。

被弾ゼロ。

これがプレイヤーなら間違いなく、その手ごたえのなさに『攻めさせられているのではないか』と焦り出すことだろう。

掲示板組は思わず、驚愕に感嘆する。

「なんとか、攻めないと」

しかし当のまもりは、困っていた。

敵は完全な敏捷型で、反撃が当たらない。

「……ぶっつけではありますが」

思い浮かぶ、一つの反撃方法。

まもりはフローリスの光景を一度眺めると、投じた盾に変わる新たな盾を取り出し、強く握りながら覚悟を決めた。