軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

747.敵兵との戦い

しっかりとした隊列で攻撃を仕掛けてくる敵兵団を大きく崩し、遠距離からの攻撃を放つ敵魔導士も見事に打倒したメイたち。

すると敵前衛が減ったことで、再び弓術師たちが動き出す。

「構え……撃てぇぇぇぇーっ!!」

ツヤのない金属製の黒弓を一斉に構え、放つ。

その矢じりに輝く光は、状態異常を引き起こすもの。

「【バンビステップ】!」

「【疾風迅雷】!」

これをメイとツバメは、しっかり見据えてかわす。

ツバメは連続移動で的を絞らせず、メイは普通に正面からの回避だ。

「かかれ!」

するとここで兵士たちは、従魔を放ってきた。

二つの頭を持つ黒犬は、オルトロスの亜種。

虎よりも一回り大きな体躯を持つ二頭の魔獣は、猛スピードで駆け寄り爪のひと払い。

「っ!」

これをツバメは後方へ下がることで回避。

すると二つの頭がその口を開き、同時に炎弾を放つ。

「【電光石火】!」

左右へのステップでこれをかわし、反撃を叩き込む。

見事な戦いぶりだが、この流れも敵陣営の連携の一つ。

「【痺れ炸裂矢】!」

攻撃スキル使用直後を狙って放たれた矢を、ツバメは身体をひねることでかわすが、矢じりが爆発。

大きく散った飛沫はツバメの虚を突き、状態異常に陥れる。

「ここで【麻痺】ですか……っ!」

「ツバメちゃんっ! 【バンビステップ】!」

迫るオルトロス亜種を前に、メイは慌ててツバメの脇に手を入れ持ち上げると、くるっと回って喰らいつきを回避。

「やっぱり先に弓兵を止めないとダメみたいね【フレアストライク】!」

レンは炎砲弾を放つが、目前に迫っていた二頭目のオルトロス亜種は、これを高い跳躍で越えてくる。

「ッ!!」

「【かばう】! 【地壁の盾】!」

二頭同時の喰らいつきを、盾でしっかり弾き返す。

「ありがとうまもり! 【フリーズストライク】!」

そして強化された後衛の連携で、オルトロス亜種を打倒。

しかし敵兵団は、ここでも状態異常攻撃を使用。

頭上高くに打たれた矢が炸裂し、降らす雨がレンを濡らす。

「【方向感覚異常】……っ!」

ツバメも以前受けたこの状態異常は、視界をグルグルと回転させるもの。

「状態異常の範囲攻撃で連携とか……やっかいがすぎるだろ!」

連携と搦め手を織り交ぜる敵兵たちの戦い方に、掲示板組はゾッとする。

戦いの優位を敵に奪われてしまいそうな状況だ。しかし。

「ここはおまかせくださいっ!」

ツバメを避難させたメイが、右手を高く掲げた。

そしてそのまま手に取った【原始肉】を掲げると、豪快にかぶりつく。

「やだ、メイちゃんワイルド……っ」

「うわわ!」

思わずもれる言葉に、メイはハッとして顔を赤くした後、ブンブンと顔を振って走り出した。

「【視界異常矢】!」

「【耐久減少弾】!」

「【猛毒の矢】!」

飛び出してきたメイに放たれる状態異常攻撃は光を放ち、炸裂し、飛沫を上げる範囲攻撃。

その攻勢に思わず目をそらしたくなる掲示板組だが――。

「【バンビステップ】!」

「状態異常が……効いてない!?」

メイは広がる光を受け、爆発の中を駆け抜け、飛沫を浴びても止まらない。

一気に弓兵たちの陣営に踏み込んでいく。

そして盾になろうと駆けつける、剣士と槍士を前に手を引いた。

「【お仕置き戦樹】! おしおき!」

右前方から来る剣士たちを、右側から回り込んでくる根が弾き飛ばす。

「おしおき!」

左前方から来た槍士たちも、半円を描くように伸びる根が弾き飛ばす。

「撃てぇぇぇぇ――ッ!!」

そして放たれる矢の嵐も。

「おしおきだぁぁぁぁ――――っ!!」

まとめて弾いて、弓兵たちの真ん中へ。

「【フルスイング】だああああーっ!」

「「「ウアアアアアアアア――――ッ!!」」」

放つ強烈な剣の叩きつけで、弓兵たちをまとめて片付けた。

「やっぱメイちゃんなんだよなぁ!」

「流れを変えるのはメイちゃんよ!」

状態異常無視からの特攻で、手間のかかる弓兵たちも退けたメイにあがる歓声。しかし。

「新手だよっ!」

竜に乗った騎兵の急速な接近に、メイが気づく。

その急降下が見せる先には、フローリスの教会。

現れた騎竜兵の強さを演出するための、破壊行動が始まる。

「教会が……っ!」

しかしメイの【遠視】による早い発見と、まもりの防御力によってシナリオが変わる。

「メ、メイさんお願いしますっ!」

「りょうかいですっ! 【ゴリラアーム】!」

駆けつけて『バンザイ』をしたまもりを抱えたメイは、そのまま教会に狙いを付ける。

「それええええ――――っ!!」

ぶん投げられたまもりは勢いのまま教会の前でゴロゴロと転がる。

そして迫る騎竜兵と教会の間に、上手く滑り込んだ。

「【不動】【地壁の盾】――――っ!!」

払う右手の盾が竜の硬く鋭い爪にぶつかり、大きく火花をあげる。

もちろん教会に被害なし。

なんとメイとまもりは、騎竜兵の強さを見せるはずの演出を強制カットし、教会を守ってみせた。

登場の見せ場を奪われた騎竜兵はそのまま空で大きく一回転。

緑色の毒砲弾を三つ、続けざまに吐き出す。

「よっ、はっ、それっ」

これをメイが難なくかわすと、巨大な緑の水滴は弾け散る。

「毒は効きませんっ!」

【猛毒】液の飛沫は、メイには意味がない。

続く滑降から騎兵が投じる【痺れ手投げ弾】も、着地と同時に竜が振る尾から飛ぶ【視界狭窄液】も、【握力減退粉塵ブレス】も、『原始メイ』の前には全て無意味だ。

「どうなってんだ!?」

「これが、野生児の抗体……っ!?」

思わず息を飲む掲示板組の前で、舞い上がった竜騎兵はターゲットを後衛に変更。

レンを狙い、急加速急滑降。

「ッ!!」

「【かばう】!」

「……まもり、ぶん殴っちゃって!」

「ぶん殴る?」

視界が揺れるレンは、なんとここで身を投げ出し転がることで回避行動を取った。

【かばう】には『誘導性』がないため、まもりはそのまま一直線に『レンがいた場所』に飛び込んでいく。

「そ、そういうことですか……っ」

まもりは足をついた瞬間、敵竜騎兵の位置を確認してスキルを発動。

「【シールドバッシュ】!」

迫る竜の頭を、真横から盾で叩きつけた。

「すごーい!」

フラつきの中でも反撃を狙った、レンの作戦は見事成功。

強烈な衝撃波に弾かれ、転がる騎竜。

慌てて体勢を立て直し、激しい咆哮を上げる。

「「「ッ!!」」」

身を震わす叫びにわずかにたじろいだのを見て、騎竜兵は再び飛行。

空中を旋回し、その狙いをまもりに向けた。

「き、きききますっ!!」

騎竜兵は凄まじい迫力で迫りくる。

竜の前足に、激しいスキルエフェクトが閃く。

「【ドラゴンクロー】!」

「ふ、ふふふ【不動】! 【地壁の盾】っ!」

派手なエフェクトと共に盾とぶつかった竜のかぎ爪が、猛烈な火花を散らす。

騎竜兵はそのまま縦の旋回へと移行、竜がその口を大きく開く。

奥義は爪の一撃ではなく、連続する攻撃だったようだ。

「【猛毒火炎ブレス】!」

続けざまに放たれる緑色のブレスは、毒を交えた業火。

喰らえばダメージに加えて【猛毒】になる最悪の一撃だ。

「【アクロバット】【装備変更】」

しかしそこに飛び込んで来たのはメイ。

「そうはさせませんっ!」

【王者のマント】を振り払えば、炎は風にかき消される。

さらに毒素も今のメイには問題なしの完全攻略。

「――――【烈槍急降下】」

「「「ッ!?」」」

だがこの恐ろしいブレスですら、視界を奪うための攻撃。

空へと跳び上がった騎竜兵が落下しながら放つ一撃は、刺さった時点で爆発を巻き起こし付近を一掃する爆弾のようなスキルだ。

まもりは必死に走り、その落下地点へ。

「【地壁の盾】――っ!」

これをどうにか受け止めた。

巻き起こる爆発。

騎竜兵は大きく飛び下がり、地面に着地すると同時に槍の投擲モーションに入る。

「【加速】【リブースト】【電光石火】!」

しかし【麻痺直し】で異常を回復したツバメが、これを許さない。

斬り抜けによって騎兵を強制停止。

すると竜は滑空から竜騎兵を爪でつかみ、空へと退却を試みる。

「そうはさせないわ! 【悪魔の腕】!」

地面に描かれた魔法陣から伸び上がるのは、禍々しい悪魔の手。

逃げようとする竜を悪魔の腕がつかみ、そのまま地面に叩きつけた。

倒れ伏す竜と兵士。

三人は自然と集まってハイタッチ。

そのまま、まもりの方に振り返る。

するとまもりは少し、戸惑った後――。

「し、しつれいします」

四人でもう一度ハイタッチ。

兵士たちの猛攻を、わずかな人数で見事に打ち破ってみせた。

「……すごい」

「何気にあの盾の子もヤバいな……メイちゃんと一緒に戦えてるよ」

「あんな子、どこに隠れてたんだ?」

驚きにいよいよ嘆息し始める掲示板組。

四人がしっかり連携で戦う姿に、驚きを隠せないのだった。