軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

602.天子争奪戦

天子との買い出しの帰り道、突然現れた魔獣。

黒服を身にまとった不審者が放ったバクに、紅色の装備を身に付けた術師の呼び出した牛頭が迫る。

牛頭の金棒振り降ろしが地面を叩き、衝撃が広がる。

しかしバクはこれを避け牛頭に突進。

そのまま絡み合うようにして、民家の壁に突き刺さった。

「こっちです!」

この隙にツバメが、天子を連れ出し距離を取る。

「やれ! 馬頭!」

そこに現れたのは二足歩行の馬型魔獣、馬頭。

豪快に振り払う長槍を、ツバメは天子をかばいつつ回避。

反撃に出ようとしたところで気づく。

黒衣装の槍使いが、今まさに必殺の一撃を投じようとしていることに。

「私たちごとですか……っ! 戦闘中に範囲攻撃を受けるというのは厳しいです!」

黒衣装にしてみれば、ツバメも紅装備の呼んだ馬頭も敵。

『まとめて倒してしまえばいい』

三つ巴ゆえの窮状に、さすがに少し慌てるツバメ。

投じられた槍は炎のエフェクトを放ちながら飛来し、ツバメの真横を通り過ぎ炸裂。

回避には無事成功したが、この隙を突き踏み込んできていたのは紅装備の大剣士。

「【バスターブレード】!」

「【投擲】!」

「がっ!?」

ツバメはとっさの【雷ブレード】で、スキルを強制停止。

「天子さん、失礼します!」

防衛クエストのメイを思い出し、天子を抱きかかえる。

「【跳躍】!」

気づけば黒紅両陣営に囲まれていたツバメ。

ここで直上へ跳躍したのは、しっかりとこちらの状況を把握していたレンに任せるため。

「自分たち以外は皆敵なのはこっちも同じよ! 【フレアストライク】!」

炸裂した豪炎が、ツバメを囲んでいた赤黒両陣営の者たちをまとめて吹き飛ばした。

「ありがとうございます!」

その狙いをすぐさま読み取ったレンと、笑い合う。

「もらった!」

このタイミングで駆け込んで来たのは、黒衣装の盗賊。

速い移動で天子をつかみに行く。

「あまいぞ!」

しかし天子も、回避逃走は大の得意。

速いステップで盗賊の手をかい潜ると――。

「よいしょっ!」

囲みに来ている敵たちに気づいたメイが、天子を抱きかかえた。

「「「逃がすな!」」」

敵陣は第二波が登場。

紅装備の魔導士が杖を掲げ、走る閃光。

「ぐあああああーっ!!」

ここでメイ、紅魔導士の魔法攻撃を黒衣装の背後に入ることで見事に回避。

黒衣装は、魔法に弾かれ転がった。

「【魔光連弾】!」

一方紅装備の魔導士は、光の魔法を連発する。

「いくよ天子ちゃん! 【装備変更】【バンビステップ】!」

天子を抱えたまま、メイは迫る黒衣装の合間を【鹿角】の補助であっという間にかいくぐっていく。

「くっ!」

「ぐあっ!」

「なああああっ!?」

そして迫り来ていた黒衣装たちを身代わりに変え、見事に紅魔導士の攻撃を切り抜けた。

「ならば……これでどうだーっ! 【魔光砲弾】!」

黒衣装たちが倒れたことで生まれた道。

放たれた光の砲弾は、一直線にメイたちのもとに飛んでくる。

「少々お待ちください! 【装備変更】!」

その場に天子を置き、メイは踏み出しと同時に一回転。

「せーの! 【フルスイング】!」

手にした【魔断の棍棒】で、光弾を打ち返した。

「うああああああっ!!」

炸裂した光弾に、転がる紅魔導士。

「メイ! 上だっ!」

天子の言葉にメイが視線を上げると、屋根の上には弓矢をメイに向ける黒衣装の姿。

「はいっ! 【投石】!」

「ぐああっ!!」

これをモーションが速い攻撃で先手を取る。

黒衣装は矢を放つ前に石を喰らい、その場にひっくり返った。

見事な対応を見せるメイはさらに、天子の意外なモーションに目を輝かせる。

駆けつけてくる早い動きの紅盗賊。

「がおおおおおおーっ!!」

引き付けてからの【雄たけび】で、盗賊を完全硬直。

たった一人の敵にこのスキルを使った理由はただ一つ。

「天子ちゃん! お願いします!」

「まかせろー!」

メイの前に駆け込んできた天子は、敵が落としていた棍棒を手に特攻。

「たあーっ!」

「ぐがっ!?」

降り上げた一撃があごに当たり、紅盗賊はひっくり返った。

「おおっ! メイちゃんと天子ちゃんのコンビネーションきたぁぁぁぁ!!」

メイと天子のハイタッチ。

決まった二人の連携に、状況は分からないけど『カッコいいし可愛いからとにかく良し!』勢が歓喜の声を上げた。

入り乱れた状況下でも、天子を守りつつ戦うメイたちに聞こえてくる感嘆の声。

「天子はいただいていく!」

叫ぶ黒衣装が迫る。

「させるかぁ!」

紅装備が吠えて抑える。

黒紅二つの陣営が同時に、メイのもとにいる天子を狙い動き出す。

「馬頭! こっちだ!」

紅従魔士が、戻した従魔を再びけしかけにいく。

「【鶏行歩】【気功突拳】!」

だが速い踏み込みで、潜り込んできたのはシオン。

「「「うああああああ――っ!!」」」

気の一撃が馬頭を吹き飛ばし、巻き込まれた黒衣装の者たちが弾き飛ばされる。

「なぜ天子様が、この場所に来ると知っていた……?」

二つの陣営が同時に隠密行動中の天子を狙って攻めてきたことに、疑問を呈するシオン。

「一体誰が、どの勢力がこんなマネを……【鶏行歩】【錬気発生】!」

迫る黒衣装の剣士たちが放つ攻撃をかわし、的確な反撃で数を減らしていく。

すると今度は紅装備の魔導士が、範囲魔法でシオンと黒衣装たちをまとめて狙う。

シオンはこれをかわし、残った黒衣装の面々だけが吹き飛ばされた。

「…………ふん」

三つの勢力がぶつかる戦場。

紅色の数が多くなってきたところで現れたのは、黒衣装の大柄な戦士。

黒の兜で素顔を隠したままのその戦士は、紅装備の強力な魔導士に目を付け走り出す。

「血が騒ぐぞ……戦の時間だァァァァ――ッ!!」

砂煙を上げ、速い足取りで迫りくる黒の戦士。

どうやらこのクエスト、ここからさらに大事になってしまうようだ。