軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

509.紅白の竜

「容赦など、いりません」

赤い竜と白い竜。

現れた二体の巨大な魔獣を前に、構えるメイたち。

「消えなさい」

森の乙女の言葉に、ドラゴンたちが動き出す。

先頭にいたのはメイ。

迫る赤竜は猛烈な勢いで右腕を振り降ろし、そのまま左腕の叩きつけへとつなぐ。

「【バンビステップ】!」

これをしっかり見据えてかわす。

すると赤竜はそのまま半回転し、その長い尾で薙ぎ払ってきた。

「【ラビットジャンプ】!」

回避のためのジャンプは最低限。

その判断が功を奏する。

赤竜はそこからそのまま一回転して、尾撃を繰り返してきた。

高い跳躍でかわしていれば、二発目は避けられなかっただろう。

しかしここに飛び掛かってくる、白の竜。

身体に見合わぬ速い喰らいつきが迫りくる。

「まかせろーっ!」

「おねがいしますっ! 【アクロバット】!」

「【セイントシールド】!」

大きなバク転で下がるメイを追い越す形で駆け込んできたアルトリッテが、喰らいつきを金色の盾で防ぎ、両者は弾かれ合う。

「【加速】【電光石火】」

この隙を突き、ツバメが高速移動で距離を詰め軽い一撃を見舞う。

「ブレスがくるかもっ!」

赤竜が首を下げたのを見て注意喚起すると、ツバメは即座に進行方向を変更。

「ありがとうございます! 【加速】【リブースト】!」

広い範囲に吐き出された灼熱の炎を、見事な高速移動で回避してみせた。

「二体がバラバラならまだしも連携ができてる……さすがにこれは骨が折れそうね」

「うむ! だが竜の一頭や二頭、この聖騎士が打ち破ってみせるぞ!」

「焼き払え、赤き竜」

森の女神は冷たく言い放つ。

赤竜はわずかに首を下げると、赤熱の炎砲弾を吐き出した。

「【ペガサス】!」

速く、そして的確な狙いで放たれる連射砲から、アルトリッテは距離を取る。

さらにそこへ、白竜も小さく首を下げた。

「「ッ!!」」

残ったメイたちに向けて白竜が放つ氷槍ブレスは、『まとめて吐き出す』型。

50本ほどの氷の槍が、一斉に撃ち出された。

「【バンビステップ】!」

「【加速】! 【リブースト】!」

「後衛まで飛ぶって、なかなかやっかいね!」

「……っ!」

決して少なくはない流れ弾を、後衛組も必死にかわす。

するとここで赤竜は、再び首を引いた。

「私がオトリになるぞ! 【ペガサス】!」

すぐさま前線へ戻り、再度赤竜のターゲットを奪いにいくアルトリッテ。

狙いはブレス後の隙を突き、魔法による攻撃を促す流れだが――。

「なにっ!?」

吐き出されたのは、広範囲を一斉に焼き尽くすタイプの必殺ブレス。

灼熱の炎が、足元から天を焼くように吹き上がる。

「くっ!!」

アルトリッテの胸元を炎がかすめ、わずかにダメージを受けた。

一方の白竜は、ツバメを狙う。

「【加速】!」

喰らい付きをかわすと、そのまま尾で横なぎへとつないできた。

「【跳躍】!」

メイの動きを思い出し、【跳躍】を縦より横への移動にすることで高さを押さえて回避。

「【加速】!」

これが功を奏し、赤竜の喰らいつきも避けることに成功した。

「【跳躍】!」

続く尻尾の一撃も、再び低めのジャンプでかわしにいくが――。

「縦っ!?」

なんと尾撃は振り上げ型。

「【エアリアル】! くうっ!!」

これを再跳躍でかわしにいくも失敗。

再上昇中を下から叩かれたツバメは2割強のダメージと共に、高々と上空に跳ね上げられた。

このまま落ちれば、それなりに高い落下ダメージを受けることは確実の高さ。

さらに着地後の隙を叩かれれば、大ダメージ必至だ。

「マズいです……っ」

覚悟しながら下方を見ると、駆けてくるメイと目が合った。

もちろんツバメを受け止めにきたメイも、視線を外すわけにはいかない。

ぶつかり続ける視線。

ツバメは少しそわそわしながら――。

「あ、あの、よ、よろしくお願いします……っ」

空中でペコっと頭を下げた。

「おまかせくださいっ! よいしょーっ!」

しっかりと抱き留めるメイ。

「よかった!」

満面の笑顔を見せるメイに、ツバメは思わず耳を赤くする。

「【ペガサス】! 【ホーリーロール】!」

そんな二人を狙いにきた白竜を、アルトリッテが足止めに向かう。

懐に飛び込んでの一撃で、ツバメたちの安全を確保すると――。

「【霊鳥】」

さらにそのアルトリッテの隙を、マリーカが赤竜を撃つ事で消す。

「あ、ありがとうございますっ!」

ツバメは思わず頭を下げる。

すると見事な連携でツバメキャッチを成功させた三人は、笑み一つで応えてみせた。

「【バンビステップ】!」

両者の間にできた隙、メイはすぐさま動き出す。

「【ラビットジャンプ】からの【フルスイング】!」

赤竜を狙った空中からの振り降ろしは、大きなステップでかわされる。

するとそこに割り込んで来たのは白竜。

「【アクロバット】!」

喰らいつきをギリギリでかわすと、すぐさま赤竜が飛び掛かりからの喰らいつきで続く。

「もう一回【アクロバット】!」

二度目のバク転でこれを回避すると、再び白竜が尾を振るってきた。

「【ラビットジャンプ】!」

低い跳躍でこれをかわし、続く赤竜の縦の尾撃はわずか一度のサイドステップで回避。

十字を描く尾撃の連携をかわしたところで、後方の白竜が放つ氷槍ブレス。

「【バンビステップ】!」

放たれた50の氷槍を、速く細かな足の運びでかかわして反撃に移る。

「【装備変更】! ブーメランでお返ししますっ!」

そのまま白竜に向けて、【王樹のブーメラン】を投擲。

「グォォォォォォ――――ッ!!」

白竜を大きく弾き、早くも合計3割ほどHPを奪い取ってみせた。

もちろんこの隙を赤竜は逃さず、喰らいつきにくるが――。

「【ラビットジャンプ】! ……からのーっ!」

戻ってくるブーメランを空中で受け取ったメイは、なんとそのまま迫る赤竜の頭部に叩き込みにいく。

「【フルスイング】だーっ!」

衝突ダメージ計算なのが納得いかないほどの強烈な振り降ろしに、赤竜の頭部が地面に強く叩きつけられた。

「おおっ! ドラゴン二頭相手に、一人で翻弄するというのか!?」

「……とんでもない戦闘能力」

驚きの声をあげるアルトリッテとマリーカに、メイはさらに告げる。

「分かったよ! ブレスは首の動きが違うみたい! 範囲の広いブレスは一度喉元で止めてる感じですっ! だから次は――――」

赤竜の喉元に、自然と三人の視線が集まる。

「「「範囲ブレス!」」」

即座に動き出す前衛組。

「【バンビステップ】【ラビットジャンプ】!」

「【加速】【リブースト】【跳躍】!」

「【ペガサス】!」

三人は一気に距離を詰め、燃え盛る炎の波を飛び越えていく。

「【紫電】!」

「【ホーリーロール】!」

ツバメが白竜の動きを止め、アルトリッテが斜め回転の一撃を叩き込む。

一方メイは、予想通りブレス直後に飛び掛かりを仕掛けようと駆け出していた白竜の目前へ。

「がおおおおおお――――っ!」

「今っ! 【フレアバースト】!」

「【霊鳥鳳火】!」

メイが【雄たけび】で動きを止めた白竜に、魔法攻撃を叩き込む。

白竜のHPが6割まできたところで、戦いの流れが変わり始める気配。

二頭の竜は、同時に首を引いた。

「合体ブレスか!?」

「違うわ……これ時間差よっ! タチ悪すぎでしょ!」

回避や防御スキルでは、クールタイム中に二発目のブレスを喰らう設計の時間差攻撃。

とはいえ、防御でもある程度削られることは必須だ。

そのいやらしさにレンが唇を噛む。しかし。

「いーちゃん!」

駆け出したメイの合図一つで、巻き起こった暴風が炎を吹き飛ばす。

「ありがとうっ! 【装備変更】!」

そのまま白竜の前へと踏み込んだメイ。

続けざまに放たれる猛吹雪は、直撃すれば凍結状態になってしまう最悪の一撃だ。

「無傷……だとっ!?」

だが仁王立ちのメイが【王者のマント】を払うと、吹雪はあっという間に消え去った。

二頭の竜が放つ最強のコンビネーション、そのダメージはなんとゼロ。

「高速【フリーズストライク】!」

すかさずレンが赤竜をけん制し、隙を作り出す。

するとメイは、右手を高く突き上げた。

「ありがとうレンちゃん! ――――それではどうぞ、お越しくださーい!」

空中に現れる魔法陣。

その輝きから出てきたのは、白金の牙を持つ一頭の巨象。

「「「ッ!」」」

着地と同時に広がる衝撃波に、ドラゴンを含む全員がわずかに飛び上がる。

メイの選択は『天候変化』

白象はその長い鼻を、天に向かって持ち上げた。

放つ猛烈な水砲から始まるのは、陽光を反射し輝く天気雨だ。

「これで炎のブレスは範囲も威力も半減ね! 攻めましょう!」

「りょうかいですっ!」

「はいっ!」

ツバメは【雷ブレード】を手に取り、メイは【王者のマント】を装備したまま走り出した。