軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

505.海賊と象

「行くぞォォォォ――――ッ!!」

余裕を感じさせる笑みと共に、掲げるカットラス。

「【スプラッシュステップ】!」

弾ける水飛沫と共に、海賊分隊長は高速の飛び込みで距離を詰めてくる。

「【海凪剣舞】!」

放たれるのは豪快な乱舞。

一撃ごとに弾ける水飛沫のエフェクトが、メイに襲い掛かる。

それはなかなか判定の広い剣撃として、強力なスキルだ。

「それっ、それそれそれっ!」

しかし、そんなスキルの『範囲』もしっかり見極めながら動くメイには当たらない。

「そーら! 【ミミック】だァ!」

「「「ッ!!」」」

足元から出てきた魔力光が、牙の生えた宝箱のように変わり喰らいつきにくる。

「【ラビットジャンプ】!」

「【ペガサス】!」

「【跳躍】!」

その大きな範囲を前に、前衛三人は同時に跳躍回避。

「【エアリアル】」

そんな中ツバメはもう一段飛び上がり、反撃を狙いにいく。

「【四連剣舞】!」

「チッ! 【スプラッシュステップ】!」

分隊長は慌てて下がり、前衛組に向けて手を向けた。

「撃てェェェェ!」

命令された白象が放つ水砲弾。

これをメイたちがかわすと、分隊長はさらに追撃を狙う。

「放てェェェェ――ッ!!」

続けざまに放たれたのは、水の散弾だ。

回避の難しい無数の水弾が、肩口をかすめていく。

「一気に行くぞォォォォ! 跳べぇぇぇぇーっ!!」

この命令に白象は首を振るが、分隊長は声を荒げる。

「いいから黙ってオレ様に従うんだよォォォォ――ッ!!」

わずかに苦しそうな表情を見せた白象は、言われるまま跳躍。

「わあっ!?」

着地するのと同時に、足元を衝撃波が駆け抜けていく。

揺れによって、わずかに体勢を崩すメイたち。

「いくぞ! 【水平線剣撃】ィィィィッ!!」

「「「――ッ!!」」」

慌てて回避行動を取るも、放たれた水刃に身体を弾かれる。

「見たか! コイツがいればオレ様たちに敗北はねえんだよっ! 【スプラッシュステップ】【海凪剣舞】!」

「させるか! 【セイントシールド】!」

追撃に来た分隊長の連撃を、アルトリッテが黄金の盾で受け止める。

「【電光石火】!」

入れ替わるように出てきたツバメが【電光石火】で斬り抜けていく。

「【フルスイング】!」

「チィッ!」

しかしこれ以上の追撃は許さない。

駆け込んできたメイの一撃を、分隊長は【宝石の盾】を砕いて防御。

「放て!」

そしてアルトリッテやツバメや再接近を、白象の水散弾でけん制してみせた。

「間違いなく、あの白象の援護が効いてるわね」

流れるような三人の連携に対抗できているのは、白い象の援護があってこそ。

分隊長が叫んだ瞬間に光った魔法石と一瞬の苦悶に、レンは象の救助法を確信した。

「象の首を見て! 首輪に付いた魔法石を破壊すれば、指示の強制ができなくなるシステムなんだわ!」

「りょうかいですっ! 【バンビステップ】!」

メイは白象の放つ水砲弾をかわし、一気にその足元へ。

叩きつけられた鼻を避けたところで――。

「がおおおおおお――――っ!」

動きを【雄たけび】で止める。

「【ペガサス】!」

「【連続投擲】!」

その隙を突き、アルトリッテが接近し剣で首輪の魔法石を一撃。

続く【ブレード】の四連投で破壊した。

「ないすーっ!」

拳を突き上げるメイに、アルトリッテとツバメが笑顔で返す。

これによって白象は、強制使役から解放された。

「チッ!」

本来であればここで白象が逃げ出し、海賊の打倒だけで終わるパターンが基本とされているこのクエスト。

だが、メイの動物値は圧倒的。

巨象はここで、メイの味方を始める。

放つ水の砲弾が、轟音と共に放たれた。

「「「ウオオオオオオ――――ッ!?」」」

弾ける水の一撃が、海賊たちを弾き飛ばす。

「う、裏切りやがったぞ!」

「仕方ねえ! サラマンドラを呼べ!」

「まかせろ! 召喚ッ! サラマンドラ――ッ!」

魔法陣から現れたのは、赤い鱗の大トカゲ。

煌々と輝く口内から、灼熱の豪炎を吐き出し帰還していく。

「いくぞ! 【トルネード】!」

召喚獣サラマンドラの吐いた炎は、意外にも直接攻撃ではなく海賊魔導士の【トルネード】によって生まれた竜巻と、相乗効果を生み出した。

全てを巻き込み燃やす炎嵐が、メイたちのもとに迫り来る。

「とんでもない攻撃してくるわね……っ!」

思った以上に大きな炎の竜巻に、驚くレン。

しかし象はその長い鼻を天へ向けると、大量の水を噴き出した。

放った大量の水はそのまま、雨になって降り注ぐ。

そして突然のスコールは、サラマンドラたちの炎嵐を消火させた。

「なに……っ!?」

降り続く雨に、驚きの声を上げる分隊長。

「【加速】【投擲】」

天候の変化を見て、ツバメが動き出す。

「「「うああああっ!?」」」

【雷ブレード】は、雨による効果範囲拡張によってまとめて硬直を奪う。さらに。

「水の砲弾だけじゃなくて、天候を一時的に雨にすることで環境効果も狙えるのね! 【フリーズブラスト】!」

レンの放つ氷嵐が猛威を振るう。

雨に濡れた海賊たちを、まとめて凍結に追い込んだ。

「……【流星雨】」

「「「うああああああああ――――っ!!」」」

トドメはマリーカの範囲攻撃。

これで残るは、分隊長のみだ。

「【ペガサス】!」

迫るのはアルトリッテ。

「【スプラッシュステップ】!」

ボス級だけありなかなかの回避を見せるが、回避に全てを集中しても聖騎士の攻勢を全てをさばくのは不可能だ。

「チッ!」

繰り出された剣が左腕を弾き、バランスを崩した。

「――――これで終わりだ! 我が剣の前に、悪しき野望は砕け散るのみ! 解放剣技――!」

そして輝く【エクスブレード】を、大きく振り上げたところで――。

「これでどうだァァァァ!! 【パイレーツ・フック】!」

「えっ?」

手にした剣が、鎖鎌のように飛んできたフックに弾き飛ばされた。

「ぬはああああ――っ!?」

まさかの武器飛ばしスキルに、驚愕するアルトリッテ。

だがあれだけの名乗りから、今さら剣を取りに戻るわけにはいかない。

「ハ、【ハードコンタクト】だーっ!」

そのまま強引なタックルを、分隊長に叩き込んだ。

「ぐああああーっ!!」

「「ラグビー部」」

「ラグビー部ではなーい!」

レンとマリーカの言葉に、思わず声を上げるアルトリッテ。

「メイ! トドメは頼んだっ!」

「おまかせくださいっ!」

転がった分隊長にトドメを差しにいくのは、メイと白の巨象。

「【バンビステップ】!」

一気に踏み込み、放つ斬撃。

「ぐうっ! 【バックフリップ】!」

ギリギリで起き上がった分隊長は高いダメージを受けるも、大きな後方への宙返りで追撃をかわす。

そして【パイレーツ・フック】で武器飛ばしを狙いにいくが――。

「プァオオオオオオ――――ンッ!!」

「クッ!!」

白象の放つ水砲弾が弾け、散らばる無数の水弾に体勢を崩された。

「ありがとうっ! 【バンビステップ】!」

もちろんこの隙をメイは逃さない。

高速の足運びで一気に距離を詰めると剣を振り上げ、そのまま全力で振り下ろす。

「【フルスイング】だああああ――――っ!!」

巻き起こるド派手なエフェクト。

繰り出された一撃は見事に、海賊分隊長を撃ち倒した。