軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

493.海賊船団vs小型船

「せぇぇぇぇの! それぇぇぇぇっ!!」

メイが投じるブーメランは海面を波立たせるように飛び、そのまま海賊船の腹部に直撃。

「「「うおおおおーっ!」」」

船を貫き、隣の船を貫き、さらにその隣の船に突き刺さった。

急な浸水に、慌てる船員たち。

こうなってしまったら船はもう、戦線を離脱するほかない。

「よいしょっと!」

そして刺さった場合でも、ブーメランは当たり前のように手元に戻ってくる。

当然次弾は、すぐに放たれることになる。

「私が海賊だったら泳いででも帰るわね」

追って来ていた海賊船の一団は、そのほとんどが一発も攻撃をしないまま壊滅。

「【魔砲術】【フレアバースト】!」

さらに炸裂する爆炎が、黒煙を上げる。

「それにしても気持ちいいわ、これ!」

次々に落ちていく海賊船という状況に、思わず声も乗ってくる。

基本的に、反撃しながら逃げることになるはずのクエスト。

小型船に乗り込んだメイたちは、敵艦隊を圧倒する形になっていた。

「そろそろ、こっちから乗り込んでみる?」

数に勝る敵海賊船の中に見えたのは、一艘の大型船。

お供の船を連れて進む姿は、壮観の一言だ。

「乗り込む? 一体どうするのだ?」

側方から来ていた海賊船たちを片付けたアルトリッテが、当然の疑問を投げかける。

「アルトリッテたちとは砂漠で一緒だった感じだし、知らないわね。メイは水陸両用やせ……普通の女の子なのよ」

「「……?」」

二人並んで首を傾げる、アルトリッテとマリーカ。

「狙いはあの大型船。おそらくあれを叩けば追っ手は散り散りになると思う。どうメイ、直接いけそう?」

「はいっ! おまかせくださいっ!」

メイはそう元気に応えて、右手を突き上げる。

「それでは――――よろしくお願い申し上げますっ!」

海上に現れる魔法陣。

そこから現れたのは、一頭の巨大なクジラだ。

メイたちの船の前にやって来たクジラの背中に、メイが飛び乗った。

「おおっ! 海の移動も可能なのか!」

「アルトちゃん!」

「それっ!」

クジラの上に立つというこれまでない体験に、目を輝かせるアルトリッテ。

二人はすっかり敵船の減った海上を、大型船目指して突き進む。

当然、敵海賊船の一団は大砲を放つことでこれを阻止しようとする。

「アルトちゃん、先に行って大砲を止めてくるね!」

「む? 一体どうするつもりだ?」

「いってきます! 【ラビットジャンプ】!」

「お、おいっ!?」

そのまま海上に飛び出していくメイに、驚くアルトリッテ。

「【アメンボステップ】!」

しかしメイはそのまま海上を、水しぶきをあげて駆けていく。

「おおーっ! なんだそのスキルは!」

アルトリッテが、驚きに声を上げる。

「それっ!」

海面を駆けるメイは並走してきたカモメに笑いかけると、ここで道を違える。

次々に飛んで来る砲弾を右に左にかわして、海賊船団の端に位置する船の前に来たところで跳躍。

「敵襲だ! かかれーっ!」

「「「おうっ!」」」

甲板に乗り込んできたメイを討つため、集まって来る海賊たち。

その手にあるのはカットラス。

舶刀とも言われる、湾曲したサーベルだ。

「よっ! それっ!」

しかし一般の海賊の攻撃など、かすりもしない。

続けざまに攻撃をかわし、海賊を集めたところで【蒼樹の白剣】を振り上げる。

「大きくなーれ! 【フルスイング】!」

「「「うおおおおーっ!?」」」

甲板を払うような一撃が、海賊たちをまとめて海に叩き込む。

すると砲台に張り付いていた海賊たちも慌てて剣を取り、メイのもとに駆け込んでくる。

「【疾風突き】!」

「【アクロバット】!」

踏み込んできた海賊の突きを、バク転一つでかわして反撃。

三人がかりで飛び込んできた海賊たちの攻撃は、身体の傾け、しゃがみ、そして再度の【アクロバット】で回避。

「【モンキークライム】!」

メイはマストの上へと駆け上がり、そのまま最上段まで登ったところで跳躍。

【アクロバット】による華麗な空中回転から、剣を高く掲げると――。

「ジャンピング【ソードバッシュ】だぁぁぁぁ――――っ!!」

そのまま甲板に向けて必殺の一撃を叩き込んだ。

「「「うおおおおおお――――っ!?」」」

暴れ狂う衝撃波が甲板を一掃し、海賊たちがまとめて海に落ちる。

マストは折れ、船は全壊寸前だ。

「【ペガサス】!」

ここでアルトリッテが、人気のなくなった甲板に上がってきた。

「む、まだ大型船までは距離があるな。これは手間がかかりそうだ」

「一気に行っちゃいましょう!」

そう言ってメイは、アルトリッテの手をつかんで跳躍。

「【ターザンロープ】!」

続く船のマストの先に、ロープを飛ばして再跳躍。

「もう一回【ターザンロープ】からの【ターザンロープ】! からのー! 【ターザンロープ】だーっ!」

並んだ四つの船を、一気に跳び越えていく。

しかし一際高い大型船には届かない。

その一つ手前の船に、メイとアルトリッテは着地した。

「【ホーリーロール】!」

即座に襲い掛かってきた海賊たちを、アルトリッテが引き受ける。

聖なる軌跡を描く回転撃で一掃し、遅れて迫ってきた重装の海賊たちに向けて手を掲げる。

「【ホーリーライト】!」

足元から聖なる光の柱が突き上がり、一網打尽。

「撃てぇぇぇぇ――――っ!!」

すると甲板後方に居並ぶ海賊魔導士たちが、一斉に杖を掲げた。

そこから放たれる【フレイムボール】は多弾スキル。

数も多く、全てをかわすのはなかなか難しい。

海賊仲間すら巻き込む形での攻撃に、一瞬動きを止めるメイとアルトリッテだが――。

メイの肩を駆け上がってきたいーちゃんの放つ風が、炎球を蹴散らした。

「いーちゃんないすーっ!」

「おおっ! 助かったぞ! 【ペガサス】【ホーリーロール】!」

魔導士勢のもとに飛び込んだアルトリッテが、一気に甲板を片付ける。

「逃がすなァァァァ!!」

だが【ターザンロープ】で跳び越えられた海賊船たちは船を寄せ、メイたちを討ちに来る。

するとここでメイは、【蒼樹の白剣】を掲げた。

その視線は、今まさに迫り来る海賊船たちへと向けられる。

「いきますっ! 大きくなーれ!」

「お、おおおおーっ!」

【密林の巫女】が全開まで【蒼樹の白剣】を成長させ、その迫力にアルトリッテが思わず驚きの声をあげる。

「みんなまとめて……【フルスイング】だああああああ――――っ!!」

そのまま、掲げた剣を『船団の並び』に向けて振り降ろす。

全ての海賊船に深々とめり込んだ【蒼樹の白剣】はバキバキと音を上げ、そのまま船を両断。

猛烈な水しぶきと共に、お供の海賊船団を一撃で壊滅に追い込んだ。

「見事だーっ! メイーっ!」

拳を突き上げ、思わず歓声をあげるアルトリッテ。

「よーし、このまま大型船も叩いてやろう!」

「りょうかいですっ!」

海賊船団を壊滅させた小さな剣士二人は、笑いながら剣を掲げ合った。