作品タイトル不明
492.艦隊戦が始まります!
メイがいち早くその存在に気づいた、海賊船たち。
「すごい数だ」
続々と合流してくる海賊船がずらりと並ぶ光景は、一大艦隊の様相を呈している。
そして追って来る敵船とメイたちの悪徳貴族船に、HPゲージが現れた。
「この付近の海賊が集結って感じかしら。こっちは全滅か船のHPゲージ全損で船が大破、死に戻りってところかしらね」
「一定時間耐え切るか、逃げ込める場所に船を進めるかでクリアというところでしょうか」
「あとは戦いながら振り切るパターンだな!」
先頭の敵艦船に、ゆっくりと杖を向けるレン。
集まる魔力に揺れる髪。
【コンセントレイト】で溜めた魔力を、炎の砲弾に変えて発射する。
「それじゃあいくわよ! 【魔砲術】【誘導弾】【フレアストライク】!」
船を揺らすほどの勢いで放たれた炎砲弾は空を駆け、そのまま敵船に炸裂。
「「「うおおおおおお――――っ!?」」」
『溜め』から放った豪快な一撃は業火を上げ、直撃の海賊船を崩壊させた。
「まだまだ! 【魔砲術】【誘導弾】【フレアバースト】!」
続く爆炎も空を切り裂き直撃。
燃え上がる深紅の爆炎が、海賊船を半壊させる。
「半壊でも速度が大幅低下、大砲による攻撃も数が減るって感じかしら! 【魔砲術】【誘導弾】【フリーズブラスト】!」
レンは【魔砲術】で、敵船を次々に使い物にならなくしていく。
高い【知力】から来る一撃は、砲弾よりも恐ろしい。
「……すごい攻撃」
一発の砲弾も撃つことなく、一方的に破壊されていく海賊船にマリーカが息を飲む。
「レンの強烈な特性だな! この距離からの一方的な爆撃は!」
アルトリッテは「やれやれー!」と拳をブンブン振り上げながら興奮。
うっかり海に落ちかけて、マリーカとツバメに襟首をつかまれる。
「いい感じね! それじゃあここでさらに、本命の一撃を叩き込みましょうか!」
そう言って、笑顔で振り返ったレン。
「メイのあれ、さっそく使えるんじゃない?」
その言葉に、メイが「あっ!」と声を上げる。
取り出したのは、メイド長からもらった身の丈よりも大きなブーメラン。
「それでは、さっそくいきますっ!」
その先をつかみ、メイは甲板の上でハンマー投げのように三回転。
風切り音を鳴らしながら、目標を海賊船へ向ける。
「せぇぇぇぇの! それぇぇぇぇ――っ!!」
巨大な木彫りのブーメランは一直線に海面の上を飛び、そのまま敵船に突き刺さったかと思いきや、そのまま貫通。
「「「うおおおおおっ!?」」」
「海賊船に……穴が開きました」
一撃でHPゲージが消し飛び、砕けた海賊船は波に崩されていく。
船を貫いたブーメランは、もちろん回収に向かう必要なし。
メイが手を上げると、グルグル回転しながら戻ってくる。
これをキャッチしたメイは、さっそく第二投の準備に入る。
「もう一回いきますっ! それええええ――――っ!」
「「「うおおおおおお――――っ!!」」」
新たな船目がけて飛んだブーメランは、やや小型の船の船首に直撃しそのまま貫いた。
さらにその斜め後方にいた小型船の側部も打ち砕くと、大空へと抜けていく。
そして大きく回転してしっかり、メイの元に戻ってくる。
なんと一撃で二船を、まとめて打ち壊してみせた。
「投げ放題です」
そしてこの状況でもまだ、海賊船団は攻撃可能範囲に入れない。
「【魔砲術】【誘導弾】【フリーズストライク】!」
飛んで来た氷の砲弾が突き刺さり、浸水。
「せぇぇぇぇーのっ! それぇぇぇぇぇぇ――――っ!!」
続けて飛んで来た巨大なブーメランが、舳先を砕き飛ばして転覆。
メイたちを追う一大海賊船団は、その数を大きく減らしていく。
「む! 見ろ! 側方からも海賊船が来たぞ!」
アルトリッテの視線の先には、合流でやって来た数体の海賊船。
ほぼ真横から、こちらに向かってやって来る。
「せっかくだから大砲を撃ってみたいぞ!」
「私も撃ってみたいです」
笑い合った二人は、小走りで大砲へと駆けていく。
アルトリッテとツバメは大砲に砲弾を詰めると、狙いをつけて発射。
放たれた砲弾は、近づいてきていた海賊船に突き刺さった。
「まだまだいくぞ!」
「はいっ!」
続けて放つ砲弾が、海賊船に続けざまに突き刺さる。
「艦隊戦! これはこれで楽しいな!」
「はい。大砲を撃って戦うのは、初めての体験です」
アルトリッテもツバメも【技量】があるため、大砲の狙いはなかなかのもの。
敵船に確実にダメージを与えていく。
「……ようやく出番【霊鳥乱舞】」
トドメは、ようやく攻撃の順番が回ってきたマリーカ。
『不動のマリーカ』の名の所以は、その固定砲台のような高い火力と連射性。
放たれた無数の光鳥が一斉に敵船を打ち砕き、残りHPをすべて削り取った。
崩壊していく船。
これまでにない体験に三人がワクワクしていると、一気に距離を詰めてきた海賊船が大砲を放った。
砲弾は真っ直ぐ、甲板に向けて飛んで来る。
「おっと、そうはさせないぞ! 【ペガサス】!」
動き出すアルトリッテ。
速い移動で一気に着弾点に先回ると、【エクスブレード】を振りかざす。
「喰らうがいいっ! 【ホーリーロール】!」
飛んで来た砲弾を、そのまま華麗に斬り払ってみせた。
「お見事です!」
「……これはナイスプレイ」
船にダメージなし。
レンとメイの長距離高火力砲。
ツバメとアルトリッテ、そしてマリーカの近距離戦組。
その見事な戦いぶりは、小型船にもかかわらず脅威的な強さを誇っていた。