軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

471.戦いが終われば

『――――フロンテラ陣営、アングル陣営のリーダーが倒れました』

『――――フロンテラ大調査船団イベントは、テーラ陣営の勝利となります!』

「やったー!」

「メイーっ!」

「メイさん!」

運営のアナウンスによって、イベントの勝者が確定。

キュービィたちとの戦いを終え、駆けつけてきたツバメとレンはメイに飛びついた。

「これで島の自然も守られたんだね! よかったよー!」

抱き合いながら歓喜する三人。

メイは尻尾をブンブンさせながら飛び跳ねる。

「さすがメイちゃんだね!」

最後にきたローランも、そのまま三人の輪に飛び込んできた。

『――――残すクエストは、『巫女』による大神復活となります』

続くアナウンス。

付近一帯のプレイヤーたちは、密林の奥地にひっそりと立つ塔の前に転移した。

「よう! 無事に勝ったみたいだな!」

「ふん。この最終兵器グラムの代わりにリーダーを務めているんだ。勝って当然だな」

同じく転移で現れたのは、金糸雀とグラム。

そろった六人は思わず、そのままハイタッチ。

「……グラム結構HP減ってんな」

「う、うるさいっ。それを言うなら金糸雀は死にかけではないか!」

「二人とも無事だったんだね!」

「ふふん、当然だ」

うれしそうなメイに、グラムは得意げな顔で返す。

「おーい! みんなーっ!」

「ああっ! 『巫女』ちゃんも無事だったんだね!」

「はいっ!」

よろこびの声を掛け合う六人のもとに駆けつけてくるのは、『巫女』と同行組の面々。

仲間の無事を確認し、メイは「やったー!」とこぶしを突き上げる。

「みんなすごーい!」

「「「まかせろー!」」」

同行組も、手にした武器を掲げて応えた。

「これであとは本当に、大神の復活だけね」

レンがそうつぶやくと、テーラ族の長老と不精ひげの男が、密林をかき分けやって来た。

「お前さんたち……見事やり遂げてくれたのじゃな!」

「君たちはテーラの、この島の英雄だ!」

「……二人はこのために、集落から歩いて来てくれたのかしら」

そんなレンのツッコミに、クスクス笑うテーラ陣営。

『巫女』が先頭になって進むと、塔に絡みついていた木々が解けていく。

不思議な素材でできた塔の表面にそっと手を触れると、刻まれた紋様が輝き出し、光の柱が立ち昇った。

そして、一羽の輝く鳥が夜空に舞い上がる。

「すごーい……」

思わずレンとツバメの腕を取り、見惚れてしまうメイ。

輝く鳥はゆっくりと、塔の上に留まった。

その両翼の先には枝が伸び、美しい緑の葉が付いている。

見れば頭飾りや尾羽も同じように、木々と葉でできていた。

動物に一部植物が混ざったかのような姿は神秘的で、とても神々しい。

「この島のみんなを、自然を、よろしくおねがいします」

メイがそう言って大神の胸元に触れると、美しい翼を開いて応える。

そしてそのまま舞い上がると夜空を三周ほど回り、まるで島の見回りにでも行くかのように飛んで行く。

羽ばたく度に落ちる光燐が夜空を舞う光景に、誰もが目を奪われる。

「きれいだねー」

「本当ね」

「素晴らしい光景です」

それはテーラ陣営の勝利でしか見られないエンディングだ。

『――――大神は、テーラ族と共に新大陸を守護することを約束しました』

『――――これにて、フロンテラ大調査船団イベントは終了となります! テーラ陣営の皆さま、おめでとうございます!』

「おっ、いたいたー。野生児ちゃーん」

「はうっ!」

大規模イベントの終わりを告げるアナウンスと共に、駆けてきたのはアンジェラ。

「なあなあなあ、あの野性全開モードには制限時間とかってねーの?」

「ご、ございません……そして野生児でもございませんっ!」

「マジか……」

野生児モードをしっかり見られたことを思い出して顔を引きつらせるメイと、その野生児モードが制限なしだということに引きつるアンジェラ。

「負け知らずでお馴染みの七新星が、野生児ちゃんたちにはしっかり負けちゃったわねぇん」

「まったくですな」

「ココも最後の戦い参加したかったのー!」

「アンジェラが本気で戦ってまで負けたのは、初めてじゃないっすか?」

「そうだろうねぇ」

「うむ、恐ろしい話だな……」

駆けてきた、小さな格闘少女ココ。

それに続くのは翔二郎、キングマン、アルマーダたちだ。

「おつかれー」

さらに、桜子を始めとしたアングル陣営のトップも集まってきた。

テーラ組の人数は少ないが、その『強さ』は格別。

やはり最少人数で勝ち抜いたメイたちに、誰もが興味津々のようだ。

「メイちゃんとも戦ってみたかったなぁ!」

「本当だよなぁ」

元々メイの活躍を追っていた瑠璃花は、メイを見つけて目を輝かせる。

「ていうか、いくらなんでもコンビネーション上手く決まりすぎじゃないか?」

首を傾げる桜子に、ローランが応える。

「ヤマトで戦ったことで、お互いの手の内はほとんど知ってたからね」

「前から神槍、後ろからアサシンちゃんの時は、もう時間がゆっくりに見えたよー!」

「やっぱ人は死を覚悟した瞬間、世界がスローモーションに見えんのか」

「分かる。トドメのハンマーを喰らうあの瞬間を、ゆっくり味わえた……」

「何の『分かる』なのよ」

深くうなずくアトラクナイアに、ツッコミを入れるレン。

「……あら? スライムも同じ陣営だったのね」

「本当ですね」

「こいつが『巫女』の護衛戦で、大活躍してくれたんだ」

「すごいです。魔法学校の時も活躍していました」

「やるじゃない」

「そ、そんなことないぽよ……っ」

ツバメとレンの視線に、思わずぼよんぼよんするスライム。

謙遜しているのか、調子に乗っているのかまるで分からない動きに、同行組が笑い出す。

「そしてこの子が……あれ?」

「迷子ちゃん、またこのタイミングで消えてるぞ……!」

テーラ組掲示板派の剣士が驚きの声を上げる。

これにはもう、誰もが苦笑いだ。

「うおおおおっ!?」

そんな中、突然叫び声をあげたのはアンジェラ。

どうやらカメレオンが、しれっとこの場にやって来たようだ。

「だから急に出てくんなよ! おめーのせいで召喚二連発喰らったんだぞ!」

その表面をバシバシ叩くが、カメレオンは我関せずだ。

その姿に、いよいよトップ勢も笑い出す。

するとまるでそれを合図にしたかのように、集まり出す動物たち。

ヘビの姿にキュービィが真顔になり、陸ガメの大きさにココが驚く。

そして最後に、イタチがメイの肩に乗った。

「皆さん、ありがとうございましたーっ!」

メイとイタチが一緒に頭を下げると、自然と拍手が鳴り始める。

その姿を見つけて、さらに集まって来る参加者たち。

どうやらイベント後の熱はまだまだ醒めず、歓談はしばらく終わらないようだ。