軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

458.戦いの始まりです!

戦いは、誰ともなく走り出したフロンテラ・アングル連合軍の前衛たちから始まった。

「行くぞォォォォォォ――――ッ!!」

「「「ウオオオオオオオオ――――ッ!!」」」

その先頭を駆けるのは、厚い防具に身を包んだ前衛たち。

テーラ陣営へ向けて一直線に、砂煙を上げながら突撃してくる。

背後に続くのは、軽装の前衛。

そして最後尾には、弓術師と魔導士たちといった後衛の一団がひしめく。

「タンクで守りつつ戦線を押し上げて、魔法と弓で削って崩す。そこに速い前衛たちが一気に突っ込んでくるっていう感じかな?」

「そういう事みたいね」

ある程度開けているとはいえ、木々の茂る緑の地。

テーラ陣営最後尾に付けたレンとローランは、樹上から敵陣を眺めつつ戦況を予想。

「そうそう、【魔砲術】でMPが怪しくなったら、遠慮なく【吸魔】してね」

「え、でもそういうわけにも……」

「実はね、移動していないと自動でMPが回復していくスキルを取ったんだ。だから大丈夫だよ」

「……っ」

そう言ってちょっとだけ得意げに「えへへ」と笑うローランに、思わず歓喜の笑みがこぼれる。

すると重い足音を響かせる敵の前衛たちが、攻撃可能ラインを越えた。

レンは【知力】の上がる【ワンド・オブ・ダークシャーマン】に杖を持ち換え、構える。

「始まりはやっぱり、派手な方がいいわよね――――【コンセントレイト】!」

集中していく魔力が揺らぎ、レンの長い銀髪が揺れる。

そしてローランに一度、合図を送ると――。

「あますことなく喰らってもらうわ! 【ペネトレーション】【魔砲術】【フレアバースト】!!」

夜空をまばゆく照らす業火が、杖の先から猛烈な勢いで放たれた。

「来たぞ! 守れぇぇぇぇ!!」

「とにかく前衛はしっかりラインを押し進めるんだ! このまま接近できれば戦況は有利になる!」

飛来する魔法に前衛組が防御を固める。しかし。

「「「うわああああああ――――っ!?」」」

「……な、なんでっ!?」

前衛の陰に隠れて進んで来ていた軽装の前衛たちも、まとめて焼き尽くされた。

驚きに混乱する敵前衛組に向けて、さらに次の一撃が放たれる。

「【速射】【裂空一矢】【バーストアロー】!」

立て続けに三本の矢が空を駆け抜け、生き残った前衛組に突き刺さり炸裂。

タンクたちの陣が崩れていたことで、いきなり大きな損害が生まれる。

「装備、変えてるのね」

「こういう時に使う矢も、あった方がいいかなと思って」

なかなかに高額な属性矢の中でも、特に高級品の【爆裂矢】

【バーストアロー】で放った際の威力は、なんと加算計上。

ローランも弓術師として、遠距離攻撃力をしっかり上げていた。

「い、急げ! 急いで陣を立て直すんだ!」

「この穴を攻められたら、一気に押し込まれるぞ!」

大慌てで陣形を取り直そうとする連合軍。

だが、そんな隙を二人が逃すはずもない。

「【ペネトレーション】【魔砲術】【フレアバースト】!!」

「【速射】【裂空一矢】【バーストアロー】!」

「「「うわああああああ――――っ!!」」」

すぐさま飛んで来た二発目の【魔砲術】と【裂空一矢】が、陣に新たな大穴をあける。

そんな連続攻撃に、いよいよ前衛が大崩れとなったところで――。

「【バンビステップ】!」

「【ソニックドライブ】!」

駆け込んで行くのは、脅威の破壊力を持つテーラ組の最強コンビ。

「【グングニル】!」

「「「うおおおお――――っ!!」」」

早くも散り散りになり始めた前衛たちを吹き飛ばしたところに、飛び込んできたのはメイ。

「【ソードバッシュ】!」

「こ、これが噂の……うおおおおおお――っ!!」

「まだまだいきますっ! 【ソードバッシュ】からの【ソードバッシュ】だあ――っ!」

「「「わああああああ――――っ!!」」」

凄まじい勢いで数を減らしていく敵前衛組。

テーラ陣営の攻撃力はすさまじく、巻き込まれただけの後衛もまとめて退場。

この隙にレンとローランは前進し、戸惑う後衛の一団に狙いを定める。

こうなってしまうと移動力や防御力に劣る後衛組はもう、後退するか隠れることしかできない。

また、わずかな隙間をついて突き進んできた前衛は――。

「【電光石火】!」

ツバメや金糸雀が単騎で潰しにいくという形で片付けていく。

これによって、『巫女』への接近も許さない。

「行こう、ナイアちゃん!」

「……ん、りょうかい」

一方的に数を減らされるだけの連合軍。

そうなれば当然、『この戦況を作り出している者』たちを倒すためにトップ勢が出ていかざるを得なくなる。

敵陣から抜け出してきたのは、髪を二つのお団子にした瑠璃花と、肩までのピンク髪に赤いリボンのアトラクナイア。

トップと呼ばれる二人の少女だった。

「行くぜ――」

その姿に気づいたのは金糸雀。

かつてメイたちの前に立ちふさがった時の様に、ハンマーを持ったまま近くの高い木に登り、ドキドキしながら接近を待つ。

そして、程よいところまで来たところで――。

「やっぱり登場はこうじゃなきゃなぁ!」

「「ッ!?」」

大きく跳躍。

枝から飛び降りて来た金糸雀は、神秘的な文様の掘られたハンマーをそのまま振り上げる。

「いくぞォ! 【ギガントハンマー】ァァァァァァ――ッ!!」

直後、巨大化したハンマーが地面に深く突き刺さり炸裂。

大量に立ち昇った土煙が、ゆっくりと晴れていく。

こうして瑠璃花とアトラクナイアの前に立ちふさがった金糸雀はハンマーを担ぎ直し、二ッと笑ってみせる。

「ここを通りたきゃ、あたしを倒してからにしてもらおうか!」