軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

459.唸れハンマー弾けろ魔法!

目前で叩きつけられたハンマー。

元々身の丈ほどもある武器をさらに巨大化して放つ【ギガントハンマー】は、土を派手にまき上げ足元を大きく揺らす。

「「ッ!!」」

その勢いに転倒した瑠璃花と、パイルドライバーを喰らったかのようにひっくり返ったアトラクナイアは、慌てて立ち上がる。

メイとグラムの攻勢と、レンとローランの援護。

怒涛の攻撃によって一方的に壊滅させられていく連合軍を見て、トップの面々はテーラの中心メンバーを直接叩きに動いていた。

金糸雀がぶつかったのは、アングル陣営のトップ二人。

「テーラのメンバー。この場所に単体で来るってことは……中心人物の一人だね!」

「まあな!」

瑠璃花はすぐに、両手に短剣を構える。

「【輝刃降臨】!」

伸びる刀身は、魔力光。

これによって短剣の速い攻撃に、範囲と攻撃力を上乗せするのが瑠璃花の戦い方だ。

「いくよっ! 【双刃乱舞】!」

「おっと! 【アクセルスウィング】【キャンセル】【アクセルスウィング】!」

長さ2メートルの光刃で放つ、速い四連撃を斜め前方への移動攻撃でかわしてキャンセル。

そのまま身体を半回転して、すぐさま返しの一撃を叩き込みにいく。

「オラァァァァ――――ッ!!」

「くうっ!」

【腕力】にステータスの多くを振っている金糸雀の一撃は、地面を弾くことで生まれる衝撃と強烈な風圧で、敵に当たらずとも体勢を崩す。

これによってたとえ外れても隙を狙われにくくなるという、パワーファイターらしい攻めを見せていく。

両者が共に晒した隙。

次手を取ったのは、【敏捷】型の瑠璃花だった。

「【稲穂狩り】!」

続く二連発の水平斬撃が、高速で迫りくる。

「うおっ!」

金糸雀は慌ててその場にしゃがみ込み、ギリギリのところで光刃の通過を見送った。

「【幻燈錬機】【炎舞】」

アトラクナイアが追撃を放つ。

槍の穂先を灯篭に換えたかのような、風変わりな金属製の武器を回転させると、そこから生まれた四つの炎球が金糸雀へ向かう。

「【アクセルスウィング】【キャンセル】!」

金糸雀はこれも、横への移動でかわして立て直すが――。

「……うわっ!?」

炎球は弾道を変え、そのまま金糸雀の方へと方向転換。

「追尾!? 噂でしか聞かないレベルの技じゃねーかっ! 【アクセルスウィング】【キャンセル】!」

喰らえばダメージだけでなく、大きく体勢を崩す炎球。

だが逃げ回ることもまた、速い瑠璃花の格好の的となる。

「――――【輝刃降臨】【瞬天一殺】!」

「ッ!!」

一瞬で伸びる15メートルの光刃。

長く速い一撃は、初見での回避がとにかく難しい。

しかしすでにこのスキルの情報をグラムに聞かされていた金糸雀は、これを横っ飛びで回避。

完全回避はならなかったが、1割弱のダメージで済ますことに成功した。

「ありがとよグラム! 事前情報が役に立ってくれたな【アクセルスウィング】【キャンセル】!」

思わず口をつく言葉。

しかしアトラクナイアは攻撃の手を緩めない。

「【氷舞】」

「おっと!」

【幻燈錬機】から放たれた四つの氷刃を慌ててかわすと、逃げた先には迫り来る瑠璃花の姿。

「やっぱ二対一はきちいなぁ……!」

近接高速型だけならまだしも、そこに追尾の援護が入るというのはやはり厳しい。

駆け込んできた瑠璃花の放つスキルエフェクトに、追いかけてくる氷刃を気にかけつつ【アクセルスウィング】での回避を狙う。しかし。

「【影縛り】!」

「マジかよ! 夜にそれ使うかっ!?」

瑠璃花が使用したのは攻撃ではなく、稀にしか見ない拘束スキル。

灯る無数の篝火によってできた影に、【影縛り】用の短剣がしっかりと突き刺さっていた。

「今後こそっ! 行こうナイアちゃん【瞬天一殺】!」

「今がチャンス【幻燈豪炎撃】!」

繰り出される光刃の高速突き。

アトラクナイアの掲げた【幻燈錬機】にも、ごうごうと炎が灯る。

どうやらこの武器は、打撃にも使用可能のようだ。

「……まずっ!!」

防御もできない、完全な無防備状態。

これにはさすがに金糸雀も、大ダメージを覚悟する。

「高速【フレアストライク】っ!!」

「「ッ!!」」

炸裂する炎の砲弾。

巻き起こる爆炎に弾き飛ばされた瑠璃花は大きく弾かれ、アトラクナイアはゴロンゴロンと地面を転がって「きゅう」と鳴いた。

【幻燈錬機】から放たれていた氷刃も、弾けて消える。

「間に合った! ここからはコンビネーションでいかせてもらうわ!」

「助かったぜ!」

「高速【連続魔法】「フレアアロー】!」

放つ四連続の炎矢はビームのような軌道で、一直線にアトラクナイアのもとへ。

「おわあわわ……っ」

真顔なのに慌てた声で、これを決死の回避。

一気に距離を詰めてきたレンに驚きながら、【幻燈錬機】を振り上げる。

「【幻燈氷蒼撃】」

【腕力】は低いアトラクナイア。

ならば大型の武器の振り回しをかわすのは、そう難しくない。

距離を詰めたレンは叩き付けと同時に地面から突き上がる氷塊をかわし、そのまま一気に踏み込んでいく。

「【魔剣の御柄】【フリーズストライク】!」

魔力の刃による斬りつけは、スレスレでかわされた。

さらにもう一歩踏み込んでの薙ぎ払いも、大きなバックステップで回避。

だが、狙いはここだ。

「【開放】!」

「ぬええッ!?」

解き放たれた氷砲は、着地際の隙を突く。

これを喰らったアトラクナイアは、またもゴロンゴロンと転がって「きゅう」と鳴く。

一方の金糸雀も、瑠璃花の素早い攻撃に【アクセルスウィング】移動で対応。

「【稲穂狩り】!」

放たれた回転撃の下をくぐり、即座にハンマーを振り回す。

「早い攻撃にタイミング合わせるのは得意なんでね! 【ギガント・ハンマー】!」

「きゃあっ!」

かすめただけで4割ものダメージを負い、【腕力】依存の恐ろしさを思い知ることになった。

「闇の使徒ちゃんが来た途端にこの安定ぶり、やっぱりメイちゃんのパーティはヤバいね」

「……瑠璃花、ここで使う」

「うんっ!」

思った以上のレンの強さに、押され出すアングル組。

アトラクナイアは意を決したように左手を伸ばす。

途端に吹き上がる、猛烈な炎柱。

「来たれ炎の魔神――――イフリート!」

灼熱の炎の中から現れたのは、高さ6メートルほどの角を生やした巨人。

「召喚術師だったの!?」

通常戦闘用の【幻燈錬機】に加えて、召喚獣を呼んで戦う。

どうやらこれが、アトラクナイアがトッププレイヤーたる所以のようだ。