軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

457.最後の戦いが始まります!

『――――新大陸調査イベントは、最終クエストに入ります』

『――――大神の目覚めをなせるのは、起動キーを持つ者だけ』

『――――目的を達成した時点で、テーラ陣営の勝利となります』

「冒険者たちよ! 古きテーラ族を止め、大神を奪うのだ! さすれば我らに好機がやってくる! アングル族がこの大陸を手にすることができるのだ!」

叫び声をあげるのは、大陸を砦に変え、外洋の支配をも目論むアングルチカ。

その声に背を押されるようにして進むのは、アングル陣営の全勢力だ。

『――――守り神によって守護された、テーラ陣営』

『――――リーダーの打倒と、起動キーの奪取に成功すれば、逆転することも可能です』

「最後は本当に力勝負だなぁ」

「でも、あの機動力で隠れて進まれたら厳しくないかな?」

「そこは気を付けておいた方がいいかもな。ただ今回はこの人数だし、『巫女』に機動力自体はないはずだろ?」

先頭は青の腕章をしたアングル陣営、代表の桜子たち。

向かう先は、大神の眠るジャングル中央の小さな塔。

木々に飲み込まれた古き塔に、守り神の加護と起動キーを持ち込み祈ることで大神は復活する。

「我らフロンテラ王国は、冒険者諸君に大いなる報酬をもって応えよう! この地を開き第二のフロンテラとした際には、さらなる立場を与えること約束する!」

フロンテラ船団を率いる団長の声が響き渡る。

「やっぱこのノリだよなー! 俄然やる気出てきたんですけどー!」

目をギラギラと輝かせているのは、妖刀使いのアンジェラ。

「まったくですな。カチコミは血がたぎりますぞ」

続くメガネ少女の摩訶羅那も、腰のベルトに提げた魔法石製のペンデュラムを手に取り気合を入れる。

お祭り好きそうなアンジェラと、インドアそうな摩訶羅那が笑い合う。

続く道に燃える無数の篝火は、大神のもたらす力。

月の輝く夜、集まった大量のプレイヤーたち。

ここでフロンテラ陣営とアングル陣営は、合流を果たす。

「アングルのみなさぁん、今回もよろしくねぇん」

「おうよ、今度こそやってやろうぜ」

妖艶な笑みを向けられて、桜子も気合を入れる。

「なんだかワクワクしちゃうね」

「……お祭り感ある」

そんな中でもマイペースなアトラクナイアは、大量の同盟軍を振り返りながらつぶやく。

「テーラはここでぜってー止めるし。ていうか、野生児ちゃん一人倒せば状況は変わってくんだろ?」

アンジェラは分かりやすく、目標をメイの打倒に設置。

「あたしに任せていーよ。野生児ちゃんはしっかり潰すから」

「悪いけど、そいつは譲れねえなぁ」

フロンテラ陣営リーダーのアンジェラと、アングル陣営リーダーの桜子は隣り合いながら進む。

居並ぶフロンテラのトップ3人と、アングルのトップ3人。

奇しくもその数は、テーラの中心メンバーと同数だ。

「テーラの有名どころは、あたしたちに任せちゃっていーから!」

「標的はリーダーの打倒と『巫女』! みんなは援護を頼むぜ!」

叫んで二人は、手にした武器を掲げる。

「「全軍出陣だぁぁぁぁぁぁ――――!!」」

「「「ウオオオオオオオオ――――――ッ!!」」」

そして夜の密林に、激しい雄たけびが上がった。

満月を水面に映す、湖の前。

『巫女』である羽飾りの少女は、うれしそうに笑みを浮かべる。

「みんなが来てくれて、本当によかったよ」

「長きに渡って共に生きてきた島の神々と、美しい大自然を守る冒険者。貴方たちは我らにとって、守り神のようだ……」

長老に至っては、歓喜に天を仰ぎ出す。

「力を貸してくれ。俺たちはこの島の自然を、生き物たちを守りたいんだ。欲望のままに振る舞う欲深き者たちから!」

「おまかせくださいっ!」

7年にわたってジャングルの平和を守り続けた『同士』メイ、これには気合が入る。

変わらず人数の少ないテーラ陣営。しかし。

「あっ!」

茂みから顔を出したのは、メイたちの『像』破壊に一役買ったイタチ科。

さっそくメイも、その横に並んで茂みから顔を出してみる。

「「かわいい」」

思わず声が重なるツバメと金糸雀。

メイが立ち止まれば、そこに動物たちもやって来る。

なんとその中には、【輝石】の守護をしていたカメレオンの姿もある。

さらに湖のほとりでのんびりしていた陸ガメも、メイたちのもとにやって来た。

動物も魔獣も関係なく、集うテーラの仲間達。

あとは密林を進み、大神を目覚めさせるだけだ。

「よーし! それではいきましょうっ!」

「このグラムがいるのだ、勝利以外はありえないぞ」

「六人で一緒に戦うとは思わなかったね」

「本当です」

「今にして思えば、ここもフロンテラとアングル陣営が本命で、この新大陸の在り方自体が変わってしまうって形のイベントだったんでしょうね」

「はー、そんな規模のイベントだったんかぁ」

「皆一緒でって楽しいね! ワクワクしちゃうよー!」

「このグラムと一緒なのだから、よろこぶのは当然だな」

笑いかけるメイにグラムはしっかり乗せられて、得意げに胸を張る。

「あはは。もうメイちゃんは、名実ともにグラムの弱点だよね」

「本当だよな」

「おいやめろ」

打倒メイに燃える敵リーダーと、テーラ壊滅に向けて気合を入れる敵陣営プレイヤー。

一方のテーラ組は、ただただ楽しそうだ。

メイの尻尾もブンブンと大きく揺れている。

そしてメイたちが進めば、森の動物や守り神たちも動き出す。

「……ヤマトの参加者からしたら、負ける気が一切しない布陣なんだけど」

そんなメイたちの背後に続くのは同行組。

目の前には、並んで進む六人の姿が見える。

いまだ敵陣との人数差は圧倒的だ。

それにもかかわらず、動物たちを引き連れて進むメイたちの背を見ればもう、負ける気などしない。

やがて進むテーラ組のもとに聞こえてくる、激しい雄たけび。

フロンテラ調査船団の外洋航海から始まった、大型対戦イベント。

フロンテラ領として開拓されるのか、アングル族の本営として要塞と化してしまうのか。

新大陸の行く末を決める最後の戦いが今、幕を開けた。