軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

455.キュービィちゃんとココちゃんと

密林の奥地、七新星のキュービィたちは空からの索敵で『巫女』を連れて逃げるレンたちを発見。

その道筋に立ちふさがると、あざとい笑みを浮かべてみせた。

背後には、引き連れてきた親衛部隊。

「それじゃあ巫女ちゃんを狙うのは、みんなに任せてぇ……」

キュービィはそう言って背を向けると、突然振り返った。

「なーんちゃって」

「「「ッ!?」」」

振り返った手から放たれたのは【真空刃】

「えーいっ」とふざけたノリで放つ攻撃は、いきなりの『巫女』狙い。

容赦のない攻撃に、その場にいた全員が虚を突かれた。

「うおおおおおおお――――っ!!」

そこに飛び込んだのは、テーラ組の剣士。

慌てて『巫女』を抱えて転がる。

間一髪。

剣士は大きなダメージを受けたものの、『巫女』を攻撃から守ってみせた。

「やんやん。意外とやるじゃなぁい。それじゃ、あらためて『巫女』の相手はよろしくねぇん」

「了解です! ほーら行くぞ、【真空突き】だぁぁぁぁ!」

どこか舐めた態度なのは、準トップ級のレベルを持つがゆえの自信。

「【シールド・バッシュ】!」

放つ豪奢な槍の一撃に立ち向かったのは、一人の騎士。

決して強力ではない盾の攻撃はしかし、敵の物理攻撃を弾く効果を持つ。

「うおおっ!?」

両者が弾かれ合ったところに飛び込んで行くのは、同行組の前衛たちだ。

「【ファストステップ】【ブレイドラッシュ】!」

「【ライトニング・エクスプロード!】」

「……マジかよ」

倒れる敵の槍使いを前に、同行組は静かに『巫女』を守るための陣を組む。

「いくぞ」

「「「おうっ!」」」

そしてまさかの反撃に驚く腕自慢たちに、気合を入れ直して挑みかかるのだった。

「そんじゃ、こっちも始めるか」

「そうね」

レンは手にした杖をキュービィへ向けると、そのまま先手を打ちにいく。

「高速【誘導弾】【連続魔法】【フレアアロー】!」

放たれた炎の矢たちは高速で突き進み炸裂。

燃え上がる炎は、キュービィを飲み込み消失した。

「消えた!?」

姿を消したと思われた直後、現れたのは二人になった妖艶なお姉さんの姿。

「本物はどーっちだ?」

「知るかよそんなのっ! 【アクセルスウィング】!」

しかし確かに叩き込んだはずの一撃はすり抜け、キュービィの幻影が再び掻き消える。

「はーずれんっ!」

「マジかよ!!」

そこに飛び込んできたのは、背後に控えていた白竜。

強烈な尾の叩き付けに慌てて防御に回る金糸雀だが、ダメージが入らない。

「なんだ……!? どうなってる!?」

「実はそれも――――偽物なのん」

「なにぃっ!?」

「いっきまーすっ!」

この隙を突き、速く長いステップで踏み込んでくるのはココ。

【ブーストブーツ】による高速接近で懐に潜り込み、そのままくるりと両手を開いて可愛く一回転。

「【ギガ・インパクト】だーっ!」

「うおおおおおお――――っ!?」

突き出された右の手甲から生まれた爆発が、付近の木々が揺らぐほどの衝撃を生み出す。

弾き飛ばされた金糸雀は【耐久】も高いが、HPは一撃で3割も飛んだ。

ココはすぐさま追撃に駆ける。

「高速【誘導弾】【フレアストライク】!」

「うわーっち!」

レンによる援護に、慌てて足を止めるココ。

巻き上がる炎と煙の中を駆け抜け、金糸雀はあえてキュービィの前へ駆け込んで行く。

「もう一回、イチかバチかだ!」

すでに二人に化けているキュービィ。

今度はその右側を叩きにいく。

「あら、今度は正解よぉん! でも……っ」

クスッと妖しく笑うと、キュービィは手にした大鎌をそのまま振り払う。

「「ッ!!」」

「従魔士なのに、本人もすーっごく強いから七新星なのよん」

レンと金糸雀は慌ててその場に伏せ、通り過ぎて行く波紋型の空刃をかわした。

わずかに遅れて、付近の木々が斬られて落ちる。

「実はもともとかけ持ちゲーマーでねぇん、アンジェラちゃんを『星屑』に誘ったのはキュービィちゃんなんだもん。弱いわけないでしょう?」

七新星の登場以前から『星屑』のプレイヤーで、従魔士としてハイレベルだったキュービィは、その後レアな【幻術士】を見つけて転向。

従魔の白竜と幻術を混ぜた、類を見ない戦闘法を編み出した。

「あぶなかったー!」

このコンビネーションは毎回頭に斬撃が当たりそうでドキドキするココは、【ブーストブーツ】による速い移動で飛び込んでいく。

「ぶっ飛ばしちゃうぞー! 【マッハブロー】だ! おらおらおらーっ!」

異常に隙の少ない左の手甲による高速連打で金糸雀を叩き、ハンマー振り上げによる反撃を速い移動で回避。

「【連続魔法】【フリーズボルト】!」

続くレンの援護も直線高速移動で回避して、再び金糸雀の前へ戻っていく。

「だああっ! グラムのソニドラみてーだな!」

「ほらほらどうしたのん? このままじゃ『巫女』ちゃんを奪われちゃうわよん」

「いただいていっちゃいましょうーっ!」

クスクスとからかうように笑うキュービィと、とにかく楽しそうなココ。

どうやら【ブーストブーツ】に移動を任せた分、【腕力】を高めに設定しているようだ。

速い連打で、しっかりと金糸雀を削っていく。

「アビヤードちゃん! おねがいっ!」

呼ばれた白竜が吐き出す、白のブレスは猛吹雪。

「いただいちゃいますっ!」

これに合わせてココが、一気に金糸雀を落としに来る。

「【ギガ・インパクト】だーっ!」

「金糸雀! 今よっ!」

「――――【不動鉄観音】!」

叩きつけられる手甲付きの拳から、巻き起こる強烈な爆発。

その威力は折り紙付きだ。しかし。

吹雪と爆破の拳を、金糸雀は一人で受け止めてみせた。

【不動鉄観音】は攻撃ダメージを大幅減し、その場から一ミリも動かない動けないというタンク向けスキル。

「「ッ!!」」

拳が止まり、隙を晒したココがハッとする。

「調子に乗りすぎたみたいね!」

ココは単純に戦闘能力が高いプレイヤーで、絡め手タイプではない。

先にこちらを落とせば、状況は一気に楽になる。

レンの腕に巻かれた包帯が宙を舞う。

輝く右手に宿るのは、強い魔力の光。

「全弾斉射! 高速【誘導弾】【ファイアボルト】」

「ッ!!」

数十発の炎の弾丸が、一斉にココを狙い撃つ。

視界を埋め尽くす炎の流星群は速く、そして『誘導』付き。

直線高速移動では、全てをかわすことなど不可能だ。

「きゃああああっ!」

「今だ! 【アクセルスウィング】【キャンセル】!」

そこにすかさず飛び込んできたのは、硬直が切れたばかりの金糸雀。

「喰らえぇぇぇ! 【ギガントハンマー】!」

巨大化したハンマーの回転ぶん回しが、ココを弾き飛ばす。

砂煙と共に地面を転がり、落下した先には【フリーズブラスト】の魔法陣。

「きゃああああああ――――っ!!」

「マズいわ……ねぇんっ!」

おとずれた危機に、キュービィが動き出す。

「そうはさせないわぁん」

白竜をココの前に立ち塞がらせ、守りに入る。

向けられた笑みに対して、レンは【銀閃の杖】をそのまま白竜に向け、余裕の笑みで返してみせる。

「その子で私を止められるのかしら? 【ペネトレーション】【フレアバースト】!」

「「ッ!?」」

放たれた爆炎は白竜に直撃し、さらにその後方まで突き抜け炸裂。

守られていたはずのココを消し飛ばした。

「そんなあーっ!!」

そのまま倒れ伏したココは、粒子となって消えていく。

「ココちゃあーん! ……野生児ちゃんだけかと思いきや、お友達も侮れないわぁ!」

見事な攻撃力を見せていたココが消え、これで戦況は一転。さらに。

「野性児で……ざい……せーん!」

「メイっ!?」

「「「メイちゃん戻ってきたぁぁぁぁ――――っ!!」」」

【聴覚向上】によって聞きつけてあげた叫び声に、レンたちが視線を上げる。

「【ソニックドライブ】【グングニル】!」

即座にキュービィを敵と判断したグラムは跳び上がり、神槍を投じた。

「あれぇ、グラムちゃんもいたのぉん?」

キュービィは飛来する【グングニル】を二歩ほど下がってかわし、パンと手を打った。

「さすがにこの状況はきびしいわぁ、ここは撤退させてもらうのんっ」

「逃がすかあっ! 【ソニックドライブ】」【雷光砲】!」

「逃がさないわ! 高速【誘導弾】【フレアストライク】!」

炸裂する二人の魔法攻撃。

しかしその隙間を、白竜に乗って抜け出してきたキュービィはウィンクを一つ。

「まったねぇーん」

そのまま自陣へと帰っていく。

親衛部隊もすでに数を減らしており、同行組の守りを崩せないまま逃げ出そうとするが――。

「いきますっ! 【ソードバッシュ】!」

「や、ヤバいぞ!」

「「「お……おおおおおお――――っ!?」」」

やって来たメイの一撃に、まとめてとどめを刺されたのだった。

「た、助かったぁ……」

準トップ級を相手に決死の防戦。

どうにか『巫女』を守り切った同行組は、座り込んで安堵の息をつき――。

「おおーっ! 『巫女』ちゃん無事だったんだね! みんなすごーい!」

「このくらい余裕さ」

「メイちゃんに託されたら、守り抜かないわけにはいかないからな」

「ああ、まったくその通りだ」

目を輝かせながら拍手するメイを前にすぐさま立ち上がり、カッコをつけてみせたのだった。