軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

445.三人のトッププレイヤー

「恐ろしい強さだな……噂は尾ひれがついて大きくなるものだが、噂よりも遥かに強力だ」

「本当だねぇ」

「だが見た感じ『大技』が多い。スキルの構成的に考えれば、そこにさえ気を付ければどうとでもできるはずだ」

「そんで僕たちは近接の方が得意と。案外いい感じでいけちゃったりするかもねぇ」

「三人いれば、負ける気がしないっす」

「もちろんだ。七新星が3人いるのだからな。敗北など……ありえない」

別ゲームから移ってきて、すさまじい速度で上り詰めてきた七人の新星。

負け知らずの三人が、野生児メイを狙って動き出す。

「いきますっ!」

一方メイはいまだ戦いの最中。

高速移動を得意とする武闘家を前に剣をしまうと――。

「【キャットパンチ】! パンチパンチパンチ!」

放たれた赤い炎の拳をかわし、お返しとばかりに叩き込む青い炎の猫パンチで圧勝。

「【バンビステップ】!」

すでに前衛後衛は、入り乱れた状態。

高速ステップで一気に迫り、キャットパンチの連打で魔導士たちも打ち倒す。

そして足の遅い前衛たちが、目前にやって来たところで――。

「【装備変更】【フルスイング】!」

剣を取り出し、回転を伴う形での一撃。

【狐火】によって巻き起こった青い炎の爆発が、集まってきていた重装の剣士たちを吹き飛ばした。

「先行するっす! 【チャージ】【アクセルブレード】!」

飛び散る青い炎の中に飛び込んできたのは七新星の一人、翔二郎。

「うわっと!」

強風を巻き起こしながら迫る一撃を、メイはサイドステップでかわす。

ここに続けて飛び掛かってきたのは、キングマン。

「【サンドバースト】!」

「わあっ!?」

得意の砂塵攻撃で、メイの視界を奪う。

驚きこそ、メイを崩すための最有力手段。

生まれた隙を突き、得意のコンビネーションへとつないでいく。

「【ファイナル・ストライク】!」

強烈な輝きと共に、翔二郎が武器破壊の一撃を叩き込む。

視界を奪い、どこから放たれるのか分からない必殺スキルで敵を討つ。

それは数々の上位プレイヤーたちを打ち倒してきた、いやらしいコンビネーションだ。

「【装備変更】【裸足の女神】!」

対してメイは、頭装備を【鹿角】に変更。

『音のした方』に全力で駆け出すと――。

「……えっ?」

今まさに必殺の一撃を振り降ろす翔二郎の真横を、風のように通り過ぎた。

メイはくるりと一回転して、再び走り出す。

「とっつげきー!」

「うあああああーっ!!」

武器破壊攻撃を外した翔二郎の背中に、【突撃】を叩き込む。

「翔二郎っ!?」

砂ぼこりの中から転がり出てきたのは、まさかの翔二郎。

予想外の事態に驚くキングマン。

メイはこの隙を突き、追撃に走り出す。

「【ソードステーク】!」

「ッ!! 【ラビットジャンプ】!」

突然真横から出てきたのは、深蒼鎧の大剣使いアルマーダ。

長い突進から突き出された大剣の一撃は、そのまま前方に強烈な衝撃波を巻き起こす。

メイは空中で体勢を整えて着地。

するとそこには、すでに詰めていたアルマーダの姿。

大きな踏み込みから大剣の振り上げ、振り降ろし、そして回転斬りへとつなぐ。

これをかわしたメイが、反撃に出ようとすると――。

「【飛刀】!」

「わあっ!?」

それは振りかぶるモーションを必要とせず、いきなり高速で剣を飛ばすというスキル。

この一撃は完全にメイの虚を突く形となった。しかし。

「そーれえっ!!」

上体を思いっきりそらすことで、鼻先をかすめるほどのスレスレを回避。

「ッ!?」

まさかの展開に虚を突かれたのは、アルマーダの方となった。

「こりゃ全員同時にいくしかなさそうだねぇっ! 【双砂刃】!」

予想以上の柔軟な回避を見せるメイに、キングマンが二刀流で放つ二連の砂刃。

「【バンビステップ】!」

これを細かなフットワークでかわしたところに、翔二郎が猛然と迫る。

「【アクセルブレード】!」

大きな踏み込みから突き出される剣を、足の引き一つで回避する。

ここでアルマーダは【飛刀】で飛ばした大剣に代わる新たな剣を持ち、さらにカイトシールドを構えて続く。

「【大回転】!」

大きな刃で放つ回転撃を、しゃがんでかわす。

するとほとんどノータイムで、続けざまの盾スキルを叩き込みにきた。

「【ヒートシールド】!」

燃え上がる盾を上段から。

剣スキルではなく盾のスキルを続けることで、まるで二刀流のような速い連続攻撃が可能。

それはアルマーダ得意の連携だ。

「うわっと!」

メイはこれを大きなバックステップでかわしにいく。

燃え盛る火炎は範囲も広く、前髪が熱波に揺らされる。

それでも早い判断で回避を成功させたメイに、キングマンが襲い掛かる。

「【バックスタブ】」

「ええっ!?」

その攻撃スキルは目前まで来たところで突然砂を舞い上げ姿を消し、次の瞬間に敵の背後から一撃を見舞うという最高の初見殺しだ。しかし。

踏み込む足の音が、メイに攻撃を察知させる。

「うしろっ!」

メイは迷わず跳び込み前転。

必殺の刺突攻撃を、見事に回避した。

「おいおい嘘でしょうっ!?」

「今度こそっす!」

まさかの初見回避に、驚愕するキングマン。

この隙に【チャージ】で攻撃力を上げていた翔二郎が、ここに割り込んでくる。

「【ファイナル・ストライク】!!」

先ほど真横を駆け抜けられたことを踏まえ、払う形で放つド派手な一撃。

「【ラビットジャンプ】!」

しっかり軌道を見てからの回避は基本。

メイは跳躍で難なくこれを飛び越えた。

「さすが七新星だな! これなら勝てるぞ!」

完全回避されている状態も、外から見れば一方的に攻めているかのように見える。

生き残りの魔導士たちが、一斉に放つ魔法。

さらに前衛たちも駆け込んできた。

しかし、一団となってメイを襲うことにしたのが大きな失敗となる。

「いきますっ! 【装備変更】!」

空中のメイの手に握られたのは、大きな石斧。

「せぇぇぇぇのっ! 【地裂撃】――――っ!!」

着地と共に放つ、地面への一撃。

「なんすか……これはッ!?」

「いやーこれ、めちゃくちゃマズいねぇ……っ!」

広範囲に及ぶひび割れが、一気に地面を陥没させる。

一網打尽。

七新星を含む大量の敵プレイヤーが、まとめて崩落に飲み込まれて転倒状態になる。

「っ!」

ここでメイは、側方から迫り来る一匹の召喚獣に気がついた。

どうやら陥没に巻き込まれる直前に、召喚士が呼び出していた魔獣のようだ。

迫る、勢いに乗った飛び掛かり。

「【モンキークライム】!」

メイは振り下ろされた爪をかわし、そのまま四足魔獣の肩を登っていく。

「【ラビットジャンプ】!」

そしてその巨体を駆け上がったところで、大きく跳躍。

ここで再び頭装備を換える。

「【装備変更】! からの――――ジャンピング【ソードバッシュ】!」

「……お、おお……っ」

「――――エクスプロード!!」

「「「うおおおおおおおお――――――ッ!!」」」

駆け抜ける衝撃波に続き、青い炎の爆発炎上。

「……マジっすか?」

「いやー……こりゃちょっと驚いちゃったねぇ」

直撃を受けた翔二郎とキングマンは、【ソードバッシュ】でHP全損。

「つ、強すぎる……」

物理防御スキルで初撃をどうにか生き延びたアルマーダも、続く青い炎に焼かれて倒れ伏した。

「……お、おい! 七新星が三人同時にとか、マジかよ……っ!」

「ダメだ! こんなの勝てるわけねえ!」

踏み台となった召喚獣も、術者が倒れたことで消失。

残ったごくわずかな敵プレイヤーたちは、七新星の脱落とほぼ全滅状態になった自軍の状況を見て撤退を選択。

大慌てで逃げ出していく。

こうしてメイは、アルマーダたち三人が恐れられているトッププレイヤーだとは気づくことすらなく、見事な勝利を飾ったのだった。